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暗黒館の殺人 (上) (講談社ノベルス)
暗黒館の殺人 (上) (講談社ノベルス)
講談社
price : ¥1,575
release : 2004/09/10

無意味に長い失敗作

駄目ですね。
こんなに駄目だとは思わなかった。
ずっと綾辻作品を読んできただけに残念です。

「無意味の意味」、「シャム双生児」など、読者をわくわく
させるようなキーワードを用意しておきながら、謎が解けた
時にはひたすらしらけるばかりです。
最後のとっておきのトリックも、綾辻ファンでなければ理解
出来ないでしょう。

無意味に長く、値段も高い。この作品を買う価値は、私はない
と思います。特に綾辻作品を読んだことのない人には、絶対に
おすすめできません。
猿丸幻視行
猿丸幻視行
講談社
price : ¥650
release : 1983/01

”小説家”井沢元彦の、唯一の傑作

ロマンティックな推理小説です。井沢の小説作品は、推理小説に日本史学的なトピックを無理やりドッキングしてプロットが破綻しているものがほとんどだと思いますが、本作品は彼のデビュー作でありながら傑出した文学作品となっています。まず、主人公の民俗学院生による、「君は過去に行ってみたいとおもったことはないか?」という冒頭の独白からしてオシャレです。内容は主人公が新薬の助けを借りてタイムスリップし、民俗学者折口信夫が直面する、ある閉鎖的な村での折口の友人の死の謎を解いていく過程を追体験するというものですが、途中日本の和歌そして猿丸大夫と柿本人麻呂をめぐる日本史上の議論をはさむので、人文系以外の人(私含め)読み進めるのが大変なところがありますが、表紙カバーの暗号を折口が苦労しながら解いていくシーンは、彼に共感して読めます。文体には折口、和歌、そして日本の歴史に対する作家の深い愛情が感じられ、本書で改めて私は、和歌という日本文化の美しさを再認識できました。過ぎ去った日本の昔の情景が浮かんでくる描写が優れていて、作家の持つ個性が最大限に光る作品であると思います。
修羅の終わり (講談社文庫)
修羅の終わり (講談社文庫)
講談社
price : ¥1,150
release : 2000/01

少し理解するのに時間がかかったけど…

この物語に登場する三人の主人公、鷲尾・久我・そして記憶喪失の青年…
結末では三人の「修羅の終わり」に行き着きます。三人が出した答えは彼らなりの「正義」であり、同時に「狂気」です。

人間が自分の心の中の柱を失い、そこにうごめく狂気に身を委ねたときどうなってしまうのか…
貫井さんらしい繊細な描写と、「絶対正義」=警察の図式に対する疑問の提起。
すごい作品だと思います!「慟哭」「症候群三部作」とともにオススメの一冊です。

※作中には、レイプシーンが多く登場します。過激な描写ではないと思いますが、少し生理的嫌悪を覚えてしまいます…あと、私が書いたレビューはあくまで個人的感想です。ミステリーをあまり読んでない一貫井ファンの私にとって、本書の内容はかなり複雑だったので間違って解釈してたらすいません。
女神の欲望(リビドー)
女神の欲望(リビドー)
メディアファクトリー
price : ¥1,260
release : 2004/12

「取扱い注意」本

 本書は、2004年4月から6月まで毎週金曜日の深夜1時からテレビ東京で放送されていた同タイトル番組の内容をまとめたトーク集です。
 ホスト役が中村うさぎ、岩井志麻子のアヤシイ女流作家2人と、アイドルの乙葉という変わった組み合わせ。私も最後の数回を見ましたが、トークの内容が過激です。毎週、女性ゲスト1人を交え、3人でひたすら猥談を繰り広げるのをアイドル乙葉がブレーキをかける、という趣向でした。
 最終回の放送で12人のゲストとの「いいとこ撮り」を見て、再放送するといいのになー、と思ってしまいました。本書が発刊されているのを知り、さっそく図書館に予約しましたが、私の順番が回ってくるのに3ヶ月。深夜番組でも、けっこう視聴者がいたのですね。

 いやいや、どのゲストとのトークもストレートに女性の欲望について語っています。まあ、メインは肉欲ですが(笑)、物欲や彼氏を束縛したい欲望もなかなか激しいです。
 最も過激と感じたのは、「爆笑問題」の太田光氏の妻で、芸能プロダクション「タイタン」社長の太田光代さんです。すごいヤキモチ焼きを自認する彼女は、もし亭主が浮気したら、という質問に、「ぶっ殺しますよ。すごい無残な形で殺します。私の愛情表現が極端すぎるのは自分でも分かっているから」と答えています。いやはや……。

 他に、マンガ家の西原理恵子、元日本テレビアナウンサー魚住りえ、女優の杉本彩、代議士○マ○ク先生の愛人だった山田かな子など。
 あまりにも赤裸々な話が続きますので、20代の男性は読まない方がいいかも知れません。それと、こんな本を読んでいることを連れ合いに知られると、余計なトラブルの元かも。
 「取扱い注意」本です。

狐闇 (講談社文庫)
狐闇 (講談社文庫)
講談社
price : ¥800
release : 2005/05

シリーズ1作目を上回る面白さ!

しょっぱなから緊張感に満ちた取引、そして競り市の場面から始まり、
妖しい魔鏡が陶子の手に落ちた冒頭から物語に引きつけられてしまった。
贋作作りの汚名を着せられ古物商を取り上げられてしまうのを皮切りに、
気の毒なほど次から次へと陶子に様々な試練が襲いかかる。
それでもひるむことなく優れた仲間達の協力の元に事件を解決していくのだが、
明治政府の闇の政策、さらには古代にまで遡り、
ストーリーは非常に壮大な広がりを見せ、
心臓をドキドキさせながら一気に読み進んでしまった。
ファウストvol4
ファウストvol4
講談社
price : ¥1,470
release : 2004/12/24

小説家が、五人

このファウストvol4の見所はなんといっても、乙一・北山猛邦・佐藤友哉・滝本滝彦・西尾維新の五人によって、同じ『上京』と言うテーマについて書かれた競闘小説と、五人の合作によって書かれたリレー小説、『誰にも続かない』だと思います。

特に、競闘小説のほうは『上京』という同じテーマで書かれている分、作家の特徴がよく現れていると思うので、この五人に興味がある方は読んでみると面白いと思います。
戦争の法
戦争の法
ブッキング
price : ¥1,995
release : 2003/10

「観念的な戦争」とでも訳そうか

作者特有の理屈っぽさと、饒舌さと、スノッブな語り口が
冒頭から爆発する問題作。
「観念的な戦争」とでも訳そうか、
その独特の世界観は好き嫌いの分かれるところだろう。

しかし作者のヨーロッパを舞台にした作品群を読んでしまっているだけに
舞台が日本だとどうもしっくり来ないのは私だけか。
本書の後半、ほんの短い部分にヨーロッパの場面があるが
どうもそこが一番生き生きとして見える。
ひまつぶしの殺人 (光文社文庫)
ひまつぶしの殺人 (光文社文庫)
光文社
price : ¥580
release : 1984/12

設定は面白いけれど‥

主人公は弁護士。
彼には誰にもいえない秘密があった‥。

そう、それは家族の職業。

…泥棒、殺し屋、詐欺師に刑事!

日本に、中東の石油王が来た事から、早川家の運命は回りだす!!

