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噂 (新潮文庫)
噂 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥660
release : 2006/02

おもしろい

この本が刊行されたあと東京で本の内容のとおりの香水(名前はミリエルじゃないけ)の噂が流れてその商品がバカ売れした話がけっこう前にニュースでやっていてそれで興味を持ち購入しました。
あまり怖い描写などはないので安心して読むことができました
読み終わった後の感想なんですけど本の解説どおり切れ味の鋭い「カミソリ」が最後の最後に仕込んでありました。
今でも一番好きなミステリーです。
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
東京創元社
price : ¥600
release : 2006/04/11

ミステリ傑作だけど、ラストが辛すぎる作品

 この本は、前に紹介した「春季限定いちごタルト事件」の続編になります。
 小鳩くんと小佐内さんのコンビも、前回は高校一年生でしたが、今回は一年とちょっと過ぎて高校二年生になっています。見かけは普通ながら、それぞれ常人より推理力と復讐心が圧倒的に強い二人はその自分たちの性を押さえて隠すため、「小市民」を目指していますが、今回もまたそうはいかない展開になります。一夏の事件は二人の関係をそうした穏やかな状態で終わらせてはくれませんでした。
 幕開けはそんな劇的なことを予感させない、むしろ微笑ましい雰囲気で幕をあけます。
 夏休みになった途端に、「素敵な夏になりそう」と小佐内さんは、街にたくさんある厳選スイーツの食べ歩きに小鳩くんを誘います。その名も「小佐内ゆき 夏のスイートコレクション」と銘打って、それぞれのお店とおすすめまで書き込んだ、お手製の地図まで作って一夏の食べ歩きを提案します。甘いものがそんなに好きじゃないといいつつ、小鳩くんもそれにつきあいます。まさに、清く正しい男女交際? みたいな展開になります。そこだけみると気恥ずかいくらい青春しています。
 彼女の性格からすると違和感を感じつつも、小鳩くんはそれにつきあいますが、それは大きな事件につながることだったのです。。
 
 ストーリーはそのあたりまでで、感想ですが、正直ラストの部分は非常に辛かったです。
 どんでん返しにつぐどんでん返しで、まさにミステリーの醍醐味を感じさせる展開で、なおかつその構成力には舌を巻く思いで、それだけであれば文句なく太鼓判で大絶賛です。前作よりも非常にレベルアップしています。
 が、本当にラストの展開が辛かったです。よくできたキャラクターに惚れ込んでいたからかも知れませんが、最後の二人の選択が悲しかったし、その途中での小佐内さんの語りにも胸が苦しくなっていました。
 女性はいろいろな顔を持ち、男が思っているような単純なものでは決してないです。それはまぁもちろん人生経験で誰もが知っている筈ですが、こういうシチュエーションになって、思いがけない展開になるとなんだか全てがわからなくなってしまったり、動けなくなるのも男性心理の不可思議。読んでいて、まるで自分がそこにいるかのように苦しくなってしまいました。
 続編が「秋季限定 マロングラッセ事件」として出る予定だそうですが、ここからどうやって組み立て直すのか、二人が幸せな状態でいるのか、この作品を読んだ人は必ずやきもきしながら待つ事になりそうです。
東の海神 西の滄海 十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート
東の海神 西の滄海 十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート
講談社
price : ¥641
release : 1994/06

王故に。

何百年と栄え続ける雁州国の延王が延麒によって国を貰い20年ほど経過しようやく国らしい国になってきた頃の物語です。

今ひとつ王としての職務を果たさないように見える尚隆に六太はいまいとつ信頼がわかない矢先に彼が過去に出会った更夜という少年と再会しいつしか彼は「反乱」が起こった中心に巻き込まれてしまう。どちらのサイドにも何となく切ない事情がありどちらにも穏便にしてあげたいところです。更夜に尚隆が国に対する想いを語った時、決着がついた後、延王が嫌だといいながら自ら騒動のもとになってしまった六太を「叱った」ことは王とは何をすべきか時には非情にならねばならないという強さと悲しさを説明しているかもしれませんし六太にとっても自分が選んだ王とはいかなる者かを悟ったときかもしれません。それら場面は普段は情けないように思える延王をますます見直した私の中で一番のシーンです。

著者自身が言うようにこれは外伝的なものですが充分読み応えはあります。


虚構の殺人者―東京ベイエリア分署 (ハルキ文庫)
虚構の殺人者―東京ベイエリア分署 (ハルキ文庫)
角川春樹事務所
price : ¥714
release : 2006/10

須田ファンに特におすすめ

ハルキ文庫での発売が、「硝子の殺人者」より後になっていますが、実はこの「虚構の殺人者」の事件の方が先に起こった話。両方未読なら、まずこちらから読むことをオススメします。

さて、安積警部補シリーズのファンの方なら、文句なく買いの一冊でしょう。
特に今回は、須田が大活躍します。
事件は華やかな芸能界で起きる殺人事件。筆者はかつてレコード会社にも勤務したことがあるそうなので、「虚構の世界」という芸能界の話にはなかなか説得力があります。

以下はシリーズを知らない方向けのレビュー。
筆者の今野敏は、多数の警察小説を描き続けていて、現実にはあり得ないような特殊能力を備えた捜査の小説や、伝奇的な小説など、エンタテインメント性の高い作品で知られています。
そんな今野氏の作品の中では、やや異色のこのシリーズ。エド・マクベインの87分署シリーズなどが好きな筆者が、事件そのものより一人一人の刑事を生き生きと描くことに重きを置いた<ライフワーク>でもあります。
というわけで、安積警部補と、その魅力的な部下が活躍するこのシリーズは、どの作品から読んでも違和感なく入れます。とりあえず警察小説好きな方は、読んでみてください。
時の渚 (文春文庫)
時の渚 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥650
release : 2004/04/07

涙が出たよ

末期ガンの老人から元刑事の探偵に依頼があった。
「生まれてすぐに生き別れた息子に会いたい」
手がかりは殆どない。35年も前のことだ。
そして依頼を請けた探偵には酷い過去があった。
二転三転するストリー。
父と子、母と子。
家族とは何なのか、家族の絆とは。
途中、冗長で懲りすぎの箇所もあるけど、
老人は35年ぶりに息子と会うことができるのか。
終章、大きな感動が待っている。
コーランを知っていますか (新潮文庫)
コーランを知っていますか (新潮文庫)
新潮社
price : ¥580
release : 2005/12

