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DATE: CATEGORY:・文芸作品
塩狩峠 (新潮文庫)
塩狩峠 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥660
release : 1973/05

人間の美しさ

この作品に初めて出会ったのは高校1年生の頃でした。
確か読書感想文か何かで国語の先生が勧めてくれた本で、最初は「こんなにあるのか…」と半ばぐったりしながら読み始めた記憶があります。

でも…読み進めていくうちに読むのをやめられなくなり、ご飯の時間も忘れ、それこそ何もかも忘れて読みました。

「こんなに綺麗な心の人もいるんだ…」と涙が出ました。

当時思春期で人間不信だった私の心を慰めてくれたのがこの本でした。
百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))
百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))
新潮社
price : ¥2,940
release : 2006/12

買いです。

20年振りかの再読でした。前回どういった感想を持ったのか我がことながら判然としないものの、とても笑える場面が随所に散りばめられているというのが今回の読後の印象です。マコンドという架空の街を舞台にホセ・アルカディオ・ブエンティーヤを祖とする一族の物語、と言えば言えるのでしょうが、そんな言葉では片付けられないほど圧倒的な細部とエピソードで組み上げられており、そういった要約を拒むような在り方自体がこの作品の大きな魅力になっています。また、今回読んで思ったことのひとつは、この作品の密度は圧倒的な細部とエピソードということに加えて、わざと煩雑に絡み合い、読むものを混濁させるような一族の名前の付け方によっても生じているのだということです。慣れるまでかなり読み辛く、根気を要しますが、家系図を作ってみたりなど工夫を凝らしたりしながら(途中でバカらしくなってきますが)丁寧に読み込んでいけば、必ずそこに読書の喜びの地平が目の前に大きく広がってくるのではないかと思います。でも、解説でも触れられていますが、いよいよ物語も終わろうとする頃になっていきなり、「文学は人をからかうための最良の玩具」のいう文字が目に飛び込んできたときには、一瞬狐につままれたような気持ちになりましたが、作者の真意は案外こんなところにあるのかもしれませんね。
チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)
チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)
理論社
price : ¥1,260
release : 1999/02

子どもの思いに素直に共感できる物語。

 私は本書を大学生の今になって初めて読みました。素直に楽しめるだけでなく、子どもの頃の今は忘れてしまった気持ちを思い出す事ができました。大人は自分の行動を、未来を考えその時々の欲求と戦いながら、選択することができます。では子どもはどうでしょうか。
 
 本書の中では、子どもが金泉堂のお菓子という欲求の対象に左右されながら行動している様子が見て取れます。しかし、描かれている重要な事は、金泉堂のお菓子を自分の誇り、意志といったもののために諦めている姿が描かれていることではないでしょうか。
 それが結局、勧善懲悪という一種の物語の形式的な枠組みにはまりながらも、スリルや緊張感を生み出しているのだと私は考えます。子どもの無限の可能性とはよく言いますが、この物語は、子どもの力の「有限性」の上に成り立った物語と言えるのではないでしょうか。

 友情、先生と子どもの絆、家族、社会のルール、暴力、犯罪、子どもの大人観などなど本書が含んでいるテーマは多岐にわたります。子どもが小さければ、親子で読むことで色んな価値のある物語であり、成長し、一人で読むことによっても違う印象が得られる。そんな印象です。

 ぜひ一読をお薦めします。
アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)
アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)
早川書房
price : ¥840
release : 1999/10

ショック

 知的障害者が、知力を得、そして失ってゆくという、ストーリー。
本作で取られている日記という表現方法は、このストーリを伝える上で
絶大な効果を生んでいる。

 障害者は愛され、天才は疎まれる。
現実には必ずしもそうではないかもしれないが、
本作の中心にあるこのアイロニーは読者の心を刺す。

 僕らが障害のある人へ向けている
その目線は何なのかを問いかけられるからだろう。

 本作は人間の本性について、上手く光を当てた、
万人にとってショックな一冊だと思う。
 これはノンフィクションでなくては出来なかっただろう。

 レーガン婦人が、アルツハイマーで亡くなった夫の闘病の日々について、
「長い長いお別れを言っているようでした」と言っていた。
徐々に自分を失ってゆくということ。
それは本人にとっても婦人にとっても大変つらかった事だろう。

 現代は長寿の時代でもある。
本作の恐ろしさは、主人公や周辺の人々が経験する喪失が、
誰にとっても他人事ではない、という事かもしれない。
罪と罰〈中〉 (岩波文庫)
罪と罰〈中〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥798
release : 1999/12

意外ではない恋が芽生えるかも

ポンポン話が進んでいく。
おもしろい。
見ていて(読んでいて)非常におもしろく
すぐに残りのページが無くなっていきます。

ドゥーニャとラズミーヒンが恋に落ちるの
かと思いましたが、勘違いでした。

心理戦は、荒木 飛呂彦さんの漫画(スト
ーリー)と同じ。
ジョジョの奇妙な冒険が好きだから、この
本も途中で挫折せずに、読み進めることが
出来るのだと思っています。
(他の漫画にも心理戦はありますが、陳腐
なので・・・)

次は、(下)を読まねば!!
恋愛中毒 (角川文庫)
恋愛中毒 (角川文庫)
角川書店
price : ¥600
release : 2002/06

普通の恋愛小説と見せかけて...

新聞のコラムのせいである、私が本書を手に取ったのは。ある陸上選手の推薦図書に本書が挙げられていたのだ。推薦理由は「女性から見た時の恋愛観が良く描かれている」というもの。しかし、読み始めた私は、本書も女流作家が描くステレオ・タイプの恋愛小説だと感じウンザリした。

ところが、ヒロインの母親に対する"うっとおしい"感の余りのリアリティさに、これは恋愛小説を装ったホラー小説ではないかと疑い始めた。ヒロイン以外の登場人物は彼女の妄想(狂気)世界の住人だと。そして後半、予想通りの展開になったので自分でも驚いた。"愛と狂気は紙一重"なので、自然な進行かもしれないが。「女性の愛=男にとってのホラー」を巧みに描いた作品。

それにしても、出て来る犯罪が「無言電話」や「トイレ監禁」ではミミッチイ。ダメ男を含む大量殺戮事件にでもすれば、ブンガク性もより高まったと思う。それにしても、この作家、恋愛小説より絶対サイコ・サスペンスに向いていると思うのだが。
エルマーのぼうけん
エルマーのぼうけん
福音館書店
price : ¥1,155
release : 1963/07

【商品詳細】

ある雨の日、9つの男の子、エルマー・エレベーターは年とったのらねこから、かわいそうなりゅうの子どもの話を聞く。「どうぶつ島」に落ちてけがをし、野蛮な動物たちの虜になっていると。こうして、りゅうを助け出すエルマーの冒険が始まる。みかんの木が茂る「みかん島」へ、「ぴょんぴょこいわ」を渡り、いまだ誰も生きて帰って来たことがない「どうぶつ島」へ。たてがみを3つ編みにしてもらって喜ぶライオンやチューインガムの好きなトラなど、おっかないはずの猛獣たちがこれまたとんでもなくユニークで、実に愉快。りゅうを無事助け出した後もカナリア島で宝物を探し出したり(『エルマーとりゅう』)、人間たちに閉じ込められたりゅうの家族をそらいろ高原で助け出したり(『エルマーと16ぴきのりゅう』)、エルマーの知恵と勇気で、どの巻もぐんぐん盛り上がる楽しい冒険物語。黄色と空色のしま模様、真っ赤な角と目のりゅうをはじめ、自然や動物の美しい色彩が目の前に広がり、子どもたちの心の冒険地図が鮮やかに描かれていく。(平山イソラ)

