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DATE: CATEGORY:・文芸作品
西遊記〈上〉悟空誕生の巻
西遊記〈上〉悟空誕生の巻
偕成社
price : ¥1,470
release : 2001/03

中国奇伝は面白い!

某ドラマで人気が再発して、映画も公開された「西遊記」。
玄奘三蔵法師を筆頭に孫悟空が猪八戒と沙悟浄と引き連れて天竺へ旅するというストーリー。
一般的にはドラマの影響もあってかこの話が知られているが、本場中国では「天上界編」の方が一般的だそうです。
私も悟空が五行山に幽閉されてからの話よりも、天上界で神々相手に大暴れしている話の方が中国奇伝らしくて好きです。
どうして日本では後編ばかりを取り上げているのだろうかと思います。あれでは本当の「西遊記」というものを理解できないと思う。全編を通して「西遊記」なのだと思っています。
中国の奇伝には神の住む天上界と仙人の住む仙界と王が治める地上界と揃って合い乱れるというストーリーが実に楽しいと思う。想像力は果てしなくかき立てられ、史実に基づいた話も多いので勉強にもなるし、儒教の教えがみっちりと詰まった中国史は非常にためになる部分が多い。
読んで損はないと思います。
ぜひ、本当の「西遊記」を味わって欲しいと思います。
ただ、ちょっと子供向けだということで星4つで(笑)
分解された男 (創元SF文庫)
分解された男 (創元SF文庫)
東京創元社
price : ¥735
release : 1965/05

SFと推理小説の融合作。アシモフとは違ったパターンです。

ベスターの最高傑作。
記念すべき第一回ヒューゴー賞受賞作です。
べスターは寡作家であるため、知名度は意外と高くないのですが、本作は稀に見る傑作ですので、是非、手に取っていただきたいと思います。
ベスターの作品としては、「虎よ!虎よ!」が有名ですが、正直、やや分かりにくいです。
しかし、本作はそんなことは全く、極めてしっかりしたロジックの傑作となっています。
近未来。テレパシー能力を持つエスパーが出現し、人の心を透視出来る警察官まで出現するに辺り、殺人のような凶悪犯罪は絶滅していた。
しかし、魅力と個性を持つ大企業の社長であるベン・ライクは事業の苦戦からライバル社の社長殺害を決意する。
それは、読心術を持つ本作の主人公、警察本部長リンカン・パウエルの裏をかく、巧妙な計画だった。
知力の高い両者は人間的魅力に溢れており、虚々実々の高度な駆け引きを展開します。この辺りは、息もつかせぬ面白さ。
だが、この事件には本人同士も知らないもう一つの側面があった...。
本作はSFと推理小説の見事な合体を成し遂げた作品です。読心術の発達した時代に、どう犯罪を行うのか、ベン・ライクは果敢に挑戦して行きます。
尚、本作は勢いのある文体のため、会話等でややこなれていない印象を受けます。原文が個性的で訳者の苦労が伺えますが、その分、リアルで迫力は感じます。
また、改行等を上手く使い、テレパシーを巧みに表現している点にもご注目下さい。
他では、まず、見られないアイデアの大傑作、是非、お読み下さい。
紛れもなく、オール・タイム・ベストです。
甘い蜜の部屋 (ちくま文庫)
甘い蜜の部屋 (ちくま文庫)
筑摩書房
price : ¥1,260
release : 1996/12

妖艶さをここに見る

三島由紀夫の言葉を借りれば「官能的傑作」と絶賛されるもので、
茉莉さんの代表作だろう。父森鴎外と茉莉さんの関係を思わせるものだ。

この「甘い蜜の部屋」は、茉莉さんのライフワークだったのだ。
私はそう思っている。
主人公は少女モイラ。彼女は透明な肌をもつ美貌の少女であり、
次々に男達を魅了し、破滅させるのだが、彼女自身は無垢であり続ける。

彼女を守り、大切にしていく、上品な紳士の姿の裏に魔をもった父林作。
二人の関係は濃密な甘い部屋で紡がれている。

モイラを愛した男達、ドミィトリィ、アレクサンドゥル、天上守安、ピータァ。
夫となったマリウスは、その身を破滅させていく。

「少女」の処女性を考える、妖艶な作品。

詩人と女たち (河出文庫)
詩人と女たち (河出文庫)
河出書房新社
price : ¥1,223
release : 1996/10

「詩人と女たち」最高傑作そして最高の翻訳

この小説に出てくるチナスキー以外の男、それが現代の男そのままだ。そして女性に関して言えば登場するあらゆる女性、強い女性、こんな素敵な女性は数少ない。そう感じた。「詩人と女たち」を読んでいるときは自分をブコウスキーと同化させた。しかし自分こそ実際は現代の男ではないかとその葛藤に苦しんだ。ブコウスキーのような勇敢な男、そして勇敢な男に興味をそそられる女性立ち向かう女性は果たして存在するのだろうか?わたしはそんな人を見てみたい。
ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
早川書房
price : ¥714
release : 1982/02

<人間は滑稽で悲しく、そして愛しい。>

悲劇は回避不能であるからこそ悲劇であって、愚かさ浅はかさまたは怠惰による壊滅的打撃は「悲劇的な喜劇」でしかない。ヴォネガット作品の根底に流れているテーマではないかと。
自己犠牲精神旺盛で博愛主義で、不特定多数の人間に大金を惜しみなくばらまくが、身近な家族への心遣いや理解などかけらもできない主人公始め、全ての登場人物が愚かで滑稽で醜くどうしようもない。
全ての人々が自分から修正不可能な「悲劇的な喜劇」に突っ込んでいく。でもすべての人々が愛おしい。
あれだ、「それでもヒトしか愛せない」の神髄だと思います。そんな寓話です。
チャーリー・ブラウンなぜなんだい?―ともだちがおもい病気になったとき
チャーリー・ブラウンなぜなんだい?―ともだちがおもい病気になったとき
岩崎書店
price : ¥1,260
release : 1991/11

さすがスヌーピー!