良書.一読の価値あり

 それを専門とはしていない普通の人の感覚で,その専門家からみても大きく勘違いをしていない書を書けるということを許された稀有な人材が阿刀田氏であるように思う.この意味で,とくに阿刀田氏がイスラム圏を旅した記,第10話「聖典の故里を訪ねて」は興味深かった.
 なんとなく,全体的にキレに欠ける印象をもったが,「聖典」をエッセイに転換していくことの難しさ故なのだろう.それだけ,オリジナルを踏まえているということの証左とも言えるかもしれない.
 それにしてもイスラム教がこんなにキリスト教(やユダヤ教)に近いとは思わなかった.厳密には違うだろうし,それぞれの信者からすれば「全然違う」と言うのだろうが,もっとずっと思想や文化的に遠い東洋の一島国にいる人間から見れば,似ているところも結構あるんじゃない,と思わずにいられない.これは私個人に限らず,普通に学校教育を受けてきた日本人の感覚ともそう違わないのではあるまいか.
 イスラム教について,ニュートラルに考えていく,その第一歩として,本書と出会えてよかったと思う.
文庫版 塗仏の宴―宴の始末 (講談社文庫)
文庫版 塗仏の宴―宴の始末 (講談社文庫)
講談社
price : ¥1,100
release : 2003/10

終わり方が・・・

今までの登場人物が総出演!・・・までは良かったんだけど・・どうでしょうね。京極堂の宿敵と言えるような人物の出現なども好きなんですが「始末」という割にはって感じでしょうか?まぁ次回作に期待します。
ガダラの豚〈2〉 (集英社文庫)
ガダラの豚〈2〉 (集英社文庫)
集英社
price : ¥590
release : 1996/05

1巻から一挙に読めるおもしろさ

2巻はアフリカの呪術。
生活に密着した呪術とは何なのか。
名言は「電話を知らない社会に電話をつかってみてたら、
それはすさまじい超能力と思われる」というように、
社会の文明発展に応じて「超能力」や「予知」の意味が違ってくるように、
ある程度のことは科学技術で理解ができてしまうのだ。

その一方で不可思議な呪術は、科学的なアプローチでなくても、
これまでつちかってきた民族の経験則から真実に辿りつき、
それをただ呪術的方法にのっとってみせるから、なんだかいかにも不可思議に見えるだけで、
そういったことも科学的裏づけがとれるということを物語仕立てで語らせるから実におもしろい。

ミステリ書店(1) 幽霊探偵からのメッセージ (ランダムハウス講談社文庫)
ミステリ書店(1) 幽霊探偵からのメッセージ (ランダムハウス講談社文庫)
ランダムハウス講談社
price : ¥819
release : 2006/01/22

名コンビ

ある日、田舎町のミステリ書店で大人気作家ティモシー・ブレナンが新作発表会中に謎の死を遂げる。この作家の突然の死により、
店主マクルアは今後の経営に不安を感じます。
しかし、暗闇の中から突然「ベイビー!べっぴんさん」と謎の声が聞こえてビックリ!
「あれは心臓発作ではなく、殺されたんだ!」と告げられ、この声の主(幽霊探偵)と共に謎解きを始めます。
主人公マクルアとこの幽霊探偵のジャックのやりとりが実の面白い!。
ジャックはマクルアに魅力を感じているけど、マクルアは「もううんざり、出てこないで」という感じ。
また、舞台が書店という事で実在の作家の名前等も使われていて、ミステリ小説を読んでいる方には、なかなか楽しめると思います。
続編も出るそうなので、また是非読んでみたいと思います。


黒い太陽 第5巻(完) (マンサンコミックス)
黒い太陽 第5巻(完) (マンサンコミックス)
実業之日本社
price : ¥560
release : 2007/06/29

堂々完結ですね

大ゴマで飛び出す過剰表現パワーは衰えることがなく、
作品のテンションが高いまま一気に読み進めることが出来ました。

ただ、最後にいくにつれコピペが多くなってくるのと、
アシスタントが書く人物の顔が変に浮いているのが気になります。

笠原作品の絵柄・表情が好きなので、
この2点が☆2個マイナスというところでしょうか。
ピーチコブラーは嘘をつく (ヴィレッジブックス)
ピーチコブラーは嘘をつく (ヴィレッジブックス)
ヴィレッジブックス
price : ¥903
release : 2006/10

とってもおもしろいです!

最近この本のシリーズを知り、大人買いしました。
主人公のハンナと年齢も近いこともあり、彼女の2人の男性について揺れ動く気持ちがめちゃめちゃわかります!
推理もおもしろくて本当にいい本と出合ったなーと思います(^^)

クッキーとコーヒーが無性にほしくなるそんな本です(^0^)
ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)
ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)
幻冬舎
price : ¥720
release : 2006/04

情念と疾走感

日本政府の駄政策により、だまされるようにアマゾン棄民となり、
絶望と苦悶の末に死に絶えた親兄弟、仲間達。
過去にやり直しは利かないが、あれほどの地獄を忘ることなどできるだろうか?
彼らの復讐心に息が詰まるかのような切迫感と何にも換えがたい目的意識が見える。
それは私達読者を圧倒する説得力と魅力だ。

ケイはこのテの作品に登場するキャラクターとしてはおそろしくキャラ立ちしており、
その一挙手一投足が楽しく読める。彼の陽性ぶり、その軽い言動、ブラジリアンとしての
すべては軽薄で浅慮にみえる。
そんなケイの中でどれほどの情念がたぎっているのだろう?
想像しながら読んでみてほしい。
双頭の悪魔 (創元推理文庫)
双頭の悪魔 (創元推理文庫)
東京創元社
price : ¥1,092
release : 1999/04

新本格の最高傑作

有栖川有栖氏の最高傑作であるばかりか、新本格派(と言ってもさまざまですが、少なくとも推理の過程に重きをおく作家グループ)の到達点の一つだと思います。
名探偵江神先輩の名推理だけでなく、アリスたちがぐるぐるとあーでもない、こーでもないと議論を重ねていく過程が非常に面白い作品です。

原稿用紙で1000枚を越える大作ですが、何回読み返しても興が薄くなることのない、むしろいつも、えっ、もう終わりという感じで読了している作品です。(10回ほど再読しています)