強いエルマー

エルマーはどのような危機に瀕しても冷静沈着に
老猫の助言を回想し、俊敏に行動し危機を回避してしまいます。
完璧すぎるエルマーに、本当にこどもかよ!とサマーズの三村のように突っ込みたく
なる展開ですが、エルマーは二つの島をどう移動し、何に出会って
何をしたのか、そしてどうなったのか。或る程度話を理解することが出来るように
なった子供が物語を順序だてて理解するために、楽しく学ぶと表現すると
学びの押し付けになるのかもしれませんが、良い本なのではないでしょうか。
ちなみに私は小学校2年生の時でもイマイチ理解できませんでしたが(笑) 
表紙の裏の地図を眺めていても浪漫溢れる気分に包まれました。お勧めです。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥740
release : 1997/09

まさに迫真☆

一言では言い表せない凄みがある物語の世界に、強く引き込まれました。どこか奇妙で不可思議な話なのに、とても現実的かつ深くまで響く、本当にリアルを感じられるものでした。これは自分に近い話でもあると思います。

全ての人・日常に潜んでいる「闇」「暴力」「悪」について、それが人を変え、多くの人を損なっていくというテーマが中心にあるのですが、また同時に「個人」を掘り起こし、「人とそのかかわり」を信じているような強い温もりのある作品でもあると思います。

主人公・オカダトオルに対して、様々な心の闇を背負った登場人物達の結びつき、井戸を通した精神世界、象徴、また時代を超えた挿話など、多くのことがリンクして、何か大きな迫力と深いパワー、説得性を持った物語を生み出しています。
完璧に計算されたような物語ではありません。が、何かその不統合性をも含めた生々しさや想いみたいなものが「まるで自分のことのような近さ」を感じさせてくれるような気がしました。
特にそれが膨らんでいったのが、第三部だと思います。オカダトオルはやっと、妻の本当の声を聞くことが出来るところまで辿り着きました。
そして第三部では悪の象徴のような「ワタヤノボル」(いわゆるワタヤノボル的な世界)から、そこに取り込まれてしまった妻を取り戻すために、しっかりそれと向かい合い戦います。その姿は強く、とても人間的であったと思います。

この本を通じて感じたり、考えたりしたことは自分の中に変化を与えてくれるような大きいものです。正直、何が何と全てをはっきりと言える訳ではありません。ただ感動や衝撃みたいなものが大きかったのは確かです。自分にとって最高の読者体験でした。

あと、笠原メイには共感するところもあり、また魅力的でもありました。「僕は君が何かにしっかりと守られることを祈っている」本当にそう思います。
タイタンの妖女
タイタンの妖女
早川書房
price : ¥672
release : 2000/00

最高傑作

もう4回読んだけど、また読みたくなってきた。
始まりもラストも、その間も最高に面白い!!
とにかく、最高
沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)
新潮社
price : ¥620
release : 2001/12

小説としては興味深い、しかし…

日本航空に実在した小倉氏のエピソードとJAL123便の事故のエピソードを
組み合わせた、社会小説+経済小説の様な特殊な位置づけの小説である。

沈まぬ太陽で紹介されたエピソードはJASとの合併でますます混迷を深める
現在の日本航空の現状を考えれば、その背景を的確に描き出していると
言うことが出来ると思う。

その一方で、恩地氏の生き方にはどうしても共有できない部分がある。自身に
非がないとは言え、あそこまで盥回しにされるのであれば、家族のため、
自身のため転職するなり、筋を曲げるなり出来なかったのだろうか?。
「正しいことをしたければ偉くなれ」ではないが、なんとかならなかった
のだろうか?。

白い巨塔でも里見先生がその様な役回りだったのかもしれないが、彼が主人公
ではなく、清濁併せのむ財前先生との対比だから良かったが、今回は恩地氏が
絶対善的に描かれた分辛かったなぁという印象がある。

また、後半の国見会長は恩地氏との絡みで非常に好人物として描かれているが、
実際の伊藤会長は鐘紡の会長としてその地位に長く居座ったが故に名門企業
の事実上の破綻を招いた張本人でもあり、日本航空の件でも充分なリーダー
シップを発揮できなかった人物である。もちろん後に分かった事実ではあるが、
少し持ち上げすぎな気がする。

その意味で、非常に興味深い内容の小説ではあるが、感情移入しにくい印象
のある小説でもあった。
沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)
新潮社
price : ¥700
release : 2001/12

著者会心の傑作!

企業の利益優先と人間性の欠如は現在も多くの人命を奪っている。
JR脱線事故、安曇野の観光バス事故、多くの長距離トラックの事故など上げたら数限りなく出てくると思う。
20年前に警鐘とも言える事故を経験しながら、この国はどうなって行くのかと不安になる。

刑罰的人事を描いた1―2巻での企業の腐敗、人道の欠如は520人を人柱にする大事故に発展した。
著者は見事な取材で、3巻にあの忘れてはならない未曾有の大事故を立体的に描ききり、当時報道されきれていなかった事実をも描いている。
この4巻では、うわべだけの謝罪をすませ、のうのうと私欲をむさぼる、役人的特殊法人と言う”お役所”と改革に立ち上がる人々の戦いが始まった。

この巻では個人的に組合活動をささえる家族たちに頭が下がり、事故現場に一周忌に集まった遺族たちの叫びに涙した。
人が良心を取り返し、金銭意外に人生の目標を持たなければ、事故の本当の解決は遠いのではと思う

この事件を知らない若い世代の方にも是非読んでいただきたい作品であり、その際”クライマ?ズハ-横山秀夫”も一緒にお読みいただけましたら、この事件の社会的影響がより理解できるはずです



わたしを離さないで
わたしを離さないで
早川書房
price : ¥1,890
release : 2006/04/22

【商品詳細】

『日の名残り』『私たちが孤児だったころ』で高い評価を得た作家が送る、感動的な小説。心に残る友情と愛の物語の中で、世界と時間を巧みに再創造してみせる。 現在31歳のキャシーは、イギリスの美しい田園地方ヘールシャムの私立学校で、子ども時代を過ごした。そこでは子どもたちは外界から保護され、自分たちは特別な子どもで、自分たちの幸せは自身だけでなく、やがて一員となる社会にも、非常に重要だと教えられていた。キャシーはこの牧歌的な過去とはずいぶん昔に決別したが、ヘールシャム時代の友人二人と再会して、記憶に身をまかせることにする。 ルースとの交友が再燃し、思春期にトミーに熱を上げた思いが恋へと深まりはじめる中、キャシーはヘールシャムでの年月を思い返す。外界から隔絶された穏やかさと心地よさの中、少年少女がともに成長する幸せな場面を、彼女は描写する。だが、描写はそんな場面だけではない。ヘールシャルムの少年少女育成のうわべに隠れた、暗い秘密を示唆する不調和や誤解。過去を振り返ってはじめて、3人は自分たちの子ども時代と現在の生き方の真実が見え、それに対峙せざるを得なくなる。 『Never Let Me Go』は単純に見える物語だが、そこに徐々にあらわにされていくのは、驚くべき深さで共鳴する感情だ。カズオ・イシグロの最高作にあげられるだろう。

静かだが揺るぎない感情の交錯

「事態の全貌が明らかになった時、読者は血も凍るような恐怖感を覚えることになる。魂の奥底にまで届くような衝撃がある」。脳科学者の茂木健一郎は、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』の書評でこのように書きました。あらすじに注目した書評としては、あながち的外れでもないのでしょうが、私個人がこの作品に抱いた印象は大きく異なります。
運命を強制された人々の心の中にあっても、静かでも途絶えることのない感情の動き、それらをイシグロならではの抑制された文体で静謐に描き出した作品。私はそのような印象を受けました。三人の主人公、キャシー、ルース、トミーが共に過ごしたヘールシャムという施設、自らの手で選び取ることのできない運命、これらはあくまで舞台背景であって、この作品の本質を成すものではないように思われます。
他者の手で強いられた運命の中においてさえ、三人の心の内では、喜び、怒り、悲しみ、あらゆる感情が揺れ動きます。それは、三滴の雫が静かな水面に発生させた同心円の波が広がり、交錯して増幅し、すれ違い、そして去っていく様子が想起されます。
海辺の町クローマ(イングランドのLost Corner:遺失物置き場)は、この作品において極めて重要な土地ではないでしょうか。トミーがキャシーのために”Never Let Me Go”が収録されたカセットを探す町、ルースが自らの母親を探す町、ヘールシャムで育った者達が異なる未来を探す町。そこには何も見つからないかもしれない、私達の運命は既に決定されているのだから、それでもそこを訪れない訳にはいかない。
この作品でのイシグロは、これまでの執筆活動の頂点に達したように見受けられます。今後彼は、技術的にも内容のうえでも新しい試みを始めることになるのでしょうか。不安と共に期待をもって待ちたいと思います。
1984年
1984年
早川書房
price : ¥798
release : 1972/02