正直にいって、設定は面白いと思う。
が、読後感じたことといえば、「ひまつぶしの読書だったナ」という程度。
はっきり、設定がいかしきれていないのではないか。今回初めて赤川氏の本を読んだのだが、多くのファンをえている作家の作品という期待が大きかったせいか、失望が否めなかった。

氏のファンに方はともかく…
今回初めて氏の本を読む・という方は、他の本を読んだほうが良いのではないだろうか。

ボトルネック
ボトルネック
新潮社
price : ¥1,470
release : 2006/08/30

失望の中の絶望

好き嫌いが分かれる作品かなと思います。
著者の作品に「犬はどこだ」、「さよなら妖精」、「小市民シリーズ」、「古典部シリーズ」などがあげられますが('07年6月現在)、
文章自体のあくはそこまで強くなくても、淡々と描かれる物語は、破滅への道です。
どうしようもなく、抗いようもないほどの、そうとしかならない終わりではあります。
「間違い探し」がこれほど残酷に響く作品も珍しい。
希望なんて一片もない、だけどないとは言い切れない世界です。
たった一言の言葉にあれだけ悩んで、考えて、出された「答え」が最後のページにありました。

ふたり (新潮文庫)
ふたり (新潮文庫)
新潮社
price : ¥500
release : 1991/11

残念

皆さん評価高いですね。テーマとしては面白いと思うんだけど、私はこの人の書く文体がどうも苦手です。セリフ中心に進むあたりは、最近流行りの携帯小説を読んでいるような感覚。さらさら読めるんだけど、ただ字を追うだけで読者にじっくり考えさせるすきを与えないというか、逆に言えば、何も考えなくても読めてしまう本。姉が事故に遭ったときの描写は本当に携帯小説と同レベルと思います。
ブレイブ・ストーリー(下)
ブレイブ・ストーリー(下)
角川書店
price : ¥1,890
release : 2003/03/05

【商品詳細】

おだやかな生活を送っていた男の子に、突然、両親の離婚話がふりかかる。家を出た父を連れ戻し、再び平和な家族に戻りたいと強く願う少年が向かった先は、運命を変えることのできる女神の住む世界「幻界(ヴィジョン)」だった。5つの「宝玉」を手に入れ、女神のいる「運命の塔」を目指す彼を待ち受けるものとは!? トカゲ男にネコ娘、火を噴くドラゴン。コミカルなキャラクター勢とともに、次々と沸き起こるトラブルを乗り越え、少年は強くたくましくなってゆく。 現代社会の歪みを浮き彫りにしたクライム・ノベルから、下町情緒あふれる時代小説まで、さまざまなジャンルにおいて高水準の物語を生み出してきた著者が新たに挑んだ作品。それは、上下巻あわせて2300枚にも及ぶ壮大なスケールで描かれた冒険ファンタジーである。 名実共に日本を代表する著者は、子ども時代のように空想の世界を素直に受け入れられない大人の読者のために、周到なお膳立てを忘れない。まずは、上巻の半分を占める現実世界の描写。幽霊を信じないほど「マジメでカチカチ」で、両親のいいつけに反抗できない「いくじなし」である小学5年生のワタルが、「運命を変えたい」と切実に願うまでに至る日常を丹念に描くことで、読者を主人公の気持ちに感情移入させるのだ。さらに、「幻界」の設定が効いている。「『幻界』とは現世に住む人間の想像のエネルギーが創り出すもの」であるため、ワタルが大好きなロール・プレイング・ゲームのシリーズに登場する舞台やキャラクターに似ていて当たり前。ファンタジーが苦手でもこれなら頷ける。子どもがゲームに影響された夢を見ているのだと。しかし、一旦「幻界」に入り込むと、これら現実的感覚が揺らぎ始める。 次から次へと現れる愉快な登場人物とドキドキハラハラのハプニング、そして感動の出会いと別れ。流れるようなストーリー展開に、カチカチの大人もいつしか幻の世界を行く「旅人」となる。(冷水修子)

オチがいまいち

半年ぐらい前に読みました。もちろん映画化を知って。
「現実世界で問題を抱えた子どもが異世界に行って成長する・・・」という設定はありきたりだけど宮部さんなら上手だから,と思ったのですが,だめでした。

「幻界」の設定がRPG的なのは,ワタルの思考回路に影響されてるのだから当然だと思います。(むしろそこが面白かった) 
登場人物も個性的でした。
けれどもクライマックスがありきたりすぎです。まずワタルの分身?が殺人を犯すシーンでも少々不自然だと思ったのですが,
「自分の負の部分と対決」でまさかと思い,「相手を受け入れることで決着する」でやっぱりと思いました。『影との戦い』にそっくりじゃないですか・・・

『ドリームバスター』は面白かったのに残念です。
DAY&NIGHT―昼も夜も
DAY&NIGHT―昼も夜も
中央公論新社
price : ¥1,575
release : 2007/04

カディスの赤い星〈上〉 (講談社文庫)
カディスの赤い星〈上〉 (講談社文庫)
講談社
price : ¥680
release : 1989/08

苦痛

 読んでいて非常に苦痛。話が面白くないわけではない。どでかい賞も取った作品に何を言わんやだが、だからこその失望。 主人公がキザで、スポーツカー好きな所などは、大沢在昌等の作品好きにはたまらないかもしれないが。 島田や船戸のファンはスルーするのが懸命か。 何かジャニーズの歌を延々と車中で聞かされた気分だ。 つまり、苦痛ってこと。
シェエラザード〈上〉 (講談社文庫)
シェエラザード〈上〉 (講談社文庫)
講談社
price : ¥650
release : 2002/12

戦前に起きたある豪華客船の海難事故の物語

2兆円(という金額のスケールに驚く)の金塊と共に沈んだ豪華客船を引き上げろ。謎の中国人に100億円の融資の依頼を受ける、闇金融会社社長。なんだかとてつもない規模の海洋アドベンチャーが幕を開けるのかと思っていたら、全くもってそういう類の話ではなかった。横浜?サンフランシスコ間を航行するために造られた弥勒丸は、戦時下のもと陸軍に徴用されてしまう。戦争末期にある極秘任務を帯びて東南アジアの各地を巡ることになる。船長を始め関係者一同は何も知らされないままであった。そこにはどんな謎が隠されていたのか。なぜ沈没してしまったのか。「昔」を知る老人たちの重い口が今開かれる。映画「タイタニック」よりもグッと来るモノがあった壮大な悲話。
警視の予感 (講談社文庫)
警視の予感 (講談社文庫)
講談社
price : ¥860
release : 2003/11

グラストンベリーに行きたくなった

〜これまでのキンケイドシリーズとはちょっと趣が違うかな?と思わざるを得ない点が多々あるのだが(例えば、グラストンベリーという土地自体にまつわる神秘な話が基点となっているところ)、ジェマとキンケイドの関係にも味わいを出しながら、難解で絡み合った人間関係をほぐしつつ、事件の解決に向かうやり方はこれまで通りの面白さ。
個人的には、話が神秘〜〜性を帯びたことで、ドキドキ感や意外性が盛り込まれて面白かった。早く次が読みたいと思わせる一冊である。〜
初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
早川書房
price : ¥630
release : 1988/04

あえて星みっつ

自立する力をつけるための様々なアドバイスがスペンサーからポール少年に与えられる。ポール少年は成長する。この作品は傑作として認知されているが、あえて星三つにしたのは、作者パーカーさんの作為が感じられるためである。スペンサーはこういう男なのだ、あるいは、作者パーカーはスペンサーにこのように考えさせているのだ、という作為である。ポール少年の存在は言語化させるための単なる手段になってしまっている、という感じがいつもつきまとっている。ポール少年はひょっとするとスペンサーの頭の中の弱さとしてのシンボルであって、実在していないのではと、森博嗣さんの小説をよんだあとだったので、なんとなくドキドキしてしまいました。