 最初ただ単にスヌーピーが大好きなので買った本。
病気になった子とその兄弟、そしてその周りの子。
いろいろな立場の子が登場します。
大人でも考えさせられるような重たい内容ですが、スヌーピーのおかげで、子どもでもサラッと読めてしまいます。
さすがスヌーピー!って感じです。
いつもはチャーリーブラウンとセットになっていますが、今回はライナスが大活躍です。
MOMENT (集英社文庫)
MOMENT (集英社文庫)
集英社
price : ¥560
release : 2005/09

MOMENT

私はこの作品で末期患者に陥ったおじいちゃんをついつい思いだしてしまいました。
私はひき篭った時間が5年半かかりました。
それだけにこの作品が嵌るきっかけ作りになりました。
大切な人は決して得てしていい事ばかりが起こる訳ではないそんな事を感じた小説でした。
ランボー全詩集 (ちくま文庫)
ランボー全詩集 (ちくま文庫)
筑摩書房
price : ¥1,155
release : 1996/03

どのくらいの人が・・・

フランス語を理解して、読んでいるんでしょうか?文学作品などにおいて、翻訳はある意味、翻訳者による“加工”です。つまり、翻訳では作品の本質に迫るのは、到底不可能だと思います。ランボーも同様です。フランス語がわからないのに、翻訳者の巧拙を言ってる人が万が一いたら、その前にフランス語を勉強することを勧めます。けど、世界観的に、やっぱアルチュールよりジョンの方がいいな。
小説作法
小説作法
アーティストハウス
price : ¥1,680
release : 2001/10/26

【商品詳細】

スティーヴン・キングの『On Writing』(邦題『小説作法』)は簡潔で切れのよい作品だ。愛と皮肉を込めた自伝と、向上心に燃える小説家へ贈る厳しくも愛情こもった教訓という、2冊の本を合わせたような構成である。 回想部分は実に驚くべき内容で、無作法だった子どもが作家へと成長していく過程を克明に描いている。著者を苦しめたツタウルシ、おなら攻撃をしかけてくるベビーシッター、厳しい教師たち、ジャック・ロンドンの体験を上回る汚さの洗濯工場の仕事。これらを読むと、読者は若き日のキングのそばにいるような気分になる。このウソのようなとんでもない話は、キング作品を読み解く際の大きなヒントだ。そこにいるのは、かわいい声で人気のあったサンドラ・ディーンではなく『Attack of the Giant Leeches(邦題『吸血怪獣ヒルゴンの猛襲』)』のイヴェット・ヴィッカーズを気に入るような子どもだった。「すべての都市を食べてしまう怪物や、海から現れてサーファーを飲み込んでしまう放射性物体、頭が悪そうに見える黒いブラをつけた女の子たちが好きだった」 しかし、こと読書に関しては、困難なことであるにもかかわらず、あらゆる文学作品を読みあさることへの欲望に渇いていた。キングは「I Was a Teen-Age Graverobber」を発表する。トレーラーハウスに住んで家族を養っていた若かりしころ、高校の女子更衣室の清掃員として働いた経験にヒントを得て物語を書きはじめたものの、原稿を丸めて捨ててしまうが、それを作家である妻がごみ箱から拾い出す。そして、主人公である少女の設定を見直してみてはどうかという妻の助言を得て、さらに若くして死んだ、いじめられていた2人のクラスメートのことを思い出から掘り起こして、『Carrie』(邦題『キャリー』)を産み落としたのである。 キングは彼の人生と作品に関する意外な事実をいろいろ明かしている。『Misery』(邦題『ミザリー』)の誘拐犯、『Tommyknockers』(邦題『トミーノッカーズ』)の心を奪い去る怪物、『The Shinning』(邦題『シャイニング』の酔った小説家にとり憑く霊は、キング自身のコカインとアルコール中毒(彼によると、妻の援助おかげで克服したそうだ)の象徴だった。「もう1つ、あまり覚えていない『Cujo』(邦題『クージョ』)という小説もある」。ほかにも、大学時代のこと、命の危機にさらされたワゴン車衝突事故からの生還についても触れているが、話の焦点は常に、それらのできごとが作家としての職業にどのように結びついているかに置かれている。 キングは、作家に必要な「道具一式」を読者に提供している。たとえば、読書リストや執筆課題、修正した作品、金銭上の基本的なアドバイス、プロットと登場人物、パラグラフの基本構造、文学上のモデルなど。また、H・P・ラヴクラフトの難解な表現技法、ヘミングウェイの引き締まった文体、事実に基いて仕事をするグリシャムの信憑性、リチャード・ドゥーリングの巧みなわいせつ表現、ジョナサン・ケラーマンの断片的な文から学べることがらを教えている。なぜ言語感覚の鈍い対話劇が『Hart's War』をだめにしているか、エルモア・レナードの『Be Cool』がなぜ癒しの作品となり得るかを、キングは解説している。キングは作家であるだけではなく、正真正銘の教師でもあるようだ。

プロの作家の感性や生き方がわかる。

 3章の文章の寄せ集めで、第1章の自叙伝はファン以外はどうでもよいでしょう。タイトル通りなのは、第2章と第3章です。
 しかし、ちょっとわかりにくいかもしれません。アメリカでは、本書でも言及されているシュトランクの『The Elements of Style』という本が、すべての作家の基本必読書となっており、その上で、キングが話を展開しているからです。受動態や副詞の問題なども、この元の本の方に詳しく書かれています。会話については、キングがあえてこれを排して、セリフの写実性を重視しているのも興味深い点です。これらの、英語文体の問題が、全体の半分を占めています。
 後半の、小説としての物語の構築は、キングのオリジナルです。が、リンダシガーに似て、潜在意識からいかに物語を読み出すか、が、論じられます。主人公と敵対者の双子関係などは、フロイト的にも重要な点でしょう。また、自分の作品を寝かして書き直すことの意義についても、経験的に述べられています。
 で、日本の作家志望者に役立つか、というと、微妙です。知っての通り、アメリカの小説の構造は、会話とアクションによる進行に、関係節による回想説明が挟まるのが基本であり、関係節を持たず、時間順序のその場の深い描写で展開しなければならない日本の小説とは根本的に文章構造や物語構造が異なるからです。
 とはいえ、プロの作家の文章に対する感性、物語として言葉につかむ方法、という点については、言語の問題を越えるところがあります。チンケな三流作家の表層的な文章読本などより、本質を捉えており、充分に読む意義があるでしょう。
普及版 リトル・トリー
普及版 リトル・トリー
めるくまーる
price : ¥1,050
release : 2001/11

読んで感動することで充分。

この本を批判する人は作者の人となりや私生活を云々しますが、この作品は自伝小説でもなければインディアンの一部族の風俗習慣をつぶさに綴ったドキュメンタリーでもないのです。セルヴァンテスは生活の糧を得るためにドン キホーテを書き、あれだけの読者を集めたのです。モーツァルトは私生活において破綻者だったから彼の音楽は聴くに値しないのでしょうか?オスカーワイルドは同性愛者だったからそうでない人には彼の作品が理解できないのでしょうか?時として作品の背景を知ることは重要ですが、大切なのは作品の内容であり、作家の日常生活ではありません。主人公の少年は両親の死後祖父母のもとに委ねられ、一時的に強制収容させられた孤児院でのわずかな期間を除いて学校というものを知らない。だが人が生きる上で最も大切な事柄を祖父母から実践的に学んでいく。最後の章で最も親愛な人達を相次いで失うのは心が痛むけれど、文字どうり天涯孤独になった時、すでに彼が一人立ちして行けるだけの成長をとげていたことが読者の救いになる。神秘的ですがすがしい自然描写も魅力的だ。
タイヨウのうた (Angel Works)
タイヨウのうた (Angel Works)
SDP
price : ¥1,365
release : 2006/05