現代こそ読む価値のある小説

1984年といえば20年以上前、そしてこの小説の書かれたのは1948年。
古い小説と思われるかもしれませんが、実は現在こそ読まれるべき小説です。
何故ならば最近話題の社会保障番号。社会保険庁のミスをこの番号に国民全員を
登録させる事によって国民の個人情報を管理できるわけです。
個人情報漏れした場合はどうなのか?など様々な問題点を指摘されますが、
この議論をされる事自体やはり注目されるべきです。

私はオーウェルのこの作品を読んだ頃はこの内容を空想小説にしてはよく
できていると考える程度でした。
しかし昨今の国民総背番号制度を国会で討議される事からも決して
古いネタではなくて、現在こそ読まれるべき小説だと確信しています。

国民の個人情報に焦点を当てましたが、この小説は起こって欲しくない事を
見事にディストピアの世界として描いています。
読んでいると「ここまで思いつくか?」と思わせるほど暗黒世界を描写しています。
単に小説を読むだけではなくて、筆者の哲学までを思い知らされる、そういう作品です。
読み応え十二分。よく再読します。

聖なる予言 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
聖なる予言 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
角川書店
price : ¥777
release : 1996/06

エナジーフィールド

ペルーを舞台にしたスピリチュアルな本でした。
仕事に行き詰まりを感じて休暇中のアメリカ人が、ある古文書の事を友人から聞いてペルーに飛ぶところからはじまります。古代マヤ文明に書き残されたという九つの予言は、人間がいかに進化していくかを示しているらしい。エネルギーフィールドという概念から対人関係を解き明かすあたりは理解できた。相手を肯定しエネルギーという形でポジティブな感情を与えあっていれば、対人関係は理想的なものになるでしょうね。社会全体がそういった関係になれば、それこそがユートピアというのはよくわかる。しかし人間が高次のエネルギー界に転移するのはちょっと理解の範疇を越えましたね。
それでもマチュピチュは行ってみたいと思った。そこでどんなエネルギーを感じることができるのだろうか。
天国までの百マイル (朝日文庫)
天国までの百マイル (朝日文庫)
朝日新聞社
price : ¥500
release : 2000/10

【商品詳細】

主人公の城所安男は、自分の会社をつぶしてしまい、いまや別れた妻子への仕送りもままならぬほど落ちぶれた中年男。ある日、心臓病で入院する母を見舞った安男は、主治医から病状の深刻さを告げられ愕然とする。そのまま治療を続けても母の余命はごくわずか。残された道はただひとつ、謎の天才外科医にバイパス手術を施してもらうこと。衰弱した母をワゴン車に乗せた安男は、房総のひなびた漁村にあるカトリック系病院目指して、100マイルの道のりをひた走る。はたしてその先に奇跡は待っているのか――。 年老いた親の介護や終末医療というテーマはきわめて現代的で、自らの身の上と重ね合わせずに本書を読み進めることはまず不可能にちがいない。そして、それぞれに成功者となり、老母とのかかわりを避けようとする主人公の兄たちの冷淡ぶりに怒りが込み上げてくる。だが一方で、その兄たちの姿がそのまま、読む者自身を写し出す鏡であることにも気づかざるを得ない。そんな恐ろしい一面を隠し持つ作品でもある。 また、特筆すべきは安男の同棲相手のマリだろう。「ブスでデブ」を自認するホステスのマリは、不幸な生い立ちにもかかわらず底抜けに明るく、安男に惜しみない愛情を注ぐ。この上なくリアルなキャラクターでありながら、同時に、男にとっての理想の女に描かれていることは驚きに値する。本書をせつない男女の恋物語たらしめている名脇役に、ぜひ注目してほしい。(西村 匠)

泣かされる

浅田次郎さんは正直な作家だと思う。物語は、当然、虚構ではあるけれど、本音が散りばめられている。マリは、「椿山課長」の知子と同じく、彼の理想の女性だ。マリは、零落れた男に無償の愛を注ぎ、必ず一人前の男に立ち直らせる。愛を与えるだけで何物をも求めず、愛する相手が幸せになってくれることだけをひたすらに願う、母性本能そのもののような女だ。
ストーリー自体は、人情話で、バブル崩壊でどん底の貧乏生活に転がり落ちた主人公安男と母親との母子愛に、安男に対するマリの溢れる愛と、多くの人の善意がからむ。
マリは勿論、サン・マルコ病院、曽我医師、藤本内科医、長田歯科医、中西社長、刺青を背負った金貸しの片山までもが理想化されているが、それは、反面、現在の世の中にうようよしている、これと正反対の悪徳存在に対する作者の批判と抗議でもある。
甘いかもしれないけれど、作中の人間の愛と善意に泣かされる。こんな世の中ならまだ救われる、人生まんざら捨てたものでもないと思わせる。浅田次郎さんは、エリートたちの生き様を風刺しつつ、落ちこぼれ逆境にある人たちに暖かい眼差しとエールを送っている。人生に失敗したり、逆境を経験したことのある人ほど身に沁みる物語である。


ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥580
release : 1997/09

少しずつだが見えてきた

村上作品に共通する事ですが、正直面白さを説明するのは難しいですね。
なにより(まだ第2部までしか読んでいないからなのか)私自身はっきりしない部分も多いです。
特にこの作品は読んでいて特に難しさを感じます。
それでも、???とならず自分自身で色々考えながらはまって読めるところが文章の上手さなんでしょうね。

ついに次が最終、第3部!!
罪と罰〈下〉 (岩波文庫)
罪と罰〈下〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥840
release : 2000/02

人類の至宝

はじめて読んだドストエフスキーですが、度肝を抜かれました。文章の力といったらいいのか、100年以上前の著作でありながら、強烈に引き込まれました。
本書の翻訳者である江川卓さんの「謎解き「罪と罰」」を読んで、ドストエフスキーの凝りに凝った思考過程を知ると、2個目の度肝を抜かれました。
サスペンス・恋愛・思想・・といったさまざまな要素をキリスト教的世界観によってつむぎ、しかも、これらが複合的・多義的な独特の言語感性によって表現されており、とにかくスゴイ小説です。
ストーリー展開はもちろんですが、単に、「文章感を味わう」だけでも、実に質の高い酩酊感を味わうことができます。
猫語の教科書 (ちくま文庫)
猫語の教科書 (ちくま文庫)
筑摩書房
price : ¥609
release : 1998/12

猫好きにはたまらない!

