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DATE: CATEGORY:・評論・文学研究
ハリー・ポッターと賢者の石 (1)
ハリー・ポッターと賢者の石 (1)
静山社
price : ¥1,995
release : 1999-12

【商品詳細】

もしも人生最初の10年間を、自分をひどく嫌う一家の階段の下で寝泊まりするとしたら? そこを途方もない、「魔術的な」運命のいたずらで、いきなり魔法使いや、カゴに入ったシロフクロウや、不死鳥の羽根の入った杖や、イチゴ味、カレー味、草味、イワシ味…などなどのゼリービーンズに取り囲まれたとしたら? いや、そればかりか、なんと自分まで魔法使いだとわかったとしたら! これらはまさに、J.K.ローリングの魅力的で笑いにあふれるデビュー作、『Harry Potter and the Sorcerer's Stone』(邦題『ハリー・ポッターと賢者の石』)の主人公、幼いハリー・ポッターの身に起こったことなのだ。魔法とは無縁の人間(「マグル」)の世界では、ハリーは何者でもなく、おじやおばから邪魔者扱いされているばかり。おじとおばはハリーの両親が邪悪な魔法使い、ヴォルデモートに殺されたあと、いやいやハリーを引き取ったのだ。ところが魔法使いの世界では、小柄でやせっぽちのハリーは、ヴォルデモートに殺されそうになりながらも生き残った子どもとしてきわめて名の通った存在。死を免れたハリーには稲妻形の額の傷と、驚くほど研ぎ澄まされた感覚だけが残ったのだった。それに、あふれるほどの不思議な力が、自分はおばやおじや、わがままでブタそっくりのいとこのダドリーとはまったく…何から何まで違うんだと気づかせてくれるのだった。 気さくな巨人、ハグリッドが届けてくれた不思議な手紙がもとで、マグルに虐げられていた、惨めなハリーの生活は一変する。「貴殿にホグワーツ魔法魔術学校の入学許可が下りたことをお知らせできるのは誠にうれしいかぎりです」。当然、バーノンおじさんはめちゃめちゃ不機嫌になってわめき出す。「気の狂ったまぬけじじいがこいつに魔法なんぞを教えるのに、わしは金なんか出すつもりはないぞ!!」ところが、あっという間にハリーはフクロウのヘドウィグとともにホグワーツ校に