三毛猫ホームズの冒険 2 (2) (SUSPERIA MYSTERY COMICS)
三毛猫ホームズの冒険 2 (2) (SUSPERIA MYSTERY COMICS)
秋田書店
price : ¥600
release : 2007/07/27

M(エム) (文春文庫)
M(エム) (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥540
release : 2002/12

『限界』

これは『限界』を描いた作品である。
人間の精神の限界、という意味でももちろんある。
がなによりも僕がこの作品で感銘したのはこの文体と文章の書き方だ。

わかりやすい、というかいわゆる人とのコミュニケーションでの行動や言葉の揚げ足を獲るような、いわゆる『いじり』ができない、と言った方がきっと僕のような若いやつらにはピンとくるような感覚。
「内容が暗い・グロイ」という根本の点以外において、もし貴方が小説家でこれと同じ小説を書け、と言われたら、文体の簡潔さと・行動学・ストーリーテリングにこれ以上突き詰めようがないことに気づくだろう。(現実的な事象を見逃したり無視してなければ)
それは小説に絡む生理的感覚こそまるで違うが村上春樹の文学と通ずる書き方があるのだ。“わかりやすいのに深い”。そしてある種の現実の一面と心理を確実に内包している。

しかも、一行二行で淡々としてそうで単純明快な言葉たちは、その言葉の一つ一つが脳の“本能”にきて一気に想像力を呼び起こす。まるで“絵”をみてるかのようにダイレクトで頭に入ってくるような感覚。感覚的に優れた作品は構造性が安易になりがちだが、これにはそれもない。登場人物たちの行動学、言葉にも気をつけて見れば作者の緻密さが伺える。馳星周はその作風とは裏腹に同時にとても“小説を描く”ということにとても真面目な作家なのだろう。

ただこれはあくまで男向けの小説で、それはグロいからエロいから暗いから、という意味でない。もっと感覚的な部分でこれは女性向けではないのだ。生理的感覚が受け付けないもの、そのものだ。
そしてだからこそこれは、主人公が女であろうと子供であろうと“男というもの”をどこまでも体現した小説だ。
この文体ができる『限界』、つまり“わかりやすさ”以上のものを見たければ、文体の形式から言えば著者の“クラッシュ”や“不夜城”を薦める。
シェエラザード〈下〉 (講談社文庫)
シェエラザード〈下〉 (講談社文庫)
講談社
price : ¥650
release : 2002/12

読後、氷川丸がアトラクションではなく運命の船の生き残りに見えてくる・・・

終戦直前、海上のファム・ファタル(運命の美女)弥勒丸が辿った悲運の物語。読み終えた後に、シェエラザードの曲が聞きたくなり、また弥勒丸事件の土台になっている阿波丸事件について知りたくなりました。

浅田氏の作品を読むのは初めてでしたが、とても引き込まれ一気に読めました。たくさんの人物が現在と過去に交差して出て来ても、こんがらがってしまうことなくすっきり読めます。
フィクションであり史実と異なるところもあるようですが、戦争の残酷さ、簡単に忘却して楽に生きようとすることの罪、戦時下という状況で起きた悲劇が関係者の心にずっと落とし続ける影などのテーマを伝えるのに十分な読み応えがあります。

横浜出身の私には、表立った唯一の生存者である当時若手天才パン職人の中島がとても印象に残ります。最終章の、パン屋へ奉公>ニューグランド勤務>弥勒丸ベーカーとなった彼の語りは泣かせます。
なぜ、名ベーカーでありながら横浜に店を持たなかったのか、途中疑問でしたが、最後には彼が氷川丸や時々来る豪華客船を見ながらパンを焼かない(焼かない)気持ちがわかりました。他の弥勒丸関係者の気持ちと共に・・・。
こういう語りで泣かせるのって浅田作品っぽいんだろうな。

でも、以前のレビューでも書かれている方がいましたが、私も小説の中でのヒロイン(?)律子にはときおりしっくりこないと言うかカチンと来てしまいました。
人喰いの滝
人喰いの滝
角川書店
price : ¥546
release : 2000/07

絵が綺麗☆

絵が綺麗でうっとり・・・でした。
火村が私の想像通りの素敵っぷりを発揮してくれていて良かったです♪
火村とアリスがあまりにかっこよすぎるのでちょっとびっくりしたくらいです(笑)
麻々原先生どうもありがとうございます☆

・人喰いの滝(『ブラジル蝶の謎』)
単純なトリックでしたがわかりませんでした(笑)
いかにも有栖川先生のミステリという感じで好きなお話です。

・動物園の暗号(『ロシア紅茶の謎』)
パズルみたいな暗号を使って犯人を示しているのですが…私の疎い分野の知識を使って解かなければならないものだったので、私には解けませんでしたがミステリにはありがちなものです。
でもいかにも有栖川先生らしくてよかったです。

・ロシア紅茶の謎(『ロシア紅茶の謎』)
簡単なトリックですが、火村の謎解きシーンがかっこいいので大好きなお話です。
それにストーリーのあって面白いです。

おまけの書き下ろしもよかったです。
QED 鬼の城伝説 (講談社ノベルス)
QED 鬼の城伝説 (講談社ノベルス)
講談社
price : ¥861
release : 2005/01/14

桃太郎伝説の真相

〜岡山で起きた密室殺人と、桃太郎伝説の裏に隠された歴史の真相。

天才型探偵のタタルが用事で後から到着する、というあたりもミステリの定番ですね。

密室殺人についてはそれほど驚愕のトリックはありませんでしたが、
桃太郎伝説についてはまあまあ。

桃太郎については『古事記』と、井沢元彦の著作を読んでいたので、
実にすんなりと理解できま〜〜した。
こちらについては絶対に真相だとは信じきれませんが、少なくとも筋は通っています。
日本古代史に詳しくない人は“真実”と思ってもらえるだけの内容でしょう。

しかし何作読んでもこのシリーズは食玩と同じで、
主と従が逆転している感じがします。
歴史の謎がメインで、殺人がおまけになっている、という感じです。
相乗効果という感じがし〜〜ない/ミステリーとして昇華されていないのが惜しい。〜

炎立つ〈四〉冥き稲妻 (講談社文庫)
炎立つ〈四〉冥き稲妻 (講談社文庫)
講談社
price : ¥730
release : 1995/10

読むペースが速くなってきた。

この巻の主人公は経清の息子清衛である。まったくのフィクションなら、10〜20代の青年期に彼が活躍するように作るのだろうが,清衛の場合はなんと35歳になって初めてその正体を現す。その忍従,経清の妻結有にはさらに当てはまる。人間の執念というものはここまで凄いものかと思う。そしてその運命のなんと哀しいことか。義家もなかなか面白いキャラクターとして登場している。この巻に至って、真の主人公は既に「歴史」と「東北の土地」に移っていっているように思える。本当はもっとゆっくりしたペースで読みたいと思っていた。しかし、小説としての面白さがそれを許さない。最終巻の義経編楽しみである。
マリア・プロジェクト (角川文庫)
マリア・プロジェクト (角川文庫)
角川書店
price : ¥860
release : 2004/10

☆4つ

面白いです。
知り合いには「女の子が卵をとられる話」なんてしています(笑)が、実際には、現代社会で起こりそうな組織的犯罪を描いています。
かなりの厚さがある本ですが一気に読み進められるでしょう。
著者の最高傑作という評価もあながちほめすぎではないと思いますよ。
晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)
晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)
東京創元社
price : ¥1,575
release : 2006/09/30

読み応えあり

事件の容疑者のアリバイを確かめに来た刑事が、本屋に2時間もいられるものか?と不思議そうにいうところ、思わず笑ってしまった。2時間でも3時間でも、その気になったらお弁当もちで一日中だっていられるぞーと思った本好き本屋好きもいるだろうなあ、なんて。
短編の第一作とは違って、たっぷり長編で読み応えはあった。けれど、もっと日常的な本屋さんの謎を読むほうが好きかなあ・・
わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)
わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)
扶桑社
price : ¥880
release : 2002/11

真犯人の動機に呆然とせよ!