猫が教科書を書くなんて!その発想が素晴らしい。「まだほんの子にャのとき...。」ではじまる出だしが可愛くてどんどん読み進めてしまいます。人間が猫にメロメロになってしまう訳がいちいち頷けます。疲れて帰宅したときこの本を写真とともに開いていると嫌な事も忘れられる感じです。猫好きなら一冊は持っていたい本。
もどってきたアミ―小さな宇宙人 (徳間文庫)
もどってきたアミ―小さな宇宙人 (徳間文庫)
徳間書店
price : ¥620
release : 2005/08

是非よんでみるといい1冊

ある本を書かれたかたのオススメということで、
AMAZONを見たら、カスタマーレビューの評価がよく、また在庫薄というところも
「読みたい!」という気持ちを押してくれました。
1冊目を読んでみて、是非コチラをよんでみてください。
既に自分の中でわかりきっていたことも再認識(再確認)されました。
すてきな思想のお話です。

シャーロットのおくりもの
シャーロットのおくりもの
あすなろ書房
price : ¥1,575
release : 2001/02

再読に耐えます

日本人の両親のもと英語圏に生まれ育ち、来年より現地の小学校に通う娘のために購入しました。こちらの小学校の図書館およびブックショップでは必ず見かける本だったので、初めに日本語で理解してから英語で読めば理解がスムースに行くかと思いました。他のレビューでもたくさんの方が書いていらっしゃるように名作です。五歳の娘には三度読み聞かせしましたが、詳細まできちんと覚えていて、読むたびに心を打つものがあります。彼女の話題によくのぼるので、三歳の弟までもクモをみると「シャーロットだ!」と叫ぶようになりました。お子さんによい本を与えたい方に。
宿命 (講談社文庫)
宿命 (講談社文庫)
講談社
price : ¥650
release : 1993/07

宿命というタイトルの意味は

あるとき、殺人現場に出くわしたときに、運命的に再会することになる。一方は、殺人の容疑者として、他方は警察官として再会することになる。また、その容疑者の妻は、警察官の元恋人だったということで、いろんなところで、運命の糸があるんだなといった感じでしょうか。帯に書かれている、「ラストを先に読まないでください」は大げさすぎるかもしれない。それでも、序章から順に読み薦めてみると、ラストの良さが徐々に染み渡るかもしれない。犯人探しよりも、宿命という題名にこめられた意味を理解するのがいい読み方のような気がする。

「重要なのは、自分にはどういう宿命が与えられているかだ」という言葉がすごく気になるわけだが、瓜生晃彦は、いままで父の代からやってきた人間の感情をコントロールするという人体実験の被害者を守るという宿命を与えられたのだろう。その宿命を果たすためには、いろいろと犠牲を払ったのかもしれない。晃彦の人生は、宿命を果たすことのみによって生きることになる。そういうことになると、2度目に読むときは、出だしの晃彦の印象もがらっと変わってしまうな。全てを卓越しているような印象を改めて持つことになるだろう。

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
早川書房
price : ¥672
release : 2003/10

「外人本」嫌いな方へ

なんか外人の翻訳本って読みにくい。
なんか素敵な作品読みたいけど、ちょっと昔の素敵な作品になると、
入り込めないし。今って笑うところなんでしょうね、ってな具合。
「ライ麦畑でつかまえて」も村上春樹さん訳なら、素敵に思えるかもと買ってみたが、
今は本棚で眠っている。春樹さんは好きだけど、外人本は嫌い。

だがしかしこの本、乾いた空気の様に聞こえる言葉の音と、本を読んでいる人が透明人間になって
そこにいるような感覚、そしてリズム、完読。そして絶賛。
「最後に自分だけが残った」って感じ。
マネー・ボール (ランダムハウス講談社文庫)
マネー・ボール (ランダムハウス講談社文庫)
ランダムハウス講談社
price : ¥798
release : 2006/03/02

ビジネスへのヒントが一杯

貧乏球団アスレチックスはなぜ3分の1の選手予算でヤンキースと同等の成績を収められるのか?
本書はこのシンプルかつ深遠な問いからスタートする。

その答えは驚愕的である。曰く、チーム打率とチームの勝率は関係ない、ホームランの数など意味が無い、防御率などどうでもいい等等等等等・・・。とにかく、これまで「いい選手」を規定するとされてきた「指標」をことごとく否定し、分析(文中では語られていないが恐らく多変量回帰)を通じて「アスレチックスだけが着目する指標」を磨き上げ、その指標に基づいて他チームが見向きもしない選手をドラフト1位指名していく。

面白いのはアスレチックスにドラフト指名された大学生本人がびっくりするという点だ。本人自身も旧来型指標で自分を判断しているため、自分はドラフトでお呼びがかかるわけ無い、と思っているのである。そして、その選手がプロ入りするとその選手への大活躍と他チームスカウトの地団駄が見られる・・・。

この本を読むと、従来のパラダイムで「良い」「悪い」とされてきたものを、もう一回、本質的なメカニズムまで昇華して考えてみるということの大事さが良く分かる。昔は大学生選手の打撃成績を大量に収集して多変量回帰にかける、なんていうことは2つの理由で出来なかった。1つはデータの不備でもう一つは計算能力の問題である。そのそれぞれはインターネットの普及とパソコンの計算能力の飛躍的向上で解決されてしまった。

ビジネスにおけるイノベーションを志向する人にとっても学ぶところの多い本だと思います。


マーリー―世界一おバカな犬が教えてくれたこと
マーリー―世界一おバカな犬が教えてくれたこと
早川書房
price : ¥1,500
release : 2006/10

本気で大泣き

昨晩(正確には今日の深夜2時)、ようやくこの本を読み終えた。涙が止まらなかった。今年40代に突入する大男が、本気で大泣きしてしまった。

全米で200万部以上を売り上げたという大ベストセラーらしく、終始感動した。本のボリュームも多く、362ページもある。この手の海外モノのノンフィクション・エッセイは正直あまり読まないのだが、そんなオレでも、夢中になって読ませてくれたのは、主人公「マーリー」が我が家のHALと同じイエローのラブラドールという事だからだろう。感情移入するのには、それほど時間を要さなかった。

何日か前に、読み始めの頃、この本についてこのブログで紹介させてもらったが、その頃は、それほどこの本の内容を把握していなかったのは事実だ。今はというと、ここ数年で確実にやってくる「HALの老い」と、主人公「マーリー」の最期を重ね合わせて読み終えたオレがここにいる。

著者「ジョン・グローガン氏」のファミリーが主人公「マーリー」との出会いから13年にわたる生活を克明に書いた本書。約10年前、HALを我が家の一員に迎えた頃を懐かしく思い出し笑い転げた前半、「マーリー王子」の破天荒な振る舞いに一喜一憂しながら読めた中盤、これから我が家が待ち受けるであろう「愛犬の老いと最期&ペットロス」について書かれた終盤。こんなオレにでもこれからのHALについての心構えを大いに学ばせてくれた。

著者のジョン・グローガン氏が、アメリカのコラムニストであるという事が、この本をとても読みやすくしているのだと思う。もちろん、この本の原作(英文)をいちはやく読み忠実に翻訳された訳者:古草秀子氏の努力も賞賛に値する。ページの所々に登場する「マーリー王子」のスナップ写真。これも決して多からず少なからずの丁度いい量で、楽しませてくれた。

著者の謝辞の引用ではないが、「全てのラブラドールの飼い主」に限らず「犬」を家族の一員として迎えた事がある方やこれから迎えたいと思っている方に、是非読んで貰いたい一冊である。

最後に、この素晴らしい本に巡りあうキッカケを作ってくれた、The Otter's Tail(http://www.otterstail.com/)のぐるーちょママに感謝申し上げたい。
モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
岩波書店
price : ¥1,785
release : 1976/09

【商品詳細】

冒険ファンタジー『はてしない物語』の著者であるミヒャエル・エンデが贈る、時間どろぼうと風変わりな女の子の物語である。文章のみならず、モノクロの挿絵までもエンデ自身が手がけた本書は、1974年にドイツ児童文学賞を受賞。小学5、6年生以上から大人まで幅広い年代の人たちが楽しめる、空想力に富んだ小説だ。 円形劇場の廃墟に住みついた、もじゃもじゃ頭で粗末な身なりをした不思議な少女モモ。黙って話を聞くだけで、人の心を溶かし悩みを解消させる能力を持った彼女のまわりには、いつもたくさんの大人や子どもたちが集まっていた。しかし「時間」を人間に倹約させることにより、世界中の余分な「時間」を独占しようとする「灰色の男たち」の出現により、町じゅうの人々はとりとめのないお喋りや、ゆとりのある生活を次第に失っていく。 本書は、時間どろぼうである「灰色の男たち」とモモの対決というスリルあふれる展開を通して、1分1秒と時間に追われる現代社会へ、警鐘を鳴らしている。たとえば、モモの友だちだったニノが「スピード料理」の店を始め、大繁盛しているせいで他人とわずかな世間話をする暇もないというように、時間を盗まれた人たちは、現代の私たちの姿そのものとして描かれている。昨今、モモのように際限のない時間の中で、空想をめぐらせ楽しむ生活はほとんど忘れられている。子どもばかりでなく、忙しい大人たちにも夢見ることの大切さを教えてくれる本だ。(砂塚洋美)