ただし、欠点が無いわけではありません。

第一の殺人が起こるまでが結構長い。(悠揚迫らぬ筆致とも言えます)
被害者が洞窟の中のどこで絵を書いていたかを誰も知らなかったと言う点が推理の前提になっているが根拠が薄弱。
刑事が被疑者たり得るアリスたちに情報を洩らし過ぎ。
真犯人のそもそもの動機が現在の木更村を守ることにあるにもかかわらず、木更村の中で殺人事件を起こしている点があまりと言えばあまりにお馬鹿すぎ。
(警察がどかどかと踏み込んでくることは当然予測できたはずだし、それでなくとも婚約者を殺された女主人が悲しい思い出のある村を解散するかもしれない)

以上、特に動機面はお世辞にも出来がいいと言いかねる作品ですが、これらの欠点を補ってあまりあるのがこれでもかと言う推理の積み上げです。本格推理小説という言葉がこれくらい当てはまる作品はちょっと他に見当たりません。
魔性の子 (新潮文庫―ファンタジーノベル・シリーズ)
魔性の子 (新潮文庫―ファンタジーノベル・シリーズ)
新潮社
price : ¥620
release : 1991/09

十二国記の前に描かれた十二国記の物語

小野不由美の十二国記シリーズを手に取ろうと思っている貴方には、まずこの1冊から読み始めることをお奨めする。

本作は同シリーズの外伝であり本編である。

シリーズの構想があった小野氏がまず執筆したのがこの作品であり、執筆順に読んで欲しいという理由以上に、十二国記を読む前と後では『魔性の子』という作品への印象が全く変わる、というのが最大の理由である。

実のところ、自分は十二国記本編よりもこの『魔性の子』の方が好きなのだ。

主人公広瀬と高里の周囲で次々と起きる怪異現象。
正体のわからないものへの畏怖・恐怖。
――この場所は己の在るべき場所ではない。自分は特別な何か、なのだと思いたい人間のエゴ。

ホラーとしても、人のエゴイズムを徹底的に抉りこんだ作品としても一級品。この醍醐味を味わえないのは、ある意味多大なる損失。
十二国記を読んでしまった後では、唯のサイドストーリーになってしまう。
是非本書から十二国記に親しんで欲しい。
聖なる黒夜〈下〉 (角川文庫)
聖なる黒夜〈下〉 (角川文庫)
角川書店
price : ¥780
release : 2006/10

今後の楽しみ

読者の多くは山内練というキャラクターを他の作品で読んでいたのだと思うけれど、実は私は他の作品を読まずにこれを読んだので、途中から山内がラストで死ぬのではないかとビクビクしていた。
迂闊な話だが、山内が柴田よしきの先行小説に登場していることを、まったく知らなかったのだ。
読みながら山内練の苦しみを思い、なんとか生きていてほしいと願い、たどり着いたラストでは、これが作者さんの精一杯のハッピーエンドなのかもしれないと思った。
読み方としては逆順かもしれないけれど、これから他の作品を読んで、そこに登場する山内練と会えるのを楽しみに思う。
ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)
ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)
幻冬舎
price : ¥720
release : 2006/04

極上のエンタテイメント

上巻を読んでいたときはそうでもなかったが、
下巻を読み進めるにつれ、ある思いが深まった。
「デビューしたころの船戸与一に似ている。」
大藪春彦賞をとった本書だが、作風は、船戸のほうに似ているようだ。
ただ、終わり方が違うけども。


とにかく楽しい時間だった。
おそらくは、垣根の最もいい瞬間を味わったのだろう。

鬼平が「うまい」と言った江戸の味 (PHP文庫)
鬼平が「うまい」と言った江戸の味 (PHP文庫)
PHP研究所
price : ¥580
release : 2003/12

和食器を選ぶのが楽しくなる本。

先にレビューされてる方のご意見を参考にさせていただき、購入を決めました。
本の内容は、鬼平犯科帳の小説と、小説出てくる料理を再現した写真が載っています。
しかし、料理の作り方は、水上勉の「精進百選」の本と同じで、
料理に使う材料と、調味料を大まかに記載して、造り方を大雑把に紹介しています。
だから、材料を揃えたら、味付けは自分好みに味付けしたら十分に作れます。

それにしても、この本は鬼平の話を読めて、鬼平に出てくる料理の内容もわかるので、
楽しさ二倍って所でしょうか?使われている和食器も料亭の感じが出ていて、
和食器の使い方の参考になります。
料理の写真を見てると、何となく関西風ではなく、江戸風の濃いめの味付けなんだろうなと思います。
波のうえの魔術師 (文春文庫)
波のうえの魔術師 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥500
release : 2003/09

物語は淡々と

若いパチプロが右翼(暴力団)と繋がりのある投資家と出会う・・。物語の始りは余りに突然過ぎ、読み終わった後もその展開の大胆さには思わず笑ってしまいます。この小説の展開、登場人物は極めて大胆かつ明解。しかし、それに対する証券市場の描写は緻密であり、1日1日ごとの値動きをその値動きが起こった理由を添えて描写してくれます。この”老人”は一体どういう立場なのか?何故投資家になったのか?に関しては見過ごす事が無いくらいに単純に描写する一方、証券市場の値動きに関しては為替、外国情勢や月ごとの株式市場における基礎知識も織り交ぜて描写します。また、主人公の成り上がり方があっけない一方、素人が初めて株と出会ってから実際に株を買い、売るまでの心情を細かく描きます。この辺りに石田さんの小説と現実に対する潔い割り切りを感じました。 誰もがリスク逃れと責任転嫁に勤しんだ90年代、バブル期に銀行と保険会社が手を結び相続税対策と称して売り出した金融商品が、多数の自殺者と全国規模の訴訟を引き起こす・・・。 興味深い人は是非!
ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)
ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)
光文社
price : ¥600
release : 1993/08

さすがは理系出身の東野圭吾

 主人公の拓也は産業ロボットの技術者である。 不幸な生い立ちの彼は専務の娘・星子の花婿候補になるが、恋人の康子が妊娠し、責任を取るように言われ、殺意を覚える。 そんな時、星子の異母兄弟の直樹から、同僚の橋本と共に康子殺害計画を持ちかれられ実行に移すが、直樹が何者かに殺されてしまい・・・。

 私には真犯人がだれなのかなかなかわかりませんでした。なかなかよくできたストーリーです。さすがは理系出身の東野圭吾って感じがしました。

 作中に出てくる登場人物の連絡を取る方法が公衆電話なので、時代の流れを感じました。(89年著)


日暮らし 下
日暮らし 下
講談社
price : ¥1,680
release : 2004/12/22

謎解き部分は重要ではないのでは?