コナリーの天才性と志の高さが読み取れる傑作。
雄性ホルモン過剰の見世物小屋文学である
ハードボイルドのパターンのアンチテーゼを提示した傑作。
書評小説という新たなジャンルを切り開く傑作。
本格推理小説としては真犯人の動機に呆然とせよ!
これは誰もやってなかった新しいパターンだよな。
何の為に生きるか闘うかを模索している本物の男はコナリーを読め!

ST警視庁科学特捜班 青の調査ファイル (講談社文庫)
ST警視庁科学特捜班 青の調査ファイル (講談社文庫)
講談社
price : ¥620
release : 2006/05/16

百舌の叫ぶ夜 (集英社文庫)
百舌の叫ぶ夜 (集英社文庫)
集英社
price : ¥630
release : 1990/07

やめられませんでした。

すごい!ハードボイルドとはこの事!筆者のあとがきも良かったです。そんなに時間かかったなら、もう一度読んでみようかと思います。最初からぐんぐん話しにのめりこんでしまいますよ!
幽霊たち (新潮文庫)
幽霊たち (新潮文庫)
新潮社
price : ¥420
release : 1995/03

透き通る存在

初めにブルー。次にホワイトそしてブラックがいる。探偵ブルーはホワイトから依頼を受ける。ブラックをずっと見張り続けるように。書き物と散歩のみのブラックの毎日を、ブルーはアパートの窓越しに眺め続ける。さしずめこの小説は、ブラックを描写するブルーの描写だ。だがブルーに、描写という役割を与えたのはホワイトであり、そしてブラックだった。だがブルーの作成した無味乾燥な事実の羅列に、ブラックは自分の存在意義があると思う。
ブラックとホワイト、そしてブルーの存在と役割は、彼らの相互依存のみによって存立してる。しかもその依存関係が、堂々巡りの幻のようなものであることが、物語が進むうち、分かってくる。読者がそれに感づく頃に、彼らの存在は透明で抽象的なゴーストになってく。
作者は、ホイットマンとソローにも言及する。都会の外部即ち自然で暮らした偉人たちだ。ソローらは、ブルー達のような都会のパーソナリティと対極にある象徴だろう。後半で作者は、最後ブルーはブラックをぶちのめして旅に出るとしておこうと書き、描写を留保する。一見解釈余地を多分に与えてくれるようだが、この作品の目論見は、解釈余地の深さを示すことでなく、存在の抽象性が引き起こす不安の表現にあるだろう。だからソローらの登場や、ブルーの最後の行為の仄めかしで、読者を救われた気分にさせようなどと作者は思ってない。『幽霊たち』の登場人物は抽象的ペルソナだろう。色で指し示されてるが、代名詞や代数で彼らを呼んでもよかろう。ブルーとブラックはxとyでもよかった。都会的パーソナリティの持ち主達は己の存在に意義を追い求めた。だが追い求めるほど存在は透明になり抽象化していった。郊外に解決を求めたが出口はない。存在なるものの根っこにはそもそも拭いがたい透明がある。己の存在を追い求める不気味な登場人物達以外にも、この存在の根源的透明という幽霊が、当作品に出没してる。
果つる底なき (講談社文庫)
果つる底なき (講談社文庫)
講談社
price : ¥680
release : 2001/06

銀行以外の部分の魅力に乏しい

銀行の内部情報や資金の流れ、組織の中での
人間関係や苦悩は判りやすく丁寧に書いている。
でも、それ以外の部分は凡庸。
主人公にも魅力があるとは言えない。
読んでてワクワクする感じも無し。
英傑の日本史―新撰組・幕末編
英傑の日本史―新撰組・幕末編
角川書店
price : ¥1,575
release : 2004/11

幕末から現代日本人の特性を見出す試み

問題を先送りにして現実を見ない。
これを筆者は日本人の致命的欠点だと言ってます。
(どこの国にもいるとは思いますけどね)
この本はそれを幕末の人物を通して自覚を促そうとしています。

この本を読んだ人は、まず筆者の人物をみる目に脱帽すると思います。
しかもその目は決して偏っておらず、しかも筆者の考えも一貫している。
何度もうならされました。
情報量も豊富ですので、幕末から明治にかけてはこの一冊だけでかなり知ることができます。

僕が感じたことは、無能な政府が起こした問題の後始末には多くの場合、強引なやり方が必要になるんだということです。
なぜなら政府は自らの失敗を認めませんし、甘い汁を吸っている人物は現状維持を望みますので、決して変わろうとしない。

ここに出てくる人物の多くは危機感を持っていた人達ばかりです。
この人物達が各々どのようにこの無能政府を変えていったか。
是非読んでください。
D--死街譚 (ソノラマ文庫―吸血鬼ハンター (321))
D--死街譚 (ソノラマ文庫―吸血鬼ハンター (321))
朝日ソノラマ
price : ¥489
release : 1986/01

ハリウッド映画顔負け

とにかく、Dシリーズ自体素晴らしいのですが、その枠を通り越した迫力、筋書きのディテールがあります。そうとうに話の内容を練って書いたのではないかと思わせられます。その筆力は圧倒的で、単なるアクション物に分類されてしまうのは、本当に、本当に惜しい。広く評価されていい作品だと思います。
波のうえの魔術師
波のうえの魔術師
文藝春秋
price : ¥1,400
release : 2001/08

物語は淡々と

若いパチプロが右翼(暴力団)と繋がりのある投資家と出会う・・。物語の始りは余りに突然過ぎ、読み終わった後もその展開の大胆さには思わず笑ってしまいます。この小説の展開、登場人物は極めて大胆かつ明解。しかし、それに対する証券市場の描写は緻密であり、1日1日ごとの値動きをその値動きが起こった理由を添えて描写してくれます。この”老人”は一体どういう立場なのか?何故投資家になったのか?に関しては見過ごす事が無いくらいに単純に描写する一方、証券市場の値動きに関しては為替、外国情勢や月ごとの株式市場における基礎知識も織り交ぜて描写します。また、主人公の成り上がり方があっけない一方、素人が初めて株と出会ってから実際に株を買い、売るまでの心情を細かく描きます。この辺りに石田さんの小説と現実に対する潔い割り切りを感じました。 誰もがリスク逃れと責任転嫁に勤しんだ90年代、バブル期に銀行と保険会社が手を結び相続税対策と称して売り出した金融商品が、多数の自殺者と全国規模の訴訟を引き起こす・・・。 興味深い人は是非!
コズミック流 (講談社文庫)
コズミック流 (講談社文庫)
講談社
price : ¥650
release : 2000/04

活字で構築されたラスベガス

なんてバカな本だろうか(笑)。その一言に尽きる。

切り詰めれば5ページの短編にだってまとめられるようなメイントリックのアイディアを、徹底的に引き伸ばして引き伸ばして引き伸ばして、文庫本2冊分の分量にしてしまった作者のバカさ加減には、個人的には大爆笑とともに拍手を贈らせていただきたい。