ミヒャエル・エンデはなんといってもこれ。

無類に面白い小説、というか長編メルヘンである。
やや寓意がはっきりしすぎているところもあるが、作者が訴えたいテーマやその思想哲学
には深みがある。ドイツ伝統のメルヘン的幻想と近代的なカプリースが巧みに融合されて
いる。悪役である時間泥棒には実体はなく、人間たちの心の持ちようから生まれたという
ところはまことに秀逸で、しかも見事に小説化されてもいる。はじめの方に出てくる子供
たちの遊びのファンタジーはそれだけ取り出して独立の物語にしてもいいと思う。
老人と海
老人と海
新潮社
price : ¥420
release : 1966/06

【商品詳細】

ときにはヘミングウェイの代表作である、漁師の話を読んでみてはいかがだろうか。ヘミングウェイは戦後、『Across the River and into the Trees』(邦題『河を渡って木立の中へ』)などで不評を買い、作家生命の危機に立たされたが、『The Old Man and the Sea』(邦題『老人と海』)によって作家としての名声を盛り返した。1954年にノーベル文学賞を受賞するに至ったのも、この作品によるところが大きい。(かつては、「ノーベル賞を受賞した作家は、その後ろくな作品を書けない」と考えていたヘミングウェイだったが、このときは、喜んで賞を受けている) それから半世紀が過ぎた今でも、彼の受賞は納得いくものだ。キューバ人の老漁師とマーリンの知恵比べ(あるいは、腕とヒレの対決と言うべきか)の物語は、「肉体とモラルの闘い」という、ヘミングウェイの得意とするテーマである。しかし、後に彼の作品をだめにする大きな要因となる、「銃に象徴される男らしさ」を演じるには、サンチャゴは年齢的にも肉体的にも無理がある。 「老人のほおには、熱帯の海に照りかえす陽光を浴びてできた、皮膚ガンを思わせる褐色のシミがあった。シミは、顔の横に、上から下まで点々と続いていた。手には半月状の深い傷があった。綱を使って大魚と格闘するためだ」 また、この作品でヘミングウェイは、かつて天下にその名をはせた、「瞬間」の映像を鮮やかにとらえるスタイルに戻っている。 暗くなる間際、大きな島のような海藻のかたわらにさしかかった。まるで大海原が黄色い毛布の下にある何かと戯れているかのように、明るい海の中で、海藻がゆらめいている。老人の細い綱に1匹のシイラがかかった。シイラは、海面に跳び出すと、残照を浴びて黄金色に輝きながら、体を反らせ、空中で身をくねらせた。 若き日のヘミングウェイがこの小説を書いていれば、おそらくサンチャゴは、しとめた大魚を港まで運び、著者自身が1935年ごろ好んでやっていたように、勝利を記念して写真を撮っていただろう。ところが、老人の釣り上げた獲物は、サメの群れに食われてしまう。港に着いたとき、残っていたのは骨だけだった。そしてとうとうラストシーンで、老人は床に伏し、わが身と創造主について考えるようになる。「老人はライオンの夢を見ていた」のだ。作品のいたるところに、芸術的寓意、あるいは経験から得られた寓意が漂っていると考えていいだろう。 何にしろ、『The Old Man and the Sea』が、ヘミングウェイの作品の中で、最後の「大魚」であることは間違いない。

ハードボイルドスタイル☆

ヘミングウェイの作品はいわゆるハードボイルドスタイルで書かれたものなので女性的な文学を主流とする日本には受け入れにくいものかもしれませんがやはり読むべき一冊だと思います。

老人と少年の強いつながり、老人の自意識が本当に客観的かつ簡潔に描写されているのですがよく伝わってきます。老人の内面を行動で表していて本当に淡白です。まさにヘミングウェイといった感じがします。
結末の皮肉も彼の厭世的な晩年の心境を反映しているようで良かったです。

訳者の福田氏が書かれた『老人と海の背景』にはアメリカの小説がなぜ通俗的であるかなど興味深いことがたくさん書いてあって勉強になりました。

放送禁止歌 (知恵の森文庫)
放送禁止歌 (知恵の森文庫)
知恵の森
price : ¥680
release : 2003/06/06

みんなが見て見ぬふり

「放送禁止歌」とされる数多くの曲。その根拠は何なのか?誰がそれを禁止しているのか?その疑問を掘り下げていくと、その大本には多くの問題から目を背けようとする人たちの存在が見えてきます。本来はきちんと向き合わなくてはいけない問題。でも、誰もそこに向き合おうとしていない・・・。問題意識を持たなければ見過ごしてしまう、日常生活の様々な秘密の裏に、こんなにも多くの差別問題が潜んでいることに愕然とさせられた1冊。

私は現在アメリカ在住ですが、アメリカにも差別は沢山あります。でも、少なくとも、誰もが差別が存在し、それが問題であることには気付いているように感じています。日本では、多くの人が差別が存在することにすら気付いていない、問題をどうこうする以前の段階にいるのではないでしょうか。そして、本当に多くの問題が、根本的には差別から生じている。そのことに気付かずに過ごせてしまう社会が、とても怖いと思う今日この頃です。
ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)
ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥660
release : 2001/06

チベットとは?ダライラマとは?

チベットとは?ダライラマとは?というところから入る方も、ある程度ご存知の方も、まずはこの本からお勧めします。チベットという国が、今や中国国内の地図に入っている経緯、ダライラマ14世が行なってきた中国との対話、そして今亡命政府としてインドに入り今のダラムサラに入るまでの経緯がよくわかります。私は昔、映画で転生制度に驚きましたが、どのようにダライラマが選ばれてくるのかということも、本の中でふれられています。13世が遺書の中で「自国を守らなければ、チベットは・・・宗教的指導者は国から姿を消し僧も僧院も絶滅されるだろう・・・」
と警告を残したという部分が印象に残りました。本当に今や寺院も180のうち3つしか残らず、中国により観光化され80%が中国人で教育も中国語によるものになっています。
しかし現在非暴力のままのチベットを、日本と対比させ、ダライラマ14世の人柄を本の中で感じて日本の政治家と対比させ・・・・どちらがいいのか、私たちは何か出来ないのか?・・・・・一気に読んだ後、世の中の視点が変わった本でした。
沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)
新潮社
price : ¥700
release : 2001/11

続きが楽しみ

合員の待遇改善を目的に組合活動を活発に行ったことからアフリカに10年以上飛ばされていた主人公の恩地が組合員の働きかけでようやく帰国できるようになった。

アフリカ編(下)は読中爽快であったがその後はどうなるのか…楽しみである。

この面白さは最後まで挫折がないことは間違いない。

ぼくたちの砦
ぼくたちの砦
評論社
price : ¥1,680
release : 2006/10

「安穏」であることの困難

主人公は12歳の少年。彼に、とりたててすばらしい英雄的行動があるわけでも、思慮深い判断があるわけでも、底抜けに明るいユーモアがあるわけでもない。もちろん、彼に魔法や超能力が使えるわけでも、幽霊や異星人と遭遇するわけでもない。彼が欲すること、彼が考えつくこと、彼が気にかけていることは、日本で生きる12歳の少年たちと、実は、変わるところがない。
そうなのだ、主人公は、たんなる12歳の「やんちゃなガキ」に過ぎない。だが、彼が置かれている社会状況は、主人公が「やんちゃなふるまい」を欲したり貫いたりすると、即、サバイバルへと引き込もうとする。
そこで彼は逡巡しながら(先行する人々の行動や言動に触れながら)知ることになる。このサバイバルをくぐって生き残るためには、途方もない忍耐力と、篤い友情と、そして「敵」も自分と同じ人間であることを見失わない知性が必要なことを。
この物語に、「現時点で」、ハッピーエンドや(溜飲の下がる結末)はない。まして、読者は癒されない。鋭い問いを喉元に突き付けられるだろう。しかし世界を正視するホンモノの小説を望む人は、是非。
グロテスク〈下〉 (文春文庫)
グロテスク〈下〉 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥660
release : 2006/09