ちょっと、文学としては・・・。

映画がけっこうおもしろかったので、買ってみた。

びっくりするほどの、駄作。
映画の原作と言うほど、文学ではないのね。
なんかあらすじと言うか、シノプシスというか、ダイジェスト版を読んでいるよう。

完成された文学とは思えない。

映画にないエピソードがあったり、多少幅を持たせてるが、感動は薄かった。

がっかり。

映画の主人公の若い二人のイメージが強く、そのおかげで、何とか最後まで読めた。
呪われた町 (下)
呪われた町 (下)
集英社
price : ¥760
release : 1983/06

恐怖をあおる巧みなプロット

吸血鬼によって、ある田舎町が崩壊していく……。
読む前からわかっている内容にもかかわらず、徐々に迫ってくる恐怖が、先へ先へと読む者をせきたてる。さすがのプロットの展開である。
早朝の田舎町。いつもと同じ生活が始まる。ハルとジャックのグリフェン兄弟が午前4時に乳絞りを始める。午前5時15分、下宿屋の女主人エヴァ・ミラーが朝食の支度をしながら1日の仕事の段取りを考えている。午前6時5分、サンディ・マクドゥガルが赤ん坊にプラスチックのミルク壜を投げつけ、午前6時45分には、墓地の管理人マイク・ライアーソンが、墓地のゲートに逆さ吊りになった犬の死骸を見つける。
そのようにして、少しずつ少しずつ、日常が日常でなくなってくる恐怖がここにある。
ページをめくる手が止まらない。

失われし書庫 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
失われし書庫 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
早川書房
price : ¥945
release : 2004/12

本好きなら絶対楽しいミステリ

シリーズ第3弾にも関わらず、ダニングを初めて読んだのは何故かこの本でした。あんまり面白かったので、シリーズ1弾、2弾、その他のダニングの文庫も勢いで一気に読み漁ってしまいました。(読むものが無くて困った時用に一冊だけ読まずにとってあります。)

まず設定が異色です。元刑事で古本好きなんて、そんな人いるんだ、という意外性。リチャード・バートンという多少著名な歴史上の人物、そしてあくまでも本がらみ。シリーズ前2作とも、他の作品とも多少趣が違いますが、ミステリ好き、本好きの人は絶対楽しめる作品です。
吾妻鏡(中)―マンガ日本の古典〈15〉 (中公文庫)
吾妻鏡(中)―マンガ日本の古典〈15〉 (中公文庫)
中央公論新社
price : ¥620
release : 2000/06

最高の歴史漫画です。

巨匠が描く三部作の中巻です。
横山光輝系の歴史漫画を読み込んだ人などにも、
是非女性作家により描かれた繊細な作風を楽しんでいただきたいです。
ただ、「吾妻鏡」というタイトルになっているものの、
「平家物語」や「源平盛衰記」にのみ見えるエピソードも引用され作画されていて、
吾妻鏡を忠実に漫画化したものというよりは、鎌倉武士の動きを軸に、
平安時代から鎌倉時代への変遷を総合的に描いた作品、といったほうが適当でしょう。
史実ではぶさいくだったと言われる源義経が美男に描かれているのは突っ込まないであげてください。(笑
闇の奥
闇の奥
岩波書店
price : ¥483
release : 1958/01

Darkness

翻訳が困難と言われている本書だが、中篇作品であるのにその濃度は計り知れない。
帝国主義の問題、人間の心の闇のメタファーなど、一年以上前に読んだ本なのに、
そのトグロを捲くような濃厚さは他の本の追随を許さない。
訳自体は非常に読み辛い感覚を得るが、何度でも読み直して論理的に思考を深めたい一冊。
ジーヴズの事件簿 P・G・ウッドハウス選集1 (P・G・ウッドハウス選集 (1))
ジーヴズの事件簿 P・G・ウッドハウス選集1 (P・G・ウッドハウス選集 (1))
文藝春秋
price : ¥2,900
release : 2005/05/27

“お約束”の居心地のよさ

 「事態が最悪になりそうに見えても大抵の場合それほどにはならないものだとは、僕も経験上知っている。」
 これはこのシリーズの一方の主役、若主人バーティ・ウースターの言葉なんだけど、“事態がそれほどにはならない”のはもう一方の主役、天才執事ジーヴズの暗躍があればこそなのは、読者も、もちろんウースターも知っている。
 “バカ殿”ウースターが、一目ぼれ癖のあるくされ縁の友人ビンゴや、お節介焼きのアガサ叔母によって、事件(つーか難題)に巻き込まれ、ジーヴズが飄々と暗躍して一件落着ってワンパターンなんだけど、これがいくらでも読みたくなっちゃう代物なのである。とにかく、人物設定、ストーリー設定が巧みだ。“お約束”の居心地のよさ(例えば「男シリーズ」で植木等がC調なこと仕出かすと上司の人見明がぼそっと「ばか」ってつぶやくアレ)が充満している。ジーヴズとウースターのタッグは最強であり、誰もかなわないのだ。主人と従僕、馬鹿と天才なんだけど、お互いが必要としている間柄で、どっちが欠けても物語は成立しない。ほがらかな愚者を支えているのは賢者であるが、その聡明な従者は度量の大きな主人に生かされているのである。
 “バカ殿”ウースターが語り手っていうのがミソで、番外で一篇だけジーヴズが語り手のものがあるんだけど、これはいわゆるメイキング、楽屋裏、ネタバレであって本編にはなりえない。ミステリーで言えば常にジーヴズが“鍵”なのだから...
 それにしてもウースターとジーヴズの関係もさることながら、ウースターと友人ビンゴの間柄がとってもいい。“くされ縁”ってやつは、実はお互いに依存してないし、遠慮もないし、何ヶ月会わなくても関係に変化がないってことなのだ。こうした稀な友を得られただけで、人生はきっと、それでもうOKなんじゃないだろうか。
プラナリア (文春文庫)
プラナリア (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥480
release : 2005/09/02

身につまされる一冊

直木賞を受賞したことでも話題になった本ですが、読み返してみてあらためて感じるところの多い作品でした。

基本的に人物の描き方、物語の構成ともに非常にうまいです。
特にニート女性の中に共存する気楽さと苦しさ、明るさと暗さ、その両方の感情をサラッと行き来してしまうところなどは本当に見事です。

底知れぬ明るさの中に突如現れる虚無感や絶望感。
ついさっきまで穏やかな風景が広がっていたはずなのに、一歩進むと突然目の前に奈落の底が現れるような、そんな恐ろしさを持った作品でもあります。
でもその一方で、そうした不安を一気に吹き飛ばしてしまう気楽さもまた、どこからともなく根拠も無く現れるのです。