しかもこの上巻にいたっては、反則ど真ん中の手法をつかっている上に、下巻のストーリーに有機的に絡む部分がほとんど皆無ときているのだ。

そして下巻においては、「それは作者が論理的な謎解きミステリを書けないだけじゃ!?」と、読む者を激怒か爆笑の両極端どちらかに叩き落さずにはおかない、言語道断な解決をむかえる。

とにかく、その構成要素の9割9分9厘がはなはだしい無駄に彩られた小説なのである。低くはない文章力を偏執的なまでに無駄遣いした作者は、ある意味では威張る権利がある(笑)。もはや怒るのは野暮だという気さえしてくるのだから不思議だ。

作者の流水本人は自分の小説のことを<流水大説>と銘打っているが、私個人は<ラスベガス小説>と呼んでいる。無論、爆笑とともに。

冗談のわかる・ヒマがある人ならば、ぜひ手に取っていただきたい一冊だ。そして呆れ果てながら・爆笑してくれ。
そして二人だけになった―Until Death Do Us Part (新潮文庫)
そして二人だけになった―Until Death Do Us Part (新潮文庫)
新潮社
price : ¥740
release : 2002/11

もう少し何とかならなかったのか。

某ナントカダイガクの先生か何か知らないけれど、
文章、ひどかった…。

まず、主人公の兄を天才と設定している点。
それなら、知的雰囲気をもう少し、
出せる言葉を話させてやって。
単なる金持ちの、社会性のないオタクにしか見えません。

バルブに登場人物を詰め込んでからも、
話の先は読めている(題名から)のだから、
もう少し、人物関係の物語をふくらませて欲しかった。
ちなみに、巻頭にバルブの見取り図がありますが、
私は一度も見ないで読み終わりました。あそこに
あの単純極まりない図を載せている意味がわかりません。

極めつけは、解明を放棄したかのようなラスト。
あれじゃぁ、ここまで読んだ読者に失礼です。
この手の本は、ラストが一番大切だと思うのですが。
最後から10ページを読んで、十分に全体を理解できる本でした。


千里眼 (小学館文庫)
千里眼 (小学館文庫)
小学館
price : ¥690
release : 2000/03

これからが楽しみ

大変面白かったです。

恥ずかしい事に、私はこの作者松岡圭祐のこともこの「千里眼」シリーズの事も全く知らずにこの本を手に取りました。
でも、おもしろかって良かった。
臨床心理的な分野には興味があったし、その辺りの記述がしっかりしているのは頼もしい。
また、日本の小説には大変珍しい事に、兵器(特に戦闘機や爆発物)の記述が大変に正確でかと言ってくどくない。
ここら細部の情報がきっちりしていい加減にしていないから、もともと(日本の小説に得意な)情緒的な部分が生きてくるのだと思う。

終盤のちょっと前くらい、大きな陰謀が分かってくるところくらいから若干ストーリーの展開が乱暴に、全く荒唐無稽になりかけるのではらはらしたけど、きちんと収まったような気がする。
主人公岬美由紀がかなりのスーパレディでちょっとリアリティがぁ、と思う人もあるかも知れないが、パトリシア コーンウェルの検屍官スカーペッタシリーズのルーシーが、ちょうどこういう感じの能力のある女性ではないか。だから、それほど荒唐無稽な想定とは思えない。
これ以降のシリーズをまだ読んでないが、この主人公が更にパワーアップして能力をつけていくだけの話しになるのか(ま、それはそれでスーパーウーマンで面白いのか)、それともこのルーシーのように精神性癖に様々な問題を抱える中で、人間的に厚みをますように成長して行くのか、楽しみと言えるだろう。

ゲルマニウムの夜―王国記〈1〉
ゲルマニウムの夜―王国記〈1〉
文藝春秋
price : ¥540
release : 2001/11

非凡な作家

花村氏の作品はまだ数作しか読んでいないが、文章の表現、大胆かつ緻密な構成には著者の非凡さを窺わせる。。

また、エロ小説とは違ったいわゆるグロさが随所にみられ、かつての西村寿行氏の作品を彷彿とさせるところである。

本書はシリーズもののようなので続編が読みたくなった。
ろくでなし 上   幻冬舎文庫 し 13-3
ろくでなし 上 幻冬舎文庫 し 13-3
幻冬舎
price : ¥600
release : 2002/10

なまなましい

冒頭のレイプシーンが生々しく、ちょっと女性の友人には貸せないなあって感じの本ですが、かつて黒鷲と呼ばれた黒木の姿は見ごたえ十分です。
新堂作品の醍醐味を堪能したい方、本作は本当におすすめです。
迷路館の殺人 (講談社文庫)
迷路館の殺人 (講談社文庫)
講談社
price : ¥620
release : 1992/09

作中作、という試み。

作中作、という試みが大変興味深かったです。

隠し部屋、隠し通路は館シリーズの定番だからよいとして、
ラストのオチ(犯人当て)は「うーん?」派でした。

たしかに盲点ではあるんでしたしラノベとかで使うにはいいんですが、
本格ミステリでやるにはどうかなあという感は正直ありました。

よく出来てるけどちょっと惜しかったので★4つで。
それでも十分に楽しませていただきました。名作だと思います。
ラッシュライフ (新潮ミステリー倶楽部)
ラッシュライフ (新潮ミステリー倶楽部)
新潮社
price : ¥1,785
release : 2002/07

表紙の絵

表紙の絵にある、上にある階段にあるとおり、
5つの話がまざりあった話である。
1つの話が終わりになったと思ったら、もう1つの話は
その話と絡みあっていて、そして始めの場面になっているのである。
5つの話がそれぞれ、なにかしら接していておもしろい!

こんがらがってくるが、読み終えた時はもう一度読みたくなる!!
お勧めの一冊。
逆説のニッポン歴史観―日本をダメにした「戦後民主主義」の正体 (小学館文庫)
逆説のニッポン歴史観―日本をダメにした「戦後民主主義」の正体 (小学館文庫)
小学館
price : ¥730
release : 2004/12

戦後「進歩派」の罪を斬りまくり、日本の進むべき道の示唆に富んだ好著

本書は著者によるSAPIOでの97年から00年にかけての連載をまとめたもの。本書前半の矛先は、日本は民主主義・言論の自由が保障されている国だからどのような意見を述べても構わないけれども、戦後日本の「進歩派」(朝日新聞、岩波書店、文化人、社会党、日教組等)によって展開された、社会主義国の現状について十分な検証を行わず、それらの国の主張をたれ流し礼賛するだけ、しかも責任をとる覚悟のないジャーナリズムの姿勢に向けられている。北朝鮮を楽園であるかのように報道し帰国運動を進めた罪を事実と証言で追究する筆致の切れ味は抜群で私も初めて知ることが多かった。社会主義幻想が崩れ、国家による拉致という犯罪が明らかになった今、国民の眼から鱗が落ちたかと言えばさにあらず。著者は実社会では能力の差があって当然なのに悪平等を押し付ける教育のあり方、メディアとお役所の「癒着の温床」である記者クラブ制度にも眼を向ける。石原都知事の「三国人」発言騒動を覚えている人も多いかと思うか、メディアの無知の下いかに偏向報道が行われたかを知ると暗澹たる思いになる。さらに井沢氏の著作に親しんでいる人ならば、聖徳太子以来の「和の精神」優先の政治の弊害、そして自衛隊を嫌い憲法9条を墨守することの愚かさを十分承知しているだろう。だが、この度の参院選で護憲のお題目を唱える声をどれほど耳にしたことか。そういう人には是非本書を読んで欲しい。最後に著者は今の日本には官僚に代表される既得権益勢力をねじふせる織田信長型政治家の登場が必要と説き、私も全く同感である。しかし、衆参ねじれ現象が続くだろう現状の下で和優先の中途半端な政治が行われるとすれば、日本の病理の治癒は当面期待できず、残念至極である。
猛き箱舟〈下〉 (集英社文庫)
猛き箱舟〈下〉 (集英社文庫)
集英社
price : ¥880
release : 1997/05

男のロマンは、この本に詰まっている!