時代小説+ミステリー=日常生活の些事から生まれては消えてゆくけれど大事なモノを気づかせる小説です。
ミステリー仕立てではあるものの、謎解きを主眼に置いていません。それよりも江戸時代の下々の人々の暮らし(まさしく、タイトルの 日暮し です!)を現代の我々の生活にも通じるささやかなモノを汲み取ってくれる、あるいは、私達に思い出させてくれる、そんな小説です。

さらに、連作短編のようになっていて、小さな細かい話しが次第に大きなひとつの流れになり、綺麗に纏まる、そう、ココで思い出されるのは「堀江 敏幸」さんの様な小説です。

堀江さん好きな方で、「どうもベストセラー作家は敬遠しがち」な方、宮部みゆきの初心者(私もですけど)にオススメ致します。

各章に「日暮し」という単語が必ず入るのですが、その入りが絶妙です。さすがというべきか、宮部みゆき!些細な人々の細かい想いをそれぞれに、綺麗に、描写します。

様々な登場人物の中に、あなたのお気に入りの人物がきっといます。三谷幸喜のドラマの様な、スティーブン・キングの小説の様な、それぞれの登場人物に作者の愛情を感じます。

群像劇が好きな方にも、オススメ致します。
マヤ (NHKスペシャル失われた文明)
マヤ (NHKスペシャル失われた文明)
日本放送出版協会
price : ¥1,680
release : 2007/06

数学的にありえない〈上〉
数学的にありえない〈上〉
文藝春秋
price : ¥2,200
release : 2006/08

期待ほどでは…

書評に「ダヴィンチ・コード」を超えた!とあったので、ちょっと期待したのですが、まず文章が拙い…読みにくいです。翻訳の問題なのか、原書からの問題なのか(多分こっち)、ぐいぐいとは引き込まれません。コニー・ウィリスの「航海」の方が、数倍手に汗握るストーリーでした。おまけに泣けるし。読んで損とは言わないですが、ここまで評判になるのがちょっと不思議です。
怪人二十面相 (少年探偵)
怪人二十面相 (少年探偵)
ポプラ社
price : ¥630
release : 2005/02

どきどきはらはらエンターテイメント

推理の妙を効かせるお話かな・・・?と思いきや、そうでもありません。むずかしい理屈は抜きにして、とにかく何度も、「あっ!?」と驚くどんでんがえしが起こります。捕まえた、と思いきや捕まえておらず、ピンチかな、と思いきや今度は優勢に立っていたり・・・とにかく展開がめまぐるしく、また動きがたくさんあるけっこうアクション系のお話かな、と思います。頭脳をはたらかせる推理部分も、舌を巻くようなすばらしい出来ですが、そこだけをくどくどと説明することなく、簡潔にとてもわかりやすく書いているので、子どもにも理解しやすく、親しみやすい作品となっています。
何より、この作品に登場する明智小五郎探偵は今、とっても人気のコナンの漫画で親しまれているし、明智探偵の手下であり、主役的存在の勇敢な小林少年が小学生ということもあって、子どもには魅力的な要素がたくさんつまっているのです。犯罪が起こるからといって、この巻には残虐なシーンや殺人などは起こりませんし。
字は多めですが、注の付け方もわかりやすく、無理なく難しめのことばに慣れるための教材としてもいいかもしれません。楽しみながら読めますので。

と、子供向けにどうかという視点で考えてみましたが(作者は子供向けに書いた)、おとなが読んでももちろんはまります。先が読めそうで、読めない展開を、ぜひ楽しんでみてください。
文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)
文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)
講談社
price : ¥1,020
release : 2000/09

京極堂シリーズ第3弾。

実に多様なテーマを扱う京極作品だが、本作は宗教はもちろんのこと、フロイトの精神分析
までもが出てくる。これまでの作品にも心理学的な要素を含む記述は出てきたが、本格的なものは本作が初めてだろう。

評者は精神分析に明るくないので、本作での精神分析についての説明が正しいのか
そうでないのか(京極夏彦氏が精神分析まできちんと理解しているのかどうか)までは
わからないけれど、実際にある程度精神分析を学んだ人が読めば、素人が読むよりも
また違った面白さがあるのではないかと思う。

シリーズ中、この『狂骨の夢』が一番好きだ!!という人はあまり聞いたことがない。
それはもちろん、他に魅力的な作品が多くあるからだろうが、精神分析やそれについての
伏線の張り方がちょっとだけ難しくて、すんなり面白さが伝わってこないところにも
あるような気がする。また、「狂骨」という妖怪自体が他の妖怪シリーズで扱われている妖怪よりも理解しにくいというところにもあるかも(これは流石にないか笑)。
個人的にはもっと評価が高くても良いと思うし、非常に良くできた話だと思っている。
秀作。

私のギリシャ神話 (集英社文庫)
私のギリシャ神話 (集英社文庫)
集英社
price : ¥900
release : 2002/12

ギリシャ神話を知って、旅に出よう!・・・旅したい!

 本書、1999年4月から6月に放映された
 NHK教育テレビの『人間講座<私のギリシャ神話>』のテキストに
 加筆されたもの。

 ふんだんに挿入されるギリシャ神話を題材にした絵画が、
 とっても良い!

 この絵を眺めるだけでも、充分に価値あり、です。

 機会があれば、この本を持参して、美術館巡りをしてみたいな、
 と思っています。


この講義にあたっての阿刀田さんのコメント。

「・・この本の目的は次の2つに要約できるだろう。

 一つは欧米文化の淵源を知ることだ。

 ギリシャを知ることは欧米を知ることに通ずる。

 21世紀はますます国際化していくだろう。肌色の異なる朋友たちの思考と知識の一端を

 根本からながめてみることも無駄ではあるまい。

 私たちの内なるギリシャ的なものをも、ときには見出すことがあるだろう。

 もう一つは・・古代ギリシャの文明は、それ自体優れている。

 現在でも生ものとして新鮮な価値を含んでいる。

 古代ギリシャ哲学は、たとえばソクラテス一人を採ってみても

 現代的な価値を失っていない。文学や芸術もまたしかり。

 こうした文化は当然のことながら民族の神話と密接な関係を持っている。

 ギリシャ神話の知識なしでは理解できない部分も大きいし、

 加えてギリシャ神話は文学としてそれ自体ユニークな価値を持ち続けている。

 この点は、とりわけこの本で触れたいポイントである。」

もう一つの王国 グイン・サーガ 113
もう一つの王国 グイン・サーガ 113
早川書房
price : ¥567
release : 2007/04

どこまでつきあうの?