これはまさに現代のニートの本質を突いている、のかもしれません。

作品自体はとてもおもしろいのですが、読後感が悪いと言えば悪いかもしれません。
もちろんそうした読後感こそがこの作品の魅力なわけですけど。
愛のひだりがわ (新潮文庫)
愛のひだりがわ (新潮文庫)
新潮社
price : ¥580
release : 2006/07

“愛”といっしょに、旅に出よう。

2006年、それぞれアニメ映画が公開された『時をかける少女』や『パプリカ』の原作者である筒井康隆さんが、2002年に発表した小説です。小学校高学年ぐらいから上の人が読むことを考えに入れて書かれたもので、むずかしい漢字などは、あまり使われていません(ただ、図書館では“子どもの本”のところではなく、たいてい、大人の小説のところにあるようです)。
今よりずっと荒れ果て、『北斗の拳』か『ターミネーター』か、というような(そこまでひどくはない。あくまでそんなイメージ)、近未来の日本。左腕にハンデをもち、家ではこき使われ、学校ではいじめられていた“愛”という女の子が、やさしかったお母さんを亡くしたことをきっかけに、ゆくえの知れないお父さんを探す旅に出ます。その旅は、(最初にこの小説を出版したのと同じ、岩波書店から出ている)『ホビットの冒険』の主人公・ビルボの旅のように、つらく、きびしく、時に深いダメージを負うこともありましたが、“愛”のそばにはいつも誰か、あるいは何かがいて、支え、守り、助けてくれるのです。そんな旅路のなかで、“愛”はいったい何をみつけ、何をつかむのでしょうか。
ぜひ、あなたも読んで、確かめてみてください。

※ジュブナイルとして書かれた小説ですが、大人の目線で読んでも十分に面白い作品です。読み終えた時、なんともいえない感動と満足感がありました。あの『三丁目が戦争です』の作者だけあって、“子どもの本”としては容赦のない描写もあちこちに登場しますが、ただいたずらに残酷なわけではないことが、読んでいただければわかると思います。シンプルな人物描写、テンポのよいセリフの小気味よさもポイントです。アニメか実写か、そもそも実現するかどうかもわかりませんが、映像化にも期待したいものです。
招かれざるサンタクロース―イヴ&ローク〈7〉 (ヴィレッジブックス)
招かれざるサンタクロース―イヴ&ローク〈7〉 (ヴィレッジブックス)
ソニーマガジンズ
price : ¥840
release : 2004/12

クリスマスプレゼントはどうする!?

クリスマスでにぎわうNY。サンタクロースの格好をした犯人が性的暴行
の後に絞殺するという事件が発生します。

幼少の頃の記憶がほとんどないイヴ。彼女はプレゼント選びに頭を悩ま
せます。とか言いながらも、聞き込みの合間にしっかりプレゼントを買って
Peabodyは不満たらたらです。彼女にはショッピングは禁じたからです。
このあたりのやり取りが結構笑えます。さて何でも持っているロークへ
のプレゼントは…。ロークに手渡すところまでは描かれていないのですが、
どんな感じだったのでしょうか?
久しぶりに容疑者の一人として1巻に登場したチャールズも登場します。
彼もまた面白いキャラクターの持ち主です。ハニー。

チャイ・コイ (中公文庫)
チャイ・コイ (中公文庫)
中央公論新社
price : ¥500
release : 2005/03

女性に読んでもらいたい(R18指定)

ベトナムを旅する少し訳あり女性が,旅先で見つけた美しくそれでいて寂しげなベトナム青年に一目惚れし,どうしても彼の肉体が欲しいと熱望しベッドを共にするという短い話。
非現実的な話だけど,南国のむしあつい風,何世紀も変わらぬサイゴン川の流れ,造花としか見えないような原色の花々,体を刺激する香辛料,女性の肉体を想像させるような甘い果実。これらがまるで熱風のように,彼女の日本での様々なストレスや無意識に押さえつけてきた欲望の扉を一気に開け放すために効果的に演出されている。
30代後半にさしかかった彼女の赤裸々な性欲と官能的な性描写が作品の多くの部分を占めるが,彼女自身が南国の果実になったかのようにうまく溶け込んでいて嫌悪感はなく,むしろ作品を際立たせている。ただし,やっぱり高校生には無理かなあ。。
短い作品だけど,彼女の人生のいろいろな部分がかいま見え,これからの彼女がどう生きるか見てみたい気がした。
ケルト妖精物語 (ちくま文庫)
ケルト妖精物語 (ちくま文庫)
筑摩書房
price : ¥735
release : 1986/04

キーワードはフェアリー

ちくま文庫から、イエイツ編『ケルト妖精物語』『ケルト幻想物語』、イエイツ著『ケルトの薄明』の3冊が出ています。
イエイツ(1865-1939)が、民間伝承の蒐集を選択し編纂した二冊の本を、さらに編訳したものが『ケルト妖精物語』『ケルト幻想物語』です。

そのうち、妖精に関する物語と詩篇を集めたものがこの『ケルト妖精物語』です。嘆きの妖精バンシー、海に棲み漁師を惑わすメロウ、靴直し妖精レプラホーンなどに興味のあるかたは、ぜひこれを。

イエイツの編纂した上述の二冊が十九世紀のアイルランドで文芸復興運動を促進させたという歴史的見地からも、また、アイルランドの民間信仰への興味からも、また物語を純粋に楽しむ読書としても、非常に楽しめる3冊だと思います。

この民話集を読んでいて痛快なのは、それが教訓的ではないところだと思います。イエイツは『ケルトの薄明』の中で、次のように述べています。

「人々の想像力は、むしろ幻想的で気まぐれなもののなかに住んでいる。そして幻想も気まぐれも、もしそれらが善なり悪なりと結びつけられるようなことがあれば、それらの命の息吹きであるところの自由さを失ってしまうのだ。」
その編者の視点により選ばれた作品群は、宗教の枠に縛られず、貧乏人も王もユーモアをもって生き生きと語られていると思います。

3冊ともお勧めです。

愛の流刑地〈上〉
愛の流刑地〈上〉
幻冬舎
price : ¥1,680
release : 2006/05

うーん

上下巻買って、面白くなかったらいけないので、上巻だけ買いました。
予想的中でした。
渡辺さんの表現力は素晴らしいなと思うのですが、内容はどうも・・。
日経で掲載されていたとのことでしたので、毎日新聞で読めば
良かったのかもしれません。
せっかくの話題作だったのに楽しめなくて残念です。
トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇 (岩波文庫)
トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥525
release : 1965/01