【憧れの男の元でなんとか働けるようになったものの、
 まだひよっ子の正次を裏切りがまっていた!その窮地から逃れられるのか!??】

超男臭い1冊です!!
最大の見所は、彼がどのようにして何度も窮地を脱し、復讐するのか!

女性の方、小難しい話の部分は、読み飛ばしても大丈夫。
冒険小説が好きな方には、見逃せない作品です!

心では重すぎる    下 文春文庫
心では重すぎる 下 文春文庫
文藝春秋
price : ¥660
release : 2004/01/10

結末より,その過程

私立探偵「佐久間公」をとりまく人間模様が興味深い作品でした.
この本の主人公,佐久間が,シリーズモノだということを感じさせないほど,この本はこの本で,独立して楽しめる内容です.
そう,私もシリーズモノと知らずに読んだ読者の一人だったのです.

渋谷に群がる高校生を中心とする若者と,40を幾つか過ぎた男,佐久間.その中間の年代(ちょっと佐久間寄り?)に位置する私には,どちらの言い分もしっくり心にきた.それでも,対子供達との会話より,立場の違う大人同士の会話に心惹かれる.燃え尽きた大人気漫画家・ヤクザ・裏の権力を持つ友人・警察・佐久間の見え隠れする過去,そういったものが絡み合い,深みを増している.「立場」による物の考え方・価値観の違い.自分の属する社会しか知らない私には,それらのやりとりに心が躍った.エンターテイメントとして申し分ない作品だと思う.

結末は,奇をてらうことなく,落ち着くところに落ち着いた,という感じ.だから,「推理小説はまず結末を読んでから,読み始める」という読み方をしている人たちにも,この作品に関しては,結末を読むようなことをせず,最初からじっくり読んでもらいたい.結末は,平凡(?)なものです.
結末にたどりつくその過程を堪能してもらいたいと思う.

福家警部補の挨拶 (創元クライム・クラブ)
福家警部補の挨拶 (創元クライム・クラブ)
東京創元社
price : ¥1,575
release : 2006/06/27

『コロンボ』のスピリッツを継いだ、古典的で上質なミステリー

本書の最大の魅力は、表面的に『コロンボ』を真似するのではなく、その核にあった“ミステリーの古典への敬意とそれを継ごうとするスピリット”を、さらに継ごうとしている点にあります。以下、思いついた点をまとめてみました。

★キャラに頼らない
意外かもしれませんが、第1シーズンの『刑事コロンボ』では、コロンボ警部は、愛嬌はあるものの、「得体の知れない謎の刑事」で、その描写も多くはなく、ミステリー中心の作風でした。『福家』は、フォークの魅力で人気の出た後年のコロンボではなく、初期のストイックなところからはじめています。これが『古畑』と違うところであり、かなりのリスクを背負った英断だと思います。
★手がかりの密度
『コロンボ』といえば、解決部分の鮮やかさだけが取り上げられがちですが、本当のすごさは、途中に置かれた手がかりの量と質にあるように思います。『福家』は、1作50ページほどの中に、10以上、多いときは20近い伏線や手がかりを詰め込むことで、『コロンボ』を見ているときのあのわくわく感を再現しています。
★適度に高度なミステリ
『福家』の謎解きは、天地がひっくり返るようなものではなく、論理的に筋の通ったところに落ち着きます。伏線の張り方も実にフェアなので、ミステリーが好きな方でしたら4作中1?2作は主人公より先に解決できるのではないでしょうか。だからといってつまらないことはなく、実は、これこそが本来の「本格」の姿だったようにも思います。マニア向けではない、誰にでも気軽に楽しめる「明快な面白さ」も、作者はちゃんと「コロンボ」から継承しています。
★「倒叙」の意味
上記の項目にもつながるのですが、作者は「倒叙」を、最も純粋でフェアな「本格ミステリーを盛り込む器」として120%活用しています。「倒叙」は、心理描写を膨らませれば読者をエモーショナルに引っ張れますが、それはあえて避けているようです。近年、これほど「ミステリー以外の要素がまったく入っていない」、純粋なパズラーはなかったのではないでしょうか。それ以上にすごいのは、通常の犯人当てミステリーでは、文中に楽に隠せる手がかりが、フォーマットの決まった「倒叙」の場合、犯行の描写を読む読者は、「これが手がかりになるのでは?」と鵜の目鷹の目で読むため、手がかりの配置が何倍も難しくなるという点です。それをとりあえず4作(10月の「ミステリーズ!」に新作が載るそうです)、成立させているのは驚きという他ありません。
心では重すぎる  上 文春文庫
心では重すぎる 上 文春文庫
文藝春秋
price : ¥660
release : 2004/01/10

作者の「感傷」に読者が付き合う必要があるのか

この作品、どこが面白いのだろう?
レビューを書こうとして悩んでしまった。

確かに漫画週刊誌におけるアンケート至上主義や、漫画家と編集者の
関わり等は良く書けていると思う。だけど、漫画界の内幕ならば、現在
では「消えたマンガ家」等の書籍が出版されており、その内容を知って
いる読者も多いのではないだろうか。

この作品には、漫画だけに限らず、ドラッグ、渋谷のチーマー、新興宗教、
自己啓発セミナー、ポルノにロリコン、果てはSMまで、様々なサブカルチャー
的要素が詰め込まれている。多くの題材を破綻無くストーリーに織り込んで
いるのは作者の力量だろう。だけど、それらはあくまで小説を構成する素材
であり、本当に作者が書きたかったのは、別の物であると思える。

作中で探偵を職業とする主人公「佐久間公」が、過去と現在の自分を
比較してみたり、出会った人に自分の探偵としての生き方をあれこれ
説明する。これは主人公である「佐久間公」と言うより、作者である
大沢在昌の「感傷」では無いだろうか。
解説で福井晴敏氏が指摘しているように、この作品は私小説に近い
内容である。

しかし、作者の「感傷」に読者が付き合う必要があるのか、疑問である。
あたしは、「重すぎる」と言うより、はっきり言って「ウザイ」と感じて
しまった。
闇の貴族 (講談社文庫)
闇の貴族 (講談社文庫)
講談社
price : ¥820
release : 2002/06

新堂作、原点がここに。Part.2

 初期新堂作を楽しめる内容の本作は、「忘れ雪」「僕の行く道」を読んで、本作をとると、違った意味で衝撃を受けるでしょう。
 しかし、作家新堂氏の原点は本作と「血塗られた神話」にほとんど秘められています。意外とは思いますが、この2作には後の純愛路線の原点のような描写も多々あります。作家新堂氏の創作ワールドを知りたいならまずは原点のこの2作の読破をおすすめします。
わが心臓の痛み〈下〉 (扶桑社ミステリー)
わが心臓の痛み〈下〉 (扶桑社ミステリー)
扶桑社
price : ¥880
release : 2002/11

謎解きのスリルを併せ持った、超一級のハードボイルド

マイクル・コナリーのノン・シリーズものの傑作といわれている。
’99年に、アンソニー賞、マカヴィティ賞、フランス推理小説大賞の三賞を受賞している。日本でも、翻訳された’00年、「このミステリーがすごい!」海外編第6位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第9位にランクインしている。また、’02年には、クリント・イーストウッドがプロデュース・監督・主演の三役をつとめて映画化もされた。