最後が短絡的過ぎ

最後、今まで周囲の者に対して常に批判的な態度をとっていた主人公がいとも簡単に今まで批判していた人たちと同じ道を進んでいくあたりでの心理的変化の説明がなさ過ぎるというか、短絡的過ぎて主人公の言動に全然共感できなかった。それに主人公は、妹が美人ということでそれに自分の人生が振り回されているといっているけれども美人の規定も人それぞれだから単に美人と書かれてもぴんときませんでした。あまりにも批判的な主人公の表現はわざとらしいし、くどくどしくて好きになれませんでした。どうして常に他人を批判するのか、そんなに批判的になっても結局は批判している自分が一番いやになったりむなしくなるのに、なんか頭が悪いなあと思って、批判的にしか考えられない主人公が、かわいそうな人だと思いました。他の人たちの考えも結構過激な部分が多いし、日常の感情からは跳躍しすぎのような気がしてちょっとついていけませんでした。結局住む世界や時代が違いすぎるということなのでしょうか?過激すぎる内容についていけず共感はできませんでしたが、部分部分での描写では共感できる部分もありました。
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥540
release : 1997/09

シュールで壮大な世界観

「ノルウエーの森」を最近読んだばかりですが、
米国では、「ねじまき鳥クロニクル」が最も評価が高いらしいとの事で読んでみた。
一見平凡そうな主人公の、ごくありふれた日常的な風景(スパゲティーを作るところ)から物語は始まるのだが、次第に非現実的なエピソードが重なっていき混沌とした世界へ入っていく。
さらに物語は過去の戦争の話にも広がり、現実と非現実、日常と非日常が交錯し、
それぞれの世界はバラバラの様でいながらも、「井戸」「顔のアザ」「バット」などのキーワードによってリンクされている。
一言で言うなら、村上ワールドとでも言うべきシュールで壮大な世界観を表現しおり、
「ねじまき鳥」によって象徴されている「何物かの力」がそれぞれの世界をつなぎ、動かしている。(さらに他の村上作品にもリンクし、ひろがっているのが凄い!)
その「何物かの力」の大きな要素になっているのが「暴力」であり、これらの世界を支配するパワーとして描かれている。
まだまだ解釈がまとまらず、何日かは本書の事が頭から離れないだろう。
本書は村上春樹の集大成とも言える作品であり、間違いなく傑作だとは思うのだが、
正直言って長かった・・・(やれやれ)
プリズンホテル〈1〉夏 (集英社文庫)
プリズンホテル〈1〉夏 (集英社文庫)
集英社
price : ¥580
release : 2001/06

生きる気力を与えてくれます

電車の中で流れる涙を止めることができませんでした。

高度経済成長期の日本。
華やかな時代には陰があり、そして、華やかな時代を終えた後にも人生は続きます。

生きることの意味は、生き続けてこそ分かるのかもしれません。

どこにでもいる人物と、どこにでもはないだろう環境設定が上手にコラボ。
読後感がスッキリする、良作です。
太陽の子 (角川文庫)
太陽の子 (角川文庫)
角川書店
price : ¥680
release : 1998/06

語りたくないけれど大事な過去

 悲惨な経験をしてきた大人たちが決して語りたくない・・・でも、とても大事な過去。
 主人公のふうちゃんを通じて明らかになっていく悲惨な過去。
 その重いひとつひとつの過去にけなげに耐えていく主人公のふうちゃん。
 大変感動しました。
 よい作品とめぐり合えてよかったです。
DIVE!!〈下〉 (角川文庫)
DIVE!!〈下〉 (角川文庫)
角川書店
price : ¥580
release : 2006/06

激闘!!

DIVE!(上)の後編ですが、凄いです!
今までのストーリーの総決算のような怒涛の展開です。
興奮と感動のラストまで一気に読みきってください!
DIVE!!〈上〉 (角川文庫)
DIVE!!〈上〉 (角川文庫)
角川書店
price : ¥580
release : 2006/06

若さいっぱい、はちきれそうなスポ根小説!

水泳の飛び込み競技という、一見涼しげな、しかし、かなりハードとうかがえる
スポーツを題材とした、10代の男の子たちの青春スポ根小説。

主の登場人物は、それぞれ個性を持った3人の男の子。
どの子も本当に魅力的で、誰もが勝ってほしくて、
最後はこの中の誰が勝つのか、誰が負けるのか!?と思うと、
ハラハラどきどきしてしまい、続きを読むのが怖かったほど・・。

大人目線のオリンピックと、夢を持った少年目線のオリンピックとのギャップや、
才能への妬みや嫉妬、諦めないことの素晴らしさ、友情・・
キラキラ、色々なものが詰め込まれている小説。

上下巻とも、あっという間に読み終え、しばらくはその爽やかな世界に
酔いしれていた。本っ当に最高だった!!
今までスポ根モノの小説を読んだことのない方にも、是非読んでみてもらいたい!
赤い月〈上〉 (新潮文庫)
赤い月〈上〉 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥580
release : 2003/11

女でい続けた女

この小説は、波子という一人の女を中心に、戦争、家族、人間関係を描いたものだと思う。 日本が敗戦後、満州で築き上げた富と名誉をことごとく壊され、波子は夫と離れ離れになり、二人の子供と命を危険にさらしながら、日本へ帰る手段を捜し求めるのだが、波子という人間臭さというのが、まざまざと感じられる小説だ。 母親ではあるが、自分の美貌に自身を持ち続けた若い時代を忘れられず、中年になっても、男への執着心、執念、それゆえに得られる強さ、生きるという勇気。子供に軽蔑されても、自分の生き方を変えなった波子という女が、戦争という時代を強く、異常なほど前向きに生き抜いている。

クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
ダイヤモンド社
price : ¥1,680
release : 2003/10/31

【商品詳細】

ベストセラー『ザ・ゴール』に続くゴールドラット博士によるシリーズ待望の4作目。テーマはTOCによるプロジェクトマネジメントである。 本書でも一連の作品と同様に、既存の手法が通じない経営問題に直面する主人公がTOCに出あい劇的な成果をあげるという、「コストワールド」から「スループットワールド」への転換を興味深く描き出している。その「世界」を体験させてくれる大きな役割を果たすのが、定番の小説スタイルといえよう。 ストーリーは、大学のエグゼクティブMBAのクラスを舞台に繰り広げられる。主人公の教授と、各業界から現行のプロジェクトの納期短縮といった使命を帯びて集まったプロジェクト・リーダーらが、議論を戦わせながら現実的なソリューションを求めていく。 プロジェクトの問題点はここで総ざらいされる。納期直前まで作業を始めない「学生症候群」、結局は無駄になる「セーフティー(時間的余裕)」、あるいはクリティカルパス以外の作業の開始時期、プロジェクトの評価基準などだ。TOCはそれらを見事に解決するが、同時に、クリティカルパスの変化やマルチタスク(掛け持ち作業)による人的リソース不足といった実行段階の問題を解く新たな視点も要請する。それが「クリティカルチェーン」である。 謎解きのような展開にはやや焦らされるが、具体的な事例をもとにプロジェクトマネジメントの基本を順に追うことができるのはよいトレーニングになる。エッセンスがつまった部分としては、取引先との納期の交渉シーンなどが見ものである。読者を限定しない1冊で、これでTOCはさらに浸透するだろう。(棚上 勉)

理論だけでなく、十分に現実を踏まえているところが共感を呼びます

ゴールドラット博士の本は、これが始めてです。
小説形式なのは、とっつくやすく読み進めやすいという利点がありますが、
ストーリー展開とか、いわゆる小説を期待してはいけませんね。
あくまでも、プロジェクト管理へのTOC理論の応用を具体的に展開する
ツールという風にわりきっていいと思います。
さて、製造業に限らず、業務プロセス、プロジェクトプロセス管理は、
予算超過、スケジュール超過という2大問題は避けて通れない宿命の感が
あります。現実には、KKDで乗り切るということが多いのではないでしょうか。
それは、誰にとっても本意ではありません。