1世紀の時を越えて生きる声を聞くため。

トルストイ晩年の5つの短編集です。

本書の解説に、純粋なる創作とはいいがたい物語ながら、
どの作品も、トルストイなくしては芸術作品にならなかった、とある。

原作やモチーフにした伝説については、読んでいないのでなんともいえないけれど、
トルストイがこの芸術にとって必然であったと言うにふさわしい内容だと思います。

トルストイの晩年の作は、本作も含め、宗教色が濃くなってきますが、芸術性にまさる
トルストイの文章は、へんに”バタ臭く”なく、すんなり入ってきます。

キリスト教的道徳観に立脚した教訓的な物語は、日々の生活で薄汚れた
われわれの心を洗ってくれることでしょう。

「神は、愛である。愛は、神である。」
「人の中に神は、宿る。」
中村白葉の訳もすばらしい。
審判 (岩波文庫)
審判 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥735
release : 1966/01

社会の「しかけ」

「裁判所の実体は、たくさんの精巧なしかけの中に見えなくなっているんですが、万事このしかけしだいなんですからね」(本文より)


道端で出会った人が、自分の名前を知っている。自分が裁判にかけられていることも知っている。
そんな状況は、普通に考えて明らかにおかしい。
しかし、おかしいことが説明もなしに続いていくと、だんだんそれに慣れて受け入れ、疑問に思わなくなってしまう。それが怖い。

主人公Kは、しかけの犠牲者である。
社会のしかけは人が作ったものであるはずなのに、人が立ち向かうのはあまりにも困難になってしまっている。
この小説には、全体を通して形の見えない、しかしとてつもなく大きく見える不安がある。
何かが根本的におかしくて、不安はどんどん大きくなっていくのに、いっこうにその正体がつかめない。

形の見えない不安と、無限ループ。解釈の余地は無限にある。

シャーロック・ホームズの回想 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)
シャーロック・ホームズの回想 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)
光文社
price : ¥800
release : 2006/04/12

探偵はじめと締め

当時の発表順に編纂された新訳のホームズ。
この巻は末尾は、かの「最後の事件」。ハートフルな「黄色い顔」をのぞけば、結構ヘビーな事件が収録されてます。
おかげで読み応えは十分。

きみに読む物語
きみに読む物語
アーティストハウスパブリッシャーズ
price : ¥1,470
release : 2004/12

純粋かつ重囲

作品的には4つ星ですが、この作品の壮大さは星5つでよいと
おもいます。31歳だったとおもったら急におじいさんになって
しまいもっと色濃く出来ないものか、と、おもってましたが、
何故か納得してしまう語り口には気持ちがポワーっとしました。
よく小説を表現するトキに静かな時間を流れるとかいうのが
よく裏パッケージに表記されてますが、まさにこの物語こそ
それでしょう。無駄なことなしの250ページです。
「きみに読む物語」ほんとうに読み終わった後は誰かに
読んであげたくなる一冊です。
どろぼうの神さま
どろぼうの神さま
WAVE出版
price : ¥1,890
release : 2002/04

【商品詳細】

ドイツの児童文学作家コルネーリア・フンケの長編ファンタジー。若き竜と怪物たちとの戦いを壮大なスケールで描いた『竜の騎士』で注目された著者は、長編2作目となる本書で、チューリヒ児童文学賞やウィーン児童文学賞を受賞。その実力が認められ、本国ドイツで、ベストセラー作家となった。水の都ベネチアを舞台にした本書は、ストリートチルドレンの縦横無尽の活躍を、スピーディーな展開で読ませる冒険物語である。 12歳の少年プロスパーと5歳になる弟のボーは、読書好きの少女ヴェスペやその仲間たちと、廃墟となった映画館で暮らしていた。兄弟は、2人を引き離そうとする伯母夫婦から逃れるため、ヴェネチアまで家出してきたのだ。そんな身寄りのない子どもたちのリーダーは「どろぼうの神さま」と呼ばれる少年スキピオ。スキピオは、金持ちの家や美術館に忍びこんでは、高価な品々を盗み出す怪盗だ。しかし、伯母夫婦から依頼を受けた探偵ヴィクトールの出現によって、子どもたちの生活に、少しずつ変化が訪れる。 年老いた伯爵からの奇妙な依頼、探偵との追跡劇、強欲な古物商との緊張感漂う取り引き、そしてスキピオの秘密。さまざまな謎と事件を追いかけ、町を駆け回る子どもたちを通して、著者は、大人になることの意味と切なさを語りかける。なかでも、「子どもは大人になり、大人はまた子どもにかえる」という伝説のメリーゴーラウンドを前に、戸惑うプロスパーの姿には、若い読者だけではなく、多くの大人たちも心揺さぶられるに違いない。胸を躍らせた幼いころの記憶が、はっきりと蘇ってくる本書は、物語中のメリーゴーラウンドに魔法をかけられたような、不思議な体験を約束してくれている。(中島正敏)

テンポよく読めます

タイトルに書いた通り、本当にテンポ良く読めちゃいます。
500ページもあるわりにはあっという間に読んでしまい、とても読みやすいと感じられました。
何よりも、登場人物一人一人の個性が出ているところが良いと思います。
気分よく読めたのですが、最後のところは少しあせりがあるのか、
物語を省略的に書いてしまっているところがあるようです。
でも、全体的にはまとまっていて、私的には好きな作品となりました。
まだ読んでいない方は、ぜひ読んでみて、色々なことを感じとってみてください。
告白
告白
中央公論新社
price : ¥1,995
release : 2005/03/25

小説は音楽だ

夏に大阪で河内音頭を踊ったヒトなら、この物語があたまに渦をまいているかもしれない。
河内音頭と作品はコラボレーションしている
踊っているとこんないみも不明な情景がリズムに乗って浮かんでくるのだわ♪
未体験の方は一度、河内音頭で昇華してから、告白を読むとよくわかるとおもうよ オススメ☆

床下の小人たち (岩波少年文庫)
床下の小人たち (岩波少年文庫)
岩波書店
price : ¥714
release : 2000/09

【商品詳細】

床下に「ちいさい人たち」がこっそりと暮らしていたら…。『The Borrowers』(邦題『床下の小人たち』)はそんなわくわくするような物語。1953年の出版以来数えきれないほどの読者を魅了し、カーネギー賞、ルイス・キャロル・シェルフ賞、アメリカ図書館協会賞を受賞した名作である。著者メアリー・ノートンが考え出したのは、イギリスの古風な家の床下に住む小人たちのおはなしだ。 ポッド、ホミリー、ちいさなアリエッティのクロック一家は小人の3人家族。床下に住居を構え、「人間(ニンゲン)」から食べ物や生活用品を「借りて」暮らしている。マッチ箱で作ったタンス、郵便切手の絵画…。頭をはたらかせ、日常のなにげないものをリサイクルして使う「借り暮らし」の様子は読んでいて本当に楽しい。こんな例もある。「ホミリーが“朝のぶらつき”用に、手袋の指2本分で、トルコ風半ズボンを作ってくれたこともありました」 しかし長い間続いた「借り暮らし」生活も、古風な家に1人の男の子がやってきたことから一変する(しかもペットの白イタチまでやってきたのだ!)。好奇心旺盛なアリエッティはその男の子に姿を見られるという、もっとも致命的なミスを犯してしまう。はらはらする冒険も交えたこの魅力たっぷりの物語、語るはお話し上手なメイおばさん。実は何十年も前にあの家で「借り暮らし」していた張本人と思われる、男の子のお姉さんである。