重い心臓病のため、FBIを早期退職したマッケレイブは、9週間前に心臓移植の手術を受けたばかりだった。退院した彼の元にある日、美しい女性の依頼人が現れる。コンビニ強盗事件に巻き込まれ、命を落とした妹のために、捜査をして欲しいという。事件は未解決で、犯人も挙がっていなかった。被害にあった妹がマッケレイブの移植された心臓のドナーだったことを告げられ、彼は術後の不完全な体調で、しかも主治医の反対を押し切って捜査を始める。

マッケレイブは、所轄刑事の反感を受けながらも、かつての人脈をフルに利用して、事件を時系列順に当たるなどの地道な捜査をおこなう。その結果、驚くべき事実が明らかになる。

ちょうど物語の後半を過ぎたあたりでストーリーは急転回を見せ、一気に緊迫の度合いを増す。犯人の隠された動機が判明し、他の場所で起こった一見無関係なホールドアップ強盗殺人やマフィアの仕業のように見えた殺人が、実は綿密に準備された三つの連続殺人事件だったのだ。そして犯人とその真の目的が分かった時、マッケレイブは・・・。

本書は、ミステリーとしての謎解きのスリルと、科学捜査のリアリティーを併せ持った、文字通り心身ともに極限状態に置かれた主人公の、血を吐くような捜査を描いた超一級のハードボイルドである。

青い瞳の狼 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
青い瞳の狼 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
二見書房
price : ¥770
release : 2000/05

危険な男、危険な女

CIAの職員であるヒロインは任務中に夫を失うという過去を持っています。夫は作戦リーダーだったヒーローに妻を託し、以後ヒーローは離れたところで彼女を見守り続けます。
夫を亡くしたことで危険な任務から遠ざかるように生きてきたヒロイン。そして五年後、ヒーローの友人のおせっかいのせいで二人は再会してしまいます。五年間の長い片思いが、再会した事により一気に爆発したヒーローは、彼女を再び同じ世界に引きずり込んで彼と離れないようにと画策。あるスパイ任務を持ち出してパートナーになってくれと誘いをかけます。ためらったヒロインですがアドレナリン中毒を刺激されて任務を引き受ける事に。

変装や別の人格になりきっての潜入作戦、銃撃戦を逃れての脱走劇、はたまた敵を欺くためのラブシーンなど、スパイ物のお約束がいっぱい!任務と割り切って自分に触れてくるのだと悩んでみたりするヒロインの切ない恋心でロマンス方面もバッチリ!なによりも前作「二度殺せるなら」でクールで淡々と仕事をこなすような印象だった男が、実は五年間も一人の女性を想っていたという純情ぶりに一番驚かされ感動しました。
カサンドラの挑戦―イヴ&ローク〈9〉 (ヴィレッジブックス)
カサンドラの挑戦―イヴ&ローク〈9〉 (ヴィレッジブックス)
ソニーマガジンズ
price : ¥882
release : 2005/06

ピーボディの弟も登場!

イヴはカサンドラと名乗る者から声明文を受け取る。やがてカサンドラ
はイヴの注目を集めるため、ルーク所有の劇場に爆弾を設置する。危うく難はのがれたものの…イヴはカサンドラの追及すべく翻弄する。

今回はピーボディの心情にもスポットが当てられていて、また違ったおも
しろさがあります。田舎から弟が出てきたり、マクナブとの関係にも
変化が…毎度読み始めたらスイスイ世界にのめりこんでいくロヴの手腕
が光ります。

トランク・ミュージック〈下〉 (扶桑社ミステリー)
トランク・ミュージック〈下〉 (扶桑社ミステリー)
扶桑社
price : ¥660
release : 1998/06

エンターテインメントとして完成された、<ハリー・ボッシュ>シリーズ第5弾

現在、11作目まで上梓され、その10作目までが邦訳されている、マイクル・コナリーの<ハリー・ボッシュ>シリーズ第5弾。“当代最高のハードボイルド”、“現代ハードボイルドの到達点”といわれるだけあって、また本書は、ノン・シリーズの傑作『ザ・ポエット』と『わが心臓の痛み』の間に挟まれて発表されていることから、エンターテインメントとして完成されている。

’98年、「このミステリーがすごい!」海外編第20位。

屋外演奏場ハリウッド・ボウルを真下に望む崖上の空き地に停められたロールスロイスのトランクから、映画プロデューサーの射殺体が発見された。それは‘トランク・ミュージック’と呼ばれるマフィアの手口であることが分かる。やがて彼は、ラスヴェガスの犯罪組織の金をマネーロンダリング(資金洗浄)しており、そのトラブルで殺害されたのではないかと推測される。容疑者は、犯罪組織が経営するストリップ劇場の用心棒で、被害者の上着に指紋を残していた。凶器の銃も見つかり、ボッシュは彼をロサンジェルスに連れてくる。

しかし、下巻に入り、誰もが思いもよらない大転回があり、ボッシュの前にロス市警の組織犯罪捜査課や内部監査課が障害として立ちふさがる。状況は二転三転するが、事件は悲劇的な終結を見る。

訳者・古沢嘉通によれば、このシリーズのなかで本書は、一連の<ボッシュ・サーガ>のなかで「幸せなボッシュ」を描いて一時的に主人公およびシリーズに救済を与え、一種の幕間の役割を果たしている作品と位置づけている。なるほど本書でボッシュは、初めて「自分と個人的に関係のない」事件を担当し、最愛の女性と再会し、有能な同僚たち、前任者と異なる理解ある上司に恵まれており、存分に捜査に集中している。ラストもほほえましい。

ジョーカー清 (講談社文庫)
ジョーカー清 (講談社文庫)
講談社
price : ¥730
release : 2000/04

疲れました。

このシリーズを流、清、涼、水(清涼IN流水)と読みましたが、感想は一言「疲れた」というだけです。いろんな必殺技(のような推理方法)を駆使する探偵がたくさん登場しますが、なんか名前だけでたいした推理をしていないような…。特に作中に散りばめられる謎というか言葉遊びにはもうウンザリしてきます。最後のどんでん返しにつぐどんでん返しで結局誰が犯人なんだとすっきりしない感があります。頭の悪い私にはこの作品の良さを理解することができませんでした。
異常者 (講談社文庫)
異常者 (講談社文庫)
講談社
price : ¥580
release : 1988/08

ブラック・コーヒー (小説版) (クリスティ・コレクション)
ブラック・コーヒー (小説版) (クリスティ・コレクション)
早川書房
price : ¥588
release : 2004/09/16

クリスティーの作品録には含まれていない、34番目のポアロの長編小説

クリスティーは、戯曲の分野においても、この作品を始め、「ねずみとり」、「検察側の証人」、「蜘蛛の巣」、「招かれざる客」といった傑作を残している。ただ、戯曲というのは、演劇の脚本として書かれたものであり、小説と違って、読者に読まれることを意識して書かれていないため、これらの戯曲を小説と同じ感覚で、読んで楽しもうとするには、少々、無理がある。登場人物の台詞の合間合間に頻繁に入ってくる、役者の動きや演技の指示などのト書きが、かなりうっとうしく、読者の集中力をそいでしまうところがあるのだ。私は、ト書きを飛ばして読むことにしているのだが、やはり、戯曲は、本来、舞台で楽しむべきものなのだろう。

読み物としてのそんな戯曲の欠点を補うべく出版されたのが、チャールズ・オズボーンの手による、この「ブラック・コーヒー〔小説版〕」である。ここでは、先に述べた、役者の動きや演技の指示などのト書きが、小説としての情景描写の中に自然に溶け込み、ずっと読みやすくなっており、書き手がクリスティーではないという違和感も、全く感じるところがない。「ブラック・コーヒー」を読むのなら、この小説版の方だろう。
ちなみに、戯曲の出来としては「ブラック・コーヒー」を上回る「招かれざる客」も、チャールズ・オズボーンによって、小説化されている。

さて、物語の方だが、舞台は、物理学者クロード・エイモリーの読書室。莫大な金銭的価値のある新爆薬製造の化学式の入った封筒が盗まれているのを知ったクロードは、読書室に閉じ込めた6人の中に犯人がいると宣言し、電灯を消している一分間のうちに、封筒をテーブルの上に返しておけば、無罪放免しようと通告する。しかし、一分後に明かりがついたときには、クロードは毒殺されていた。クロードのブラック・コーヒーに毒を入れたのは、一体、誰だったのだろうか?ポアロの捜査が始まる。

顔に降りかかる雨 (講談社文庫)
顔に降りかかる雨 (講談社文庫)
講談社
price : ¥660
release : 1996/07

これが原点?