本書を読むと、なぜそういった問題が発生するか、が理論的に説明される
場面が登場しますが、かなりスリリングな場面でもあります。
結局、PERTやガントチャート、クリティカルパスなど管理手法やツール
があって、きっちりと進捗管理しているようでも、特に人間系プロジェクト
は理屈だけではうまくいかない。
そんな現実に即して、ボトルネック発見と制約理論適用を説き、プロセス
チェーン、クリティカルチェーンを唱える本書は、知的興奮を覚えると
同時に、実際のプロジェクト計画運営にも適用可能と思える、すぐれた啓発
の書と言えると思います。

ちょっとお話がだれることと、途中が小説「ではない」ところが読みにくく、
気になったので、★3つにしました。
カラフル
カラフル
理論社
price : ¥1,575
release : 1998/07

【商品詳細】

死んだはずの「ぼく」の魂にむかって天使が言った。「おめでとうございます、抽選にあたりました!」。そうして、ぼくは輪廻のサイクルに戻るために、下界にいるだれかの体を借りて(天使業界では「ホームステイ」というのだそうだ)前世で犯した悪事を思い出さなくてはならなくなった。 乗り移ったのは「小林真」という自殺したばかりの14歳の少年。ところが、真は絵を描くのが得意な以外は、親友と呼べる友だちもいない、冴えないヤツだった。父親は自分だけよければいい偽善者で、母親はフラメンコの先生と浮気中。しかも、好きな女の子は、中年オヤジと援助交際中ときた。しかし、ホームステイの気楽さも手伝って、よくよく周りを見回してみると、世界はそんなに単純じゃないってことが次第にわかってくる。 森田芳光の脚色で映画化もされた、多くのファンをもつ1冊である。著者は、講談社児童文学新人賞受賞作「リズム」でデビューした児童文学界のトップランナー、森絵都。シナリオライターだった著者による本書は、生き生きとしたセリフが心地よく、軽快なテンポで一気に最後まで読ませる力をもっている。そして、周りを見渡せばすぐにいそうな登場人物との距離感が、物語をよりリアルにみせてくれる。 中学生が主人公である本書は、中学生に読んで欲しい本ではあるが、「世界はたくさんの色に満ちている」というテーマは、どの世代にも共感できるもの。かつて中学生だったすべての大人にもおすすめしたい。(小山由絵)

宗教学風に言うならば「回心」の物語

 これは人が<新しい生>を見つけて歩みだす「回心」の物語。今まで一つの色にしか見えなかった個人がいくつもの色をもっていたことがわかる。今までいた世界も実は色々な色をもっていたことがわかる。
 映画『マトリクス』や『プレザントヒル』みたい!「回心」とは、ものの見方・考え方が誰かとの出会いによって変わること。(罪の悔い改めなんてケチなもんじゃない!)「この世界は美しい」(ファウストより)と思った時、主人公は回心をするのである。
 最後のページに「ぼくはぎゅっと目をとじた。とたん、そこからつつっと生あたたかい滴がこぼれた。」は、キリスト教が「回心」のしるしとして行う洗礼(バプテスマ)の所作です。

 「なんとも美しい」と心で叫んでみました。
グロテスク〈上〉 (文春文庫)
グロテスク〈上〉 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥620
release : 2006/09

私はどっちだ。

先日、常盤たかこが主演のテレビ番組「玉蘭」が放送され、興味を持った。
読んだのは初めてだったが、「玉蘭」同様、女性特有の、「自分自身が許せない、だから、人も愛せない。」サディスティックな部分が巧く表現されているように思う。
スラスラと怖いくらいに圧倒されながら、読んでしまった。
SとMは紙一重なのであるが、私がこの作品をSと位置づけしたのは、谷崎潤一郎「痴人の愛」がマゾの快楽の堪能できる作品であり、
どちらも愛したい、愛されたい。
特に男性には読んでみてもらいたいと思った。
女は強いし、弱いと。
私はどっちだ。
異邦人
異邦人
新潮社
price : ¥420
release : 1954/09

理由はすべて後で付けるもの

自分でもよく分からない経緯で
うっかり人を殺してしまった主人公の
その前後の日々が淡々と描かれています。

ずいぶん前にはじめて読んだときは
煙に巻かれたような、曖昧な印象をおぼえたのだけど
あらためて読むと、そのリアリティに新しさを感じました。

人のやることには、ほんとうは理由なんてない。
理由は自分や他人を納得させるために、後で付けるもの。
だから理由なんて常に考える必要はない。

人生ってけっこうそんな、ぼんやりしたものかもしれない。
だから、迷っている人が読むと、安心をおぼえるかもしれません。
そんな本です。

長いお別れ
長いお別れ
早川書房
price : ¥882
release : 1976/04

名作を堪能

最近、村上春樹氏の新訳本が出て話題になっていたので、
是非まずは原書でと手にしました。自分が生まれる前に
書かれたものとは思えないほど新鮮で印象に残る内容でした。
テクノスリラー等の最近の小説ばかり読んでいましたが、
ハードボイルド小説の代表作はやはり時代を超えてすばらしい
ものだと思いました。遅くなりましたがこれからチャンドリアンの
仲間入りをしたいと思います。
小学生100冊読書日記―フィンランド・メソッドで本が好きになる (RYU SELECTION)
小学生100冊読書日記―フィンランド・メソッドで本が好きになる (RYU SELECTION)
経済界
price : ¥998
release : 2006/07

本をあまり読まない子には

塾の国語の先生に薦められて購入しました。
100冊の本の表紙がシールになっていて、読んだら「読書日記」に貼って一言感想を書くだけです。

あまり本を読まない小学生の子供も、読んだ本が数冊あって大喜びで貼っていました。
次は、この本を読んでみよう?と楽しみにしているようです。
途中で読みたくなくなった本があったら、その理由を書いて次に進んでいいという気楽さがいいですね。(そればかりだったら困るのですが)
もう少し安かったらいいのになぁ?。
人形の家
人形の家
岩波書店
price : ¥483
release : 1996/05

女性問題に限らず

夫婦間の問題だけではなく、親子関係、兄弟・姉妹の関係などにも当てはまることが問われていると思います。
要するに「権威主義」とよばれる性格類型を告発する内容だと思っています。
これは、人間と人間との実存的な交わりとしての関係ではなく、サド・マゾ的な支配・従属の関係であり、しかも当人同士がそれを本物の愛だと錯覚しているという関係です。 愛情という名目で支配が行なわれるのです。
ノーラがトルヴァルから「歯が悪くなるからマカロンは食べちゃ駄目だ」と押し付けがましく言われ続けたように、親などから「ご飯は絶対に残さず食べろ」とか「風邪だろうと何だろうと学校の欠席は許さん」とか「夜は絶対9時前に寝なさい」とか言われて育った人は多いと思います。しかも次の台詞はこうだったはずです。「おまえのためを思っているから言っているんだぞ」。
しかし実は彼らが心配していることは、自分の支配下にある人間が自分の思いどおりの操り人形と化してくれないことを心配しているのであって、つまり自分自身の利害のことを心配しているのであって、支配される側の人間を心配しているわけではありません。
彼らは自分の人形が自我に目覚めて精神的に自立するのを必死で妨げます。自分の支配欲や虚栄心を満足させるためには彼らが自立できない人形のままでなくては困るのです。まさにトルヴァルが「おれに寄っかかっていればいいんだ、助言もしてやる、指導もしてやる、そういう女の無力さは、二倍も魅力的なんだ」と言っているとおりです。そして人形たちは自分ひとりでは何にもできないかわいいお人形さんのまま肉体だけ年をとっていくことになります。 イプセン自身が意図したわけではもちろんありませんが、現代のいわゆる「アダルトチルドレン」とも密接に通じる部分の多い内容となっています(実際ノーラは自分の父親がトルヴァルと同じであったと言っています)。
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
早川書房
price : ¥672
release : 1977/03