あきらかにストーリー展開が遅くなってきています。グイン・サーガの長いストーリーからみると、本巻だけを読みのがしたとしても「ついていけなくなった」ということはありえません。その意味では、ストーリーが水増しされていると言えます。 ・・・と、前巻のレビューに書きましたが、本巻もまったく該当。
本巻、全体的に退屈でしたが、ラストに大きく(強引に?)ヒキを入れています。作者もこのあたり、自動筆記状態といいつつも老練です。
余談ですが、グインの結末を読むことなく、旅半ばで死期を迎えてしまった不幸な読者もいるのではないかと思います。最近の内容、外伝にはできないんでしょうか?
ネバーランド (集英社文庫)
ネバーランド (集英社文庫)
集英社
price : ¥540
release : 2003/05

楽しかった!

初めて読んだ恩田さんの作品がこの「ネバーランド」でした。
そして、初めて読んだのがこれでよかったなと思います。

有名私立男子高校の寮に残ったタイプの違う4人の物語。
それぞれ背負ったものを打ち明けていくうちに4人に共犯意識が生まれていく。

読み進めていくうちにいつのまにか、自分自身も5人目としてこの共犯ゲームに参加していました。
作品にぐいぐいひきこまれるってこういうことなのかな。
少しの間だけど4人と時間を共にして、切なくなったり嬉しくなったり貴重な体験(と言いたい)ができました。
4人のベタベタしすぎない距離感が好きです。この距離感もこの年齢ならでは。

読み終えて「ネバーランド」の意味がわかった時、あぁ、いい作品に出会えたなぁと暖かい気持ちになりました。
これからもずっと自分の心に残る大切な作品です。
5人目としてゲームに参加してみては??

ドラマでは夏が舞台でしたが・・・うーん、やっぱりこの雰囲気は冬じゃなきゃ!
原作ファンとしては、ドラマ特有のプラスαの設定に毎回「それはないでしょう・・・」となってしまってなじめませんでした。残念。
それぐらい、原作の雰囲気が心地よくて大切にしたいという思い入れがあります。
ガダラの豚〈3〉 (集英社文庫)
ガダラの豚〈3〉 (集英社文庫)
集英社
price : ¥530
release : 1996/05

1、2巻のおもしろさが台無しに・・・

3巻は最悪。読まない方がいい。
これまでの2巻が台無しになるから。
アフリカ帰還から7ヶ月後、アフリカの呪術師が日本に復讐に来る話で、
1、2巻のような確固としたテーマ性がなく、
やたらめったら人を殺し、大掛かりなトリックでわあわあ騒ぐだけの、
くだらんアメリカ映画のようで、がっかりした。
なんでこんないらんもんつけくわえたんだろうか。
筆者の意図がわからない。
しかもここで思い出したかのように、
1巻の導入部分でさらっと出てきた話をとってつけたようにもってくるんだけど、
それもほとんど重要性を持たずに終わってしまうから、
余計なんのこっちゃってことになる。

心霊探偵八雲〈2〉魂をつなぐもの
心霊探偵八雲〈2〉魂をつなぐもの
文芸社
price : ¥1,050
release : 2005/02

幽霊ものは…

このシリーズを四巻まで読んで、気付きました。以前より霊感がアップしていると…。この手の作家は実際に幽霊が見えるんだろうか…常々考えてみたりする。幽霊を信じない方は読まないのかもしれないが、疲れているときに読むと、もろに影響して悪夢にうなされるようになる。目を開けると生き霊を見たり…そういうのが怖くない方は最後まで楽しめるかもしれない。このシリーズは人によってはちょっと難癖つけたくなる所がある…
街の灯 (文春文庫)
街の灯 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥500
release : 2006/05

昭和7年にあった上流社会の空気と考え方

「玻璃の天」を読んで、その前作があることを知って、この本を読みました。順序が逆になった事によって、スケールの小ささが気になりましたが、それも「玻璃の天」の素晴らしさを導く序章としての作品であると考えれば、十分に役目も果たしており、楽しめる良い作品だと思います。
「玻璃の天」では、正体が解ってしまうベッキーさんが、まだ正体不明の謎の女性として描かれており、花村英子とのコンビも「玻璃の天」ほどの一体感はまだみられないようにみえます。
でも、昭和7年にあった上流社会の空気や、そこに暮らしていた人々の考え方は、非常に良く伝わってきます。この点に関しては、ミステリーとしての完成度の高い「玻璃の天」よりは、優れているかも知れません。
この「わたしのベッキー」がシリーズ化し、後何作か書かれるのかもしれませんが、非常に楽しみなシリーズになりました。
悪徳の都〈下〉 (扶桑社ミステリー)
悪徳の都〈下〉 (扶桑社ミステリー)
扶桑社
price : ¥820
release : 2001/02

ハンターらしい“骨太”な男の物語

『狩りのとき』で幕を閉じたはずの“ボブ・リー・スワガー・サーガ”だったが、今度は父親のアールを主人公にした3部作の“サーガ”が続いて書かれていた。本書はその第1作に当たり、’01年、「このミステリーがすごい!」海外編第14位にランクインしている。

太平洋戦争で硫黄島の英雄だったアール・スワガーは、1946年、その戦功によりトゥルーマン大統領から名誉勲章を授与された。彼は、海兵隊を引退して製材所で働いていたが、その腕を見込まれ、ギャングと腐敗の町ホットスプリングスを浄化するために、違法な賭博の摘発(手入れ)をおこなう部隊の隊員たちを鍛え上げて欲しいと、教官としてリクルートされる。彼は指導者としてのみならず、自らも命がけで武力による摘発行動に参加するのだ。一方、町を牛耳る陰の統括者マドックスは、アールと摘発部隊のおかげで散々な目にあわされ、武装強盗団を呼び寄せて復讐へと転じる。双方あとに引かない闘いはアールを窮地に立たせる。そして、永年彼の心の奥底に秘めてあった父チャールズの死の驚くべき真相が部下の調査から明らかに・・・。