最近は「魂萌え」で新境地を開かれた桐野氏。人間を、社会を見据える目で書かれた作品は読み応えがありました。
で、本書は桐野氏の本来の作風であるハードボイルド作品。まるで2時間の火サスを見ているかのような展開で物語が進んでいきます。男より男らしい主人公ミロと、暗い過去を持つ成瀬との危うい関係。単なるドラマと思うと、よくできたストーリー展開でちょっぴり恋愛もあって楽しめます。この手の作品に、人間観察や心理描写はあまり求めてもいけないのでしょうね。
その後の作品が進化し続けているんだなぁ?、と思える初期作品でした。
ST警視庁科学特捜班―毒物殺人 (講談社文庫)
ST警視庁科学特捜班―毒物殺人 (講談社文庫)
講談社
price : ¥650
release : 2002/09

ST解散の危機!?

公園に死体となって運び込まれてきた男。死因はふぐ毒。その数日後、またも違う公園に男の死体が遺棄されているのが発見された。そしてやっぱり死因はふぐ毒。なぜ公園に?しかも、その手際からは組織的な犯罪のにおいさえもするけれど・・・?特殊な毒の使用に戸惑う捜査本部。しかしSTイエロー山吹はふぐ毒、そして青山の口走った「ゾンビ」という単語から直観を得る。捜査本部の追う本筋からあぶれて山吹の直観を頼りに細いわき道を追うST&菊川。二人の被害者をつなぐ細い糸、「女子アナ」は有効な筋道なのか?その後ろに見え隠れする自己啓発セミナーの本性とはいったい!?ここで手柄をたてることが出来なければSTは潰される。果たしてSTは犯人を検挙する事ができるのか!?ST存続を賭けた、一か八かの大勝負!

今回はSTメンバーも前作に比べてまとまってきていて、成長が感じられました。個性的なのは相変わらずだけれど、STブラック黒崎とSTグリーン翠の人間嘘発見器コンビなどの連係プレーがキラリと光る一作でした。
そしてしょっぱなから科捜研局長に呼び出される百合根(笑。そんないきなり手柄たてろ!っていわれたって困りますよね。しかも素直にビビッて素直にあせるキャップ、百合根。かわいいなぁ(微笑)上司にしりを叩かれ、部下にそっぽを向かれ、菊川の視線に硬直する。ちょっと人に優しくされると感動しちゃう。ほんとに百合根キャップはこのシリーズの陰のヒロインだと思います(ヒロイン?)。少々色物ですが、ノリのいい作品が嫌いでない方、これは一読の価値ありですよ!

ドリームバスター2
ドリームバスター2
徳間書店
price : ¥1,680
release : 2003/03/31

【商品詳細】

異次元の世界テーラから地球へと、死刑囚たちが逃げ出した。彼らは地球人の夢の中に巣食い、やがて体を乗っ取ってしまう。ドリームバスターは、その脱走犯を捕らえテーラへ連れ戻すことを生業とする。地球の民を救うべく、いや、脱走犯の首にかかった賞金を手に入れるため、美少年シェンと屈強な師匠マエストロの名コンビが活躍する、SFファンタジー小説のシリーズ第2弾。 犯人たちが典型的な「極悪人」であった前作に対し、本書では同情に値する脱走犯が描かれている。前半部分「目撃者」には、犯罪現場を目にしたために悪の道を歩むはめになったワッツが、後半「星の切れっ端し」では、幼児期の虐待によって暴力が身に染み込んでしまったモズミが、それぞれの境遇によく似た地球人に取り付いている。マエストロが「百パーセントの悪人はおらん」と言うとおり、犯罪者の心の中にも善がある。逆に、普通の人間であっても悪を芽吹かせる心の隙がある。本書は奇想天外な冒険ファンタジーの世界でありながら、単純な勧善懲悪ストーリーにはない、人間の弱さや生きることの悲哀を感じさせる深みのある物語である。 ほかに、シェンとマエストロの運命的な出会いのシーン、生れて初めて仕事に恐れを抱いたシェンの心に潜む陰、ドリームバスターに対抗する闇の組織など、1作目を知る者にはたまらない魅力が連なっている。(冷水修子)

ハイペースで続けて欲しい。

 異世界から夢に住み着いてしまった犯罪者たちを捕らえにくるDB(ドリームバスター)の活躍を描く第2巻。

 読み応えのあるライトノベルかなと思って1巻を手にとったものの、宮部みゆきさんが書いている以上、そんな浅いもんじゃないよねーと思い直した次第。1巻の最後の章で描かれた記憶消失で失語症を抱えた少年・リップの過去に絡みそうな雰囲気があったはず……2巻ではそのリップが姿をくらませてしまいました。
 今作では登場する犯罪者たちも、それぞれの傷を背負ってその傷にどう向かい合っているかが描かれています。勧善懲悪ではなく、犯罪者にもDBにも、そしてその周辺の人々の思いが多層に折り重なる作り込みの深さは読んでいて楽しいです。ちょっと昔ならば「ファンタジー小説なので子どもっぽいと思うかもしれないけど」と前置きしなければ友人に薦められなかったものですが、今はその抵抗感も薄いと思います。
 唯一の不安は田中芳樹さんのように、続巻が何年も発売されなくなること。既に4巻まで発売されていますが、完結まで一気に走り抜けて欲しいなぁ。
地底の魔術王 (少年探偵)
地底の魔術王 (少年探偵)
ポプラ社
price : ¥630
release : 2005/02

風化水脈 新宿鮫VIII (光文社文庫)
風化水脈 新宿鮫VIII (光文社文庫)
光文社
price : ¥980
release : 2006/03/14

真壁ファンは必見!

新宿鮫シリーズの8作目。今作の目玉は真壁!真壁で始まり真壁で終わる。真壁の物語と言っても過言ではない。服役を終えた彼が出所してきます。ただ1作目や無間人形とは違いハラハラ感は少なく淡々と物語が進行していきます。ハラハラするのはラスト数ページのみ。しかし最後の1行がとても良い。作者はこの1行のために660ページ書いたのかもしれない。名作です。
千里眼 ミドリの猿 (小学館文庫)
千里眼 ミドリの猿 (小学館文庫)
小学館
price : ¥580
release : 2001/03

二人の出会いは、こんな形で…

こんな かっこわるい嵯峨敏也がいてもいい。
常に冷静な観察眼で 人の心を見抜いて、救っていく…そんなかっこよすぎるだけの完全無欠の人間よりも…
自分のカウンセラーとしての資質、能力に疑問を持ちながら のたうちまわる、そんな