チャーミングな物語

日本では「床下の小人たち」として訳されているこの本。生活必需品をなんでも床上の人間から借りてきてしまうからこのタイトルがついています。人間にみられないように物を借りてくる生活というのはさぞかしスリリングでしょう。Borrowersのために人間がいるのよ!という彼らの考え方も面白い。daだから、生活は借り暮らしで、盗んではいないと。もしそうなら、なぜ見られてはいけないのかな??子供の頃に読んだこのシリーズ、続きも読んでみたいですね。
警視の不信 (講談社文庫)
警視の不信 (講談社文庫)
講談社
price : ¥1,040
release : 2005/09

事件が解決しても残る哀しみ

殺人事件が起こり、解決するまで、クリスマスを背景にゆっくりと時間が流れる。複雑な人間関係が交錯し、心の機微が、丁寧に書き込まれてゆく。シリーズの8作目だが、この物語からでも充分に読み応えがある。事件が解決しても残る哀しみにこそ、現実感がある物語だ。
吾妻鏡(上)―マンガ日本の古典〈14〉 (中公文庫)
吾妻鏡(上)―マンガ日本の古典〈14〉 (中公文庫)
中央公論新社
price : ¥620
release : 2000/05

わかりにくい

吾妻鏡という話は平家物語プラス源頼朝(初代)から実朝(三代目)が殺されるあたりまでの話です。竹宮恵子さんの絵はこのシリーズの中では奇麗な絵の部類に入りますが、この吾妻鏡は非常に武将が出てくるのである程度の相関図が欲しかったです。なぜか吾妻鏡(中)のみに相関図があり、(上)(下)にはなかったのが変な感じがしました。あと、戦闘シーンがあまり迫力がなかったです。あと、原文そのままのところがあってそれを訳して欲しかったですね
。個人的にはもっとわかりやすい文章で書いて欲しかったです。
お金と正義(下)
お金と正義(下)
PHP研究所
price : ¥1,365
release : 2006/09/20

下巻からあれれ・・

上巻は楽しく有意気に読ませてもらったのですが、下巻の途中からステレオタイプ的なエロ描写が差し込まれていて、これはポルノ小説もかねてるの?と思ってしまいました。あの描写、神田先生の本に必要だったのかなぁ・・。この本のターゲットが中年の男性ということでしょうか。女性のわたしには受け付けませんでした。本の質を落としてしまっていると思います。残念です。
ナショナル・ストーリー・プロジェクト
ナショナル・ストーリー・プロジェクト
新潮社
price : ¥2,730
release : 2005/06/29

朗読もある

 ポール・オースターという、今最も油の乗っているユダヤ人作家と、これまた絶好調の翻訳家柴田元幸という組み合わせがいい。翻訳が間違っている、という指摘もあるが、ほうっておけばいい。「翻訳は意訳に限る」というのが国際人・現代人の真骨頂なのだから。気になるなら、オースター自身の朗読もある原文を読めばいいのだから。それにしても、アメリカ人にはいろんな人間がいるもんだ。特に「物」という章には、非常な経験、ありえない偶然、というのがいろいろ語られていて興味が尽きない。本当に、実話か?と思わず言ってしまいたいような事ばかりだが、ここは書いた本人を信じよう。日本人とのエピソードも何編かある。やはり、この前の戦争がらみが多いが・・・・
完訳 グリム童話集〈2〉 (岩波文庫)
完訳 グリム童話集〈2〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥798
release : 1979/01

物語の原形を見た。

どうせ読むなら初版本の訳じゃなきゃなあ、なぜってグリムが初版に手を入れて決定版に至るまでに、例えば「母親」を「継母」に書き換えたとなると、どうしても洗練される前の初版に触れてみたいと思った。そこで他文庫の初版本の訳選集を立ち読みしたが、これが子供の絵本調になっていたのでガックリ、全く読む気がしない。

岩波文庫は決定版に加え初版から削られた話を含めて全5冊、多いなあと思いつつ頁をめくると訳がいい。中にはこれは日本の昔話なのではと感じてしまう程の訳まである。

不思議なことにどこにでもあるような話もある!? 例えば竹取物語似。どっちがオリジナルか、それともシンクロかはわからないけど。
何回かリピートして増幅しながらの変奏、あっけない結末というパターンものも幾つかある。
単に残酷なだけで終わる話から、人間の欲や、貧乏と王様王妃との世界の落差、神通力、恩返し、因果応報等が表出される。物語の原形を見た。

中国古典の名言・名句三百選
中国古典の名言・名句三百選
プレジデント社
price : ¥1,575
release : 2006/10

有名な文句は載っていた

こういう本を見つけたら、自分の知っている言葉を探すのが常である。

探して載っていなければ、失礼ながら使えないと思っている。


なんとこの本にはありました。
しかも全部☆

禍福は糾える縄のごとし
→46番に出典あり。

居は気を移す
→74番。

塞翁が馬
→126番。

柔能く剛を制す
→152番に出典。

精神一到何事か成らざらん
→184番。

禍を転じて福と為す
→300番。

ありがたい、ありがたい♪
ゆれる
ゆれる
ポプラ社
price : ¥1,260
release : 2006/06

構成がいい

 各人の語りによって事の真相を明らかにしていく、心理の錯綜を描くということで、緊迫感のある作品になっている。こういう構成は読み手を興奮させる。映像作家らしく、光景も思い起こされる。
 十分に楽しんだ後での注文を言えば、事件の真相はいまひとつ曖昧に残っていると思う。最後の場面の解釈を読者に委ねるのであれば、本編上でもう少し暗示しておいていただきたかった。
 なお、本書を読んだ限りでは、映画を見ようという気は起きなかった。
ナイトホークス〈上〉 (扶桑社ミステリー)
ナイトホークス〈上〉 (扶桑社ミステリー)
扶桑社
price : ¥680
release : 1992/10

刑事ボッシュ登場

刑事ボッシュシリーズの第1作である。ボッシュはかつてヴェトナム戦争に従軍し、本書では被害者が当時の元同僚で、ストーリーにはヴェトナム戦争がさまざまに絡んでくる。鋭い推理とねばり強い捜査が信条の腕のいい刑事ボッシュ。不正を憎み、たださずにはいられない、妥協を好まない男。上司でも同僚でも間違っていれば「間違いだ」と、人前でも平気で言う男。だから出世をするはずがないが、そもそもそれを望んではいない。現場一筋なのである。このキャラクターが読者には魅力である。
ウィーンの冬
ウィーンの冬
集英社インターナショナル
price : ¥1,995
release : 2005/11