とにかく、ハードアクションてんこ盛りの展開のストーリーだが、その根底には銃器との関係が切っても切れないアメリカのありようが濃密に描かれているような気がする。本書は、まさに“骨太”な男のドラマなのだ。

余談だが、本書には往年のエンターテイナーや銀幕スターが実名で登場したり、のちにラスヴェガスをつくる‘バグジー’が出てきたり、なんとなく歴史が感じられて、そういう意味でも興味深い。

零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)
零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)
講談社
price : ¥1,260
release : 2006/11/08

少し読みづらいが面白い

この1冊は、なんだかちょっと読みづらいです。なんでかな?
戯言や前冊の人間試験とはちょっと違った構成になっているからかな。
軋織が他の2人(双織、人織)に比べてなんとなく普通っぽい感じなので、ちょっと地味目な印象を受けるからかも。特に請負人伝説の時は零崎シリーズと言っていいの?という感じですしね。

大きく3つの話で構成され、1と2はクビツリハイスクールの登場人物、萩原子荻、西条玉藻、姫ちゃんの師匠・市井遊馬が登場します。クビツリではかなりあっさりと退場してしまった子荻、玉藻ですが、本冊ではたっぷりと活躍してくれます。結構いい感じでした。
しかも、前冊では微妙な感じだった双織の変態度が格段に跳ね上がってるのがまた(笑)
個人的には玉藻がかなりいい感じでした。

零崎軋織の別の一面というのも語られるし、クビツリの面々が登場するのとも相まって、結構戯言で曖昧になっていた分部が補完されますので、戯言読んだ人はぜひ読んでおくといいのではないでしょうか。

イコン (講談社文庫)
イコン (講談社文庫)
講談社
price : ¥800
release : 1998/08

悪徳の都〈上〉 (扶桑社ミステリー)
悪徳の都〈上〉 (扶桑社ミステリー)
扶桑社
price : ¥820
release : 2001/02

ハンターらしい“骨太”な男の物語

『狩りのとき』で幕を閉じたはずの“ボブ・リー・スワガー・サーガ”だったが、今度は父親のアールを主人公にした3部作の“サーガ”が続いて書かれていた。本書はその第1作に当たり、’01年、「このミステリーがすごい!」海外編第14位にランクインしている。

太平洋戦争で硫黄島の英雄だったアール・スワガーは、1946年、その戦功によりトゥルーマン大統領から名誉勲章を授与された。彼は、海兵隊を引退して製材所で働いていたが、その腕を見込まれ、ギャングと腐敗の町ホットスプリングスを浄化するために、違法な賭博の摘発(手入れ)をおこなう部隊の隊員たちを鍛え上げて欲しいと、教官としてリクルートされる。彼は指導者としてのみならず、自らも命がけで武力による摘発行動に参加するのだ。一方、町を牛耳る陰の統括者マドックスは、アールと摘発部隊のおかげで散々な目にあわされ、武装強盗団を呼び寄せて復讐へと転じる。双方あとに引かない闘いはアールを窮地に立たせる。そして、永年彼の心の奥底に秘めてあった父チャールズの死の驚くべき真相が部下の調査から明らかに・・・。

とにかく、ハードアクションてんこ盛りの展開のストーリーだが、その根底には銃器との関係が切っても切れないアメリカのありようが濃密に描かれているような気がする。本書は、まさに“骨太”な男のドラマなのだ。

余談だが、本書には往年のエンターテイナーや銀幕スターが実名で登場したり、のちにラスヴェガスをつくる‘バグジー’が出てきたり、なんとなく歴史が感じられて、そういう意味でも興味深い。

哀しみの終着駅―怪異名所巡り〈3〉 (SUZUME BUS―怪異名所巡り)
哀しみの終着駅―怪異名所巡り〈3〉 (SUZUME BUS―怪異名所巡り)
集英社
price : ¥1,155
release : 2006/02

気楽に空いた時間に読める本

町田藍が活躍する「小手」バス会社「すずめバス」の<幽霊ツアー>シリーズの三冊目。
ホラーと言うでもなく、ミステリーと言うのもちょっとぴんと来ない。でも、間違いなく楽しめるエンターテイメント作品である。会話主体の短編五編からなるが、どの作品も面白い。
・忠犬ハチ公と「ナナ」に置き換えての「忠犬ナナの伝説」。
・別れ話から人の死んだ「終着駅」での物語「哀しみの終着駅」。
・平凡なサラリーマンが丸の内のビルで行方不明になった「凡人の恨み」。
・大統領を迎えての晴れ舞台での失敗に自殺した警察署長の話「地獄へご案内」。
・昔の栄光にすがる元タレント議員を扱った「元・偉人の生涯」。
どの一編を取っても、ユーモアの中に悲哀を感じさせてくれ、それでいて人間の温かさを感じさせてくれる本当に楽しい短編集である。それと、何よりも気楽に、時間をかけずに読みきれる。まさにエンターテイメントである。
ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)
ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)
光文社
price : ¥620
release : 2005/06/14

もう一つの完全犯罪は?

 これは、「誘拐もの」と言うより、人質と犯人がグルになっているから「狂言誘拐もの」の一種と言うべきだろうが、その範囲ではすごく面白い小説。読み始めたら、途中ではやめられない。
 完全に犯人側の視点だけで描かれ、警察が動いているかどうかもわからない。そんな状況で、敏腕広告プランナーでもある犯人の佐久間は、警察の動きを予想し、先手を打って完璧な計画を立てて実行していく。
 いわば、佐久間の頭の中の警察と、佐久間自身の知恵比べとでも言える展開になっているのが、斬新な設定と言えるし、ページをめくる手が止まらない理由でもある。もちろん、相手は人質の父親でもあるけれど。
 作者の東野圭吾は、善人が出てこない物語を作りたかった、と言っているそうだが、そういう悪人だけの犯罪小説として成功していると思う。

 また、人質の「樹理」が魅力的。彼女も一種の悪女だけれど、小悪魔という感じで、その言動にはドキドキする。彼女が人質でなければ、この作品は娯楽作として成功しなかっただろう。