【商品詳細】

長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。そのため異星での植民計画が重要視されるが、過酷で危険を伴う労働は、もっぱらアンドロイドを用いて行われている。また、多くの生物が絶滅し稀少なため、生物を所有することが一種のステータスとなっている。そんななか、火星で植民奴隷として使われていた8人のアンドロイドが逃亡し、地球に逃げ込むという事件が発生。人工の電気羊しか飼えず、本物の動物を手に入れたいと願っているリックは、多額の懸賞金のため「アンドロイド狩り」の仕事を引き受けるのだが…。 映画『ブレードランナー』の原作として知られている、フィリップ・K・ディック1968年発表の傑作長編。著者は1982年、53歳で亡くなった。皮肉にもこの年に公開されたこの映画作品により、彼は一躍スターダムにのしあがることとなった。 ディックの作品には、SF小説でありながら、登場人物の人間関係、恋愛、家族のきずななどが見事に盛り込まれている。この物語も単なる賞金かせぎとアンドロイド8人のバトルで終わってはいない。人間とアンドロイドの違いを通して、人間とは何かを考えさせられる作品だ。(石井和人)

ディックは電気羊の夢を見るか?

一時期ディックにハマりました。パターンとしてはアイデンティティーの
喪失と奇想天外な発想、そしてディック独特の文体に魅了されたわけです。

この作品もレプリカントと人間、そして現実の動物と電気羊に象徴される
ように機械化されたペットにアイデンティティーは何か?とディックは
読者に問いかけてきます。単に読書するだけではなく、まるで双方向性の
あるメールやチャットのように。

ディックは短編をつないで1つの長編に作り上げていくタイプです。
本人自身そう語っているように1つ1つのセクションを短編と見なして
読んで行くと一層読書を楽しめる事でしょう。
包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)
包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)
筑摩書房
price : ¥798
release : 2006/02/07

ふと手に取るならちょうどいい重さ

天童氏の著作。他の作品よりも軽めのタッチだが、書くべきところは書いているといった感。
確かにすっと読めるし、恐らく誰もがほんわかといい気持ちになれる本だ。が、何だろう、これは大人の目線から思春期を書いている、という感は否めなかった。それがちょっと残念。
でも、何となくふっと手に取るにはちょうどいい重さかもしれない。
チェンジ・ザ・ルール!
チェンジ・ザ・ルール!
ダイヤモンド社
price : ¥1,680
release : 2002/10/11

【商品詳細】

ベストセラー『ザ・ゴール』の第3弾。2作目までの主人公、アレックス・ロゴは登場せず、まったく新しいストーリーとなっているが、優れた経済小説を書き続ける著者の手腕は、今回もいかんなく発揮されている。 舞台は、ERPソフトを開発して、急成長中のBGソフト社。同社の共同設立者であるスコットとレニー、営業部長のゲイル、関連システム・インテグレータKPIソリューションズCEOのマギーが物語の中心人物である。 株式市場にさらなる成長を期待されているBGソフト社は、ある問題に直面している。大企業相手に行ってきたこれまでの営業活動を続けていては、やがて市場が枯渇してしまうという現実である。そこで、経営陣は中小企業にまで営業の対象を広げようとするが、それにはこれまでと同じだけのコストがかかる一方、見返りは少ない。しかも、概してコストにシビアな中小企業の経営者たちは、金銭的なメリットなしにシステム導入などしてくれないのである。 こんな状況下で、大手の顧客であるピエルコ社のCEO、クレイグから新たな問題が持ち込まれた。「業務の見通しがよくなる」といったあいまいなメリットではなく、導入したシステムがどう利益に結びつくのかを説明して欲しいと取締役会で要請があったというのである。しかも驚くべきことに、調査の結果、利益面でのメリットはほとんどなかった…。 ここから、シリーズの主題であるTOC(Theory of Constraints=制約条件の理論)の話が展開されていく。数少ない成功事例を研究してわかったことは、成功に必要なのは、システムそのものではなく、それを活用するためのルール変更なのだということである。空き時間を作らない、部分最適のスケジュールを行うシステムではなく、全体最適を考えたシステム…。そこにこそ利益向上のヒントがあった。改善することで新たな問題が生じるなど、前作同様のやきもきする展開もあり、読みながら問題解決のための複眼的思考が養われる。 ビジネスパーソンはもちろんだが、今回はソフト会社が舞台だけに、開発者にとっても興味深い内容となっている。クライアント企業への改善提案のヒントになることはもちろん、自身の開発プロセスを見直すうえでも大きなヒントが得られるだろう。(土井英司)

ITソフトウェアベンダーの経営に興味をお持ちの方、必読

小生は、某ソフトウェアベンダーの営業を8年以上やっているが、この本は、ソフトウェア販売に関わられる全ての方々に、ぜひお読みいただきたい本です。テクノロジーは、あくまでもテクノロジーであり、それを経営課題解決の手段として、いかに近づけることができるか、これが、まさに営業に問われていることです。経営課題とテクノロジーとの間には、ものすごい距離があります。いまだに、テクノロジーに拘り、問題解決から遠いベクトルで仕事をしている会社が多い中、アライアンス、社内の意識、社内のスキルなどなど、すべてを『Change』し、距離を埋めていく中で、成功していく感覚の一端を本書で体験できると思います。
赤い月〈下〉 (新潮文庫)
赤い月〈下〉 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥620
release : 2003/11

淡々とした怖さ

 「兄弟」と同じようになかにし礼の自伝的小説です。ただし、主人公は母親の波子。
 「兄弟」で書かれていないなかにし礼の人生の隙間を書いた感じです。戦時中の満州の発展から、戦後の地獄のような有様。それを膨大な量の参考文献と自身の経験から物語を紡いでいきます。
 それと注目したいのは彼の文章の持つ淡々とした響きです。パーっと読んでしまうと、何か下手な文章のように見えますが、それは違うと思います。彼は地獄を経験しました、そして読者も経験者あるいはそれがどんなものであったかを知っています。それなのにこの文章はあまりに淡々としすぎています。
 僕は読んでるうちに恐怖感を覚えました。ある種の凄みを感じたのです。地獄を日常生活のように書いていることによって逆にその凄さを感じてしまいました。
 物凄い文章を書く人だなと思ってしまいました。
スカイ・クロラ
スカイ・クロラ
中央公論新社
price : ¥1,995
release : 2001/06

青い空と虚しさ

繰り返される毎日、地上での虚しさ、そして空の底に沈んで生きる主人公たち。
これぞ現代の純文学です!!
詩的な文章も良い。

「山場」はありません。(空中戦がそうかも)
そもそもこの作品には明確な「オチ」もありません。(そもそも事件が起こらない)
そして生きることの「意味」を考えさせられます。(生きることは暇つぶし?)
もう一度、現代の純文学です!!
ありきたりな起承転結の作品を読みたければ他をどうぞ。(S&Mシリーズかな?←この作品も非常に良い!)

冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見 (日経ビジネス人文庫)
冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見 (日経ビジネス人文庫)
日本経済新聞社
price : ¥880
release : 2006/01

世界中の現実を知るための旅をしたくなりました

「商品の時代」の著者でもあるジム・ロジャーズの冒険記2作目。116カ国を特注のメルセデスベンツで走破した著者らは、独自の視点で世界観や歴史観を語ります。

中でも、ブラックマーケットや入出国手続きの煩雑さを題材とした政府・通貨の健全性を確認する作業は、どの章にも出てきますが、非常に参考になりました。また、政府(特にアメリカ)に対する批判的な見解は手厳しいものがありますが、現地の人々を愛してやまない著者の、期待の裏返しであるように思います。時として、冷徹な物事の見方で現実を直視させられますが、物事の本質を見極めようとする姿勢が伝わってきます。

「この本の内容の真偽に関しては、自らの目で確認する他ない」 読んだ後にそんな風に思えれば、あなたにとって有意義な本なのだと、そう思います。
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