前二作と相対評価されてしまうと厳しい

「プラハの春」「ベルリンの秋」に続く三部作の完結編という触れ込みだったが、標準以上の作品ではあるものの、前二作に比べるとちょっとインパクトに欠ける内容で残念。映画と一緒で、パート2、パート3と続くごとに質が落ちていくのは世の常か。まあ、相対評価で質が落ちるという話であり、この本が単独で世の中で存在していれば、それなりの評価を受けるはずである。著者が元外交官であり、自分の実際の経験を脚色して書いていると思われる箇所もあり、現場感覚に富んだ現実的なタッチで書かれているのが魅力。
うんちっち (わたしのえほん)
うんちっち (わたしのえほん)
PHP研究所
price : ¥1,260
release : 2004/12/23

幼児って面白い♪

小さな子供って、茶目っ気たっぷりなのに結構クレバーなところがありますよね♪

本書のうさぎのこは言葉をたった一つしか言えません。
それは「うんちっち」。

「ちびすけ、ほうれんそうをおたべ」
「うんちっち」

「おふろにはいろう!」
「うんちっち」

都合の悪いことは「うんちっち」でごまかしちゃうなんて!
小さいながらもいろいろ考えていたりして、面白いですよね♪

うさぎのこの隙間のあいた前歯がいかにもヤンチャそうでイイ!
狼が出て来てギョッとする場面もありますが、幼い子供心を楽しく表現した絵本です。
最後のオチもお楽しみに・・・♪




肩ごしの恋人
肩ごしの恋人
マガジンハウス
price : ¥1,470
release : 2001/09

女ってやっかい、でも女の友情もなかなか良い

昔、唯川さんのエッセイを読んだ記憶がありそれが単に読みやすかったのと、確か直木賞を受賞されたはずだと思い、今度は彼女の小説を読んでみようという気になった。登場する人物の会話がポンポンと続き単純に読みやすい。構えなくても気軽に読めた本だった。
るり子が自分の近くにいたら絶対に自分は友達にはならないだろうと思うような女性だし、かといって萌のような女性も辛らつすぎて嫌だな・・と思いつつ読み進んでいくと、最後にはるり子の正直さや萌の強さが妙に羨ましく思ったりした。というよりも、るり子と萌の友情が一番羨ましいのかも知れない。現実的には(男も含めて)あそこまで何でも共有したり言い合えるような関係は、ちょっとあり得ないのでは?と思うのだが。
ラストるり子の選択には拍手を送りたい。いつだって女性は強い。気軽に読めるのがこの筆者の特徴。気軽に読みやすかった直木賞受賞作。ラッキーな筆者だと思う。

冥途のお客 夢か現か、現か夢か
冥途のお客 夢か現か、現か夢か
光文社
price : ¥1,575
release : 2004/09/22

気軽に

「私の遺言」よりも読みやすく、
気軽に(!)、光の世界のことがわかります。

もし、死にたくなってしまった人がまわりにいたら、
175ページから読んであげてください。
死んではいけないと心から思えるはずです。




フラニーとゾーイー
フラニーとゾーイー
新潮社
price : ¥500
release : 1976/04

【商品詳細】

『Franny and Zooey』(邦題『フラニーとゾーイー』)は、それぞれ別に発表された「Franny」(1955年)と「Zooey」(1957年)を1つにまとめた作品である。名門女子大で演劇や詩を学ぶグラース家の末娘フラニーは、過剰な自意識にさいなまれ、エゴの蔓延する世の中に吐き気をもよおし、デートの最中に失神する。心身のバランスをくずした彼女は、「ひたすら祈れば悟りが開ける」と説く「巡礼の道」という本に救いを見出そうと、自宅のソファーの上で子どものように丸くなって祈りの生活に入る。当然、家族にしてみれば、睡眠も食事もろくにとらない彼女が心配でたまらない。兄ゾーイーの懸命の説得もむなしく、フラニーの心はかたく閉ざされたまま。あげくの果てには、亡くなった長兄シーモアと話がしたいと言いだす始末。 そんな妹のために、兄の啓示を受けるべく、ゾーイーは久しぶりに兄の部屋に足を運ぶ。戻ってきた彼は理路整然とフラニーの過ちを指摘していく。「目の前で行われている宗教的な行為(母親はなんとかチキンスープを食べさせようとしている)に気づきもしない人間が、信仰の旅に出て何の意味があるのか」など、ゾーイーの口を借りて伝えられるシーモアの言葉にフラニーは…。 服装や言動の緻密な描写が暗示する登場人物たちの内面、すれ違っていく男女の心、フラニーが神経衰弱に陥っていくまでの心の動き、妹を救うためのゾーイーの奮闘、そして、死してなお絶大な影響力を持つシーモアの思想など、読みどころの多い作品。(小川朋子)

フラニー沙

高校時代にこの小説にのめり込んで(4年たった今)もう一度
読み返してみました。
 この作品に対しての、最大の疑問は、はたして現在の若者が
フラニーのような神経衰弱に陥ったときに、ゾーイーのような
(フラニーにとっての)ハンカチを口に宛てがって、となりの部
屋から電話してくれる人が いるだろうか? ということだ。
サリンジャーの実の娘、ペギー・サリンジャーは、フラニーに
対して、あまり好感を持っていないようだ。それは、この小説
の中で、ゾーイーがフラニーに対して言った言葉 『抹香臭い』
を、父であるサリンジャーの生き方にも、感じるからだそうだ。
私は、自分の生まれ育った家庭が、たまたまカトリックだった
せいで、主の祈りに救いを求めるフラニーの姿に、好感を持っ
たが、ゾーイーの言う『神の女優』『太っちょのオバサマ』の
話は、あまりにも説得力に欠けた。 全ての渇望からの離脱?
シーモアが自殺したり、サリンジャー自身、J・F・K を撃った
男やら、ジョン・レノンを刺した人などに愛読されていること
からも、到底、カトリック的な作家だとは思えない。(フラニ
ーが、キリスト教に救いを求める姿は、とてもカトリック的だ
けれど。)
ただ、今も鮮明に輝き続けるのは、ゾーイーとフラニーのやり
取りだ。
『フランシス、いこうぜ。』 『なんで こんなに明るいの?』
『僕は自分の行く所に、常に太陽を持っていくんだ 』
愛より速く (新潮文庫)
愛より速く (新潮文庫)
新潮社
price : ¥460
release : 1998/09