 しかし、「完全犯罪」の誘拐事件の裏側で、同時進行していた、「もう一つの完全犯罪」が結局どうなったのか、決着がついていない点は納得いかない。善人がいない小説が狙いなのだから、犯人が逮捕されるとかいう、「社会的な決着」は必要ないだろうけど、物語としての、何らかの決着はつけてほしかった。
幽霊探偵の五セント硬貨 ミステリ書店 2 (ランダムハウス講談社文庫)
幽霊探偵の五セント硬貨 ミステリ書店 2 (ランダムハウス講談社文庫)
ランダムハウス講談社
price : ¥861
release : 2006/12/02

書店店主のシングルマザーとその書店に憑いている探偵の幽霊の活躍

このシリーズは愉快です。今回も朗読会に読んだ著者が殺されてしまうお話です。そして書店の仲間たちと犯人探しを進めて行くと、意外な過去とつながりがあったのです。登場人物も多いのですが、プロットがすっきりしていて、謎の解明も緊迫感を保ったまま読みやすいです。幽霊さんとの「肉体関係?」に驚き、前作に比べて、息子の役割が減ったりしましたが、今後も楽しみですね。ページ数も手頃。
良くあることですが、翻訳の書名が内容を表していないです。
放課後 (講談社文庫)
放課後 (講談社文庫)
講談社
price : ¥600
release : 1988/07

動機が不順かな

本作品は、東野氏のデビュー作です。既存の作品と同様な質の高さなので、知らなかったら、デビュー作品とは思わないでしょうね。

はじめに思ったのは、2人の先生を殺す動機というものが、わからないというより共感できないなあという感じがしました。そんなことぐらいで殺人をするものなのかという感じがしました。殺人の敷居が低いなあという感じがしますね。

最後の主人公に対するどん連返しは、そこまでやる必要があるのかなという感じがしました。普通に暮らしていた主人公に対して、そこまでやる必要はないと思う。残酷だなという印象しかない。

影絵の騎士
影絵の騎士
集英社
price : ¥1,890
release : 2007/06

世界は変化するけど、探偵は探偵である物語

恋人を失い傷心の探偵へ、有名女優の夫からの警護の依頼が。
有名女優の住む島へ渡るが、そこには、独自の警察や対立するマフィア勢力が。
その中で、有名女優の絡む事件の真相を追究する主人公に、次々襲い掛かる影。
主人公は生き残れるのか、そして事件の真相と黒幕は?

起伏に富んだストーリーで、ボリュームもありますが、楽しく読めました。
感傷に浸っていた主人公が、ジョジョに「生き残るためのリアリスト」として、変貌していくところも読みどころです。

未来社会の様子、コンテンツ系ビジネスの攻防、その歴史など、興味深く読めます。昨今の経済状況を考えれば、「さもありなん」という未来を見せてくれます。

島にわたるまでにも、一山あり、読み応え満点でした。
黄昏の岸 暁の天(そら)〈上〉―十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート
黄昏の岸 暁の天(そら)〈上〉―十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート
講談社
price : ¥557
release : 2001/05

疑心暗鬼。

謀反?によって驍宗は生死がわからない行方不明になり泰麒は鳴蝕をおこし10年間育った日本へと戻る、、慶国が傾き天に背く大罪を犯そうとも李斎は戴国を救おうとするー。

正直、読めば読むほど読み手さえも登場人物を疑い自分でも訳がわからなくなってしまう、戴の状況と変わらないほど混乱しました。李斎が慶国に辿り着いたといいながらもほとんどは彼女の何が起こったかという過去の回想で泰麒は日本に「逃げて」いて消息はつかめず(汕子も暴走し、、)、驍宗はどうなったのかもわからないこれまでの物語と違い解決の糸口すら見えてこない慶国は戴国を援助し傾くのかと不安になってしまうそんな感じの内容なので読む人には何やら暗い気持ちにさせる内容です。

麒麟を自覚し一生懸命に麒麟としていようとする泰麒にそろそろイライラしています。ロウサンのいう通り、あれだけの妖魔を使令に下せるのならもうちょっと何とか自分でして欲しいと、、。いつも「自分じゃ何もできないから、、」とか言って大人に構ってもらうようではいつまでも変われないし泰麒もそれに甘んじているようでは自分を甘やかしているだけだと思います。何とかここで頑張って欲しいのですが。

何となく真実は自分なりに推理してみてはいるのですがはたして下巻では当たっているのかどうか、、、。
幽霊相続人
幽霊相続人
文藝春秋
price : ¥890
release : 2007/07

夕子の推理が冴え渡る

数ある赤川次郎のシリーズ作品の中で、最も古いシリーズで第19作目です。
初回の「幽霊列車」からするともう約30年になりますが、一向に年を取らない夕子はまだ以前大学生で、宇野警部との関係も全く進展がありません。
今回は、6編の短編集ですが、どの作品でも夕子の推理が冴えます。しかし、如何せん状況証拠しかありません。そこで、夕子が仕掛けます。
実際の場面ではこんな捜査は許されないでしょうが、こうした本だからOKでしょう。
相変わらずの楽しい作品群でした。
クリスマス・プレゼント (文春文庫)
クリスマス・プレゼント (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥950
release : 2005/12

完成度の高い短編集に満足!

 全16編からなる短編集。「このミステリーがすごい! 2007年版」で2位になったというだけあって、なるほど、どれも意趣をこらした読みごたえのある短編となっている。あえてベスト3を選ぶと。
『身代わり』。夫殺しの計画。その顛末は…。
『見解』。現金輸送車強盗事件発生。目撃証言者と保安官助手の関係、結末はいかに?
『釣り日和』。息抜きに休日、娘へのプレゼントを約束し、湖に釣りに出かける男。衝撃のラストが!