タイトルは『愛より先にセイコーを』って感じ

文体は軽やかあっけらかん、卑猥語は誌面に飛び散っている。この本にはすごく同情すべき被害者が出てこない。なにせ、主人公がナニを好きでたまらないというストーリーだもん。で、セイコー友達は男はかなり年上から中学生まで、女友達は歳のいったのはいない。
でもまあ、よくこれまでシャブ中毒にされたりヤクザの女にされたりしなくて幸運だったね。まるで地雷原を素足で歩いているようなものだもの。
でも、勘違い男が女性に妙なことをしたり、性犯罪撲滅に心血を注いでいる人が怒ったりしなければいいですが。
最後に、斉藤綾子さんは著作数が少ないようですが、やはり、体験したことでなければ筆が進まないのかな。
きれぎれ (文春文庫)
きれぎれ (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥450
release : 2004/04/07

【商品詳細】

「―― 大きい俺や小さい俺、青空に円形に展開、みな、くわっとした格好で中空に軽くわなないている ――」。親のすねをかじりながら無為の日々を送っていた「俺」はかつて、ともに芸術家を志し、その才能を軽視していた友人が画家として成功したことを知る。しかも、美貌と評判高い彼の妻は、「俺」が見合いをして断った女だという。よじれて歪んだ心が生むイメージが暴走した果てに「俺」が見たものは…。 著者は、パンク歌手であり詩人であり俳優であるという異色作家。『夫婦茶碗』 『へらへらぼっちゃん』など、独特のビート感あふれる作品を意欲的に発表し、個性派作家として注目を浴びている。若い世代を中心に「ストリート系」、「J文学」などともてはやされる一方で、ナンセンスなストーリー展開やメッセージ性の希薄さなどから「キワモノ」であるという冷ややかな評価も受けていた。ところが、一見、一貫性を欠いているようにも思われる言葉の連射の間隙に、透明感を与えることに成功した本作で芥川賞を受賞したことで評価は一変し、純文学の新たな地平を開く作家としての栄誉を得た。好悪の分かれる作家ではあるが、繰り出される言葉のリズムに身をまかせて一種のカタルシスを得ることができるか、違和感を抱くか、それは作品に触れて確かめてほしい。(梅村千恵)

これはロックビデオだ!

著者は元パンクロッカーだったそうですが、これはまるでロックビデオみたいですよ。これをトーリーとして読むと訳が判らなくなると思いますが、シュールなイメージ(映像)の展開として読むと実に面白いです。

これはまさにアートですよ。
今までにない、新鮮な体験でした。


ナイトホークス〈下〉 (扶桑社ミステリー)
ナイトホークス〈下〉 (扶桑社ミステリー)
扶桑社
price : ¥660
release : 1992/10

刑事ボッシュ登場

刑事ボッシュシリーズの第1作である。ボッシュはかつてヴェトナム戦争に従軍し、本書では被害者が当時の元同僚で、ストーリーにはヴェトナム戦争がさまざまに絡んでくる。鋭い推理とねばり強い捜査が信条の腕のいい刑事ボッシュ。不正を憎み、たださずにはいられない、妥協を好まない男。上司でも同僚でも間違っていれば「間違いだ」と、人前でも平気で言う男。だから出世をするはずがないが、そもそもそれを望んではいない。現場一筋なのである。このキャラクターが読者には魅力である。
銀河パトロール隊―レンズマン・シリーズ〈1〉 (創元SF文庫)
銀河パトロール隊―レンズマン・シリーズ〈1〉 (創元SF文庫)
東京創元社
price : ¥882
release : 2002/01

昔の作品だが

とても興味深く読めた。
他のSF作品と同じく科学的用語は多数出てくるが
この作品においてはそのような部分も苦にならず読めた。

そして何よりも楽しませてくれるのは、キニスンを支える仲間たち。
この仲間たちが何よりもこのシリーズを面白くしてくれる。


SFを読んだことがない人でも楽しめるかと思う。
とても面白い本であった。
あなたがいたから (ライムブックス)
あなたがいたから (ライムブックス)
原書房
price : ¥980
release : 2006/03

笑えるロマンス

 RITA賞の常連、SEPのシカゴスターズシリーズ第3弾です。先に出版された『あの夢の果てに』は第4弾、『湖に映る影』は第5弾にあたり、両作品に顔をだすキャルとジェーンの“出会い”から出産までの抱腹絶倒かつジーンとくるお話。

 天才ゆえに寂しい子供時代を過ごした物理学者ジェーンは、普通のIQの子供が欲しかった。一大決心をして、自分のIQと中和するべく、おバカな精子を求めてフットボール選手キャルの「お誕生日プレゼント」に志願し、無事妊娠に成功。が、Nobody's Baby But Mine(原題)のつもりが、全うな倫理観をもつキャルの知るところとなり、結婚するハメに…。

 SEPの描くヒロインはいつもとてもチャーミングでかなり笑わせてくれますが、今回はヒーローもチャーミング(おバカ?)なので、最高に笑えます。頭のいいジェーン相手に悪戦苦闘するキャルがとてもかわいいんです!

 スピンオフ物の例にもれず、独立した作品として十分楽しめますが、やはりシリーズすべて読むと作品の世界が二倍三倍にも広がるので、読破をお薦めします。(ちなみに本作品では<ラッキーチャームズ>のなぞが解けますよ)  
シンセミア〈4〉 (朝日文庫)
シンセミア〈4〉 (朝日文庫)
朝日新聞社
price : ¥525
release : 2006/11

気色悪いのに読み通してしまった

世間の評価が高いのに知人で推奨する人がいない不思議な本ゆえ文庫化を待っておりました。一気に読んじゃったけど正直、面白くない。感情移入できる人物ゼロ。胸糞悪いエピソード満載。なのに放り出す気にならず一気読み。

いかにもありそうな裏歴史という風情のせい?エセ・ドキュメンタリー的な手腕ってこと?

議員に何か頼む人がホントにいるなんて信じらんない都会の浮動票にはまったく実感がない。ゆえに興味深い「地方のボスと取り巻き、その反乱」という構図が、実は面白かったのかな。なんだかだまされたよう気もします。

とりあえず、知らぬは仏の少女の体内に宿る命に救いが見えた気はするんですが。
これが文学として評価されるとは、マジヤバイぞ日本の今。
いえ、社会の話です。文学畑の話じゃなくて。
神〓剣侠〈5〉めぐり逢い (徳間文庫)
神〓剣侠〈5〉めぐり逢い (徳間文庫)
徳間書店
price : ¥840
release : 2006/10

ペギー・スー〈5〉黒い城の恐ろしい謎 (角川文庫)
ペギー・スー〈5〉黒い城の恐ろしい謎 (角川文庫)
角川書店
price : ¥620
release : 2006/06

ハマル!!

第5巻目に限らず、「ペギー・スー」シリーズはどれも物語の世界に入れちゃいます。次のページをめくるドキドキ感が一番の魅力だと思います。特にこの第5巻「黒い城の恐ろしい謎」はストーリーの展開が想像できなくてあっという間に読み終わっちゃいますよ☆彡興味をもった方は、ぜひ1巻目から読んでみてください!!
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