極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)
極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥700
release : 1998/12

スカッとさせてもらいましょう

本書が、ボブ・リー・スワガーが登場する4部作の初編だとは知らず読み始めました。
上巻のみの感想は、終盤までほぼ男のみのストーリー展開で一本調子な印象を受け、
正直、読み進めるのに苦労しました。

FBI捜査官のニック・メンフィスとスワガーがライフル射撃では共通しつつも、
対照的な結果がその後の人生を規定させている状況下での両者の遭遇は、下巻へ向けての
物語の飛躍を予感させます。

終盤、スワガーの戦友の未亡人と対面し、主人公自身を語らせることにより登場人物と物語
に幅や余裕が生まれ、それまでの謀略・暗殺・追跡・逃走に耐えて読み進めていた甲斐があ
りました。
下巻を読みたくなるラストです。謀略に対して、復讐あるのみです。スカッとさせてもらいましょう。

下巻の山場は法廷場面ですが、「常に準備せよ」のクライマックスです。

作品とは関係ありませんが、カバーのイラストは安直すぎませんか。


地獄のババぬき (宝島社文庫)
地獄のババぬき (宝島社文庫)
宝島社
price : ¥830
release : 2006/11/10

突拍子もないけれどサイコーに面白い!!

“これでもか!”という程の、あり得ない設定の連続です。
でも、妙にリアリティーを感じてしまいます。
それは、バカミスでも一人一人の登場人物が生き生きと描かれているからだと思います。
話の完成度は高いです。
ガダラの豚〈1〉 (集英社文庫)
ガダラの豚〈1〉 (集英社文庫)
集英社
price : ¥510
release : 1996/05

賢人会議

最高。久々にすごく面白い本を読んだなーという印象。
残りページを「あとこれだけしかない…」と悲しく思いながら読みました。
膨大な知識と綿密な調査に裏打ちされた、 文体とか人の口調に依存しない小説。
私はハードカバーで読みましたが、本の色といい厚みといい高級ステーキそのもの。
だからこそ最後のあたりの失速が悲しい!
個人的にはもっとはっちゃけても良かったです。
ただ本を通して恐怖や焦りが伝わってきたのはとても久々で、
ぞわぞわした不安、背後に誰か居るのでは!という気持ちを味わいました。
呪術とか世界史とか人の深層心理とか超常現象好きな人にちょうおすすめ。

バキリ・キロンゾと大生部陣営の戦い、
キジーツ説明は本当にドキドキできます。
けれどバキリは人づての恐ろしさのみの段階の方が、恐怖が上でした。
どろどろぐちゃぐちゃの人体より後ろに誰かが居るような気配の方が怖い、
というような…そうじゃない人も居るだろうけど。
おすすめなのは変わりません。読むべき作品。

私的に教授が年の取り方を愚痴るあたりが好きです。
六十の人間一人になるかわりに?の考え方は面白い。
配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)
配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)
東京創元社
price : ¥1,575
release : 2006/05/20

本屋さんが好きな人には・・・

たまらなく楽しい本だと思う。それぞれの短編の中のミステリーそのものも面白いけれど、それ以上に、本屋さんの日常の仕事が丁寧に描かれているのが嬉しい。本屋さんが大好きでいつか本屋さんで働くことができたら、とあこがれている者にとってその仕事の一部なりとも垣間見られるようで、読んでいるあいだ中、とても興味深かった。
 それぞれの短編もとても魅力的。とくに、「標野にて、君が袖振る」が素敵。「六冊目のメッセージ」も。ときめきと優しさと愛しさがあふれている。
 本が好きで本屋さんが好きで本屋さんを何軒でもはしごして一日中でも本屋さんにいたいと思うわたしにとって、本当に嬉しい一冊でした。
文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)
文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)
講談社
price : ¥1,260
release : 2006/09/16

シリーズ中最も

シリーズ中最も早くにトリック(?)がわかってしまいました。そこに行き着くまでのプロセスが楽しめるので問題ないのですが。
殆ど事件とは関係ないかの大作家と関口の邂逅シーンがよかった。
★3つにしましたがこれは京極堂シリーズでの相対評価です。
御手洗潔の挨拶 (講談社文庫)
御手洗潔の挨拶 (講談社文庫)
講談社
price : ¥600
release : 1991/07

とにかく好きです

島田先生の本に出会ったのは、「占星術殺人事件」が初めて。その後先生の長編もたくさん読みましたが、今でも一番好きな作品はこの本に収録されている「数字錠」かなあ。私よりも二回りくらい前の時代に生まれたはずの御手洗さんには、今の豊かさにはないちょっと昔の多くの人々が経験したつらさをもっと知っているはずで、そんな経験か知識があるからこそ、この作品ができたんだと思います。そして、何よりも御手洗さん(というか、島田先生)の優しさに、読み終えた後、しばらく涙が止まりませんでした。何度読み返しても感動します。
日暮らし 上
日暮らし 上
講談社
price : ¥1,680
release : 2004/12/22

弓乃助が大活躍!

傑作「ぼんくら」の続編。ぼんくらを読んでからの方が
数倍楽しめます。
短編4作の後に本編「日暮らし」が構成されてますが、
短編のお話が本編の事件にちゃんと結びついており、
ひとつの長編としても読むことができます。

あの弓之助が「ぼんくら」以上にさらに活躍します。
ところどころで弓之助が呟く言葉が人生の教訓めいていて、
色々と気づかされることも多いです。

登場人物ひとりひとりの個性がちゃんと描かれており
感情移入しやすいです。

おでこの登場がちょっと少ないのが残念。
レイクサイド (文春文庫)
レイクサイド (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥520
release : 2006/02

主観的ではあるが非常に納得できるラスト。

表紙がきれいだったから購入してしまった。いわゆる「ジャケ買い」なのだが、期待は裏切らなかった。
親子4組できた中学受験合宿の夜、事件は起こる。主人公の愛人を妻が殺してしまう。しかし、子供たちの中学受験を控えた今、事件を公にするわけにはいかない。親たちはみんなで協力し、事件を隠蔽しようとする。
純粋にストーリーが面白い。ただただ夢中で読める。ただあらすじをたどっている前半も、ドキドキしてしまった。このあたりは著者の文章力であろう。さすがである。
しかし、そのままストーリーが展開されるわけがない。物語終盤では、大前提がひっくり返され、読みながらなんとなくわかっていたものも、さらに大きな真実をぶつけてくる。
ただ、東野作品にしては、少し淡白かなといった印象。ただ、この事件のみに焦点を当てているだけあって、ラストは強引さもなくスッキリしている。驚きよりも納得して迎えられるラストであった。
途中で「大前提がひっくり返される」と書いたが、意味がわからない人が多数と思う。そういう人はぜひ読んでみていただきたい。ミステリー小説入門として薦めたい一冊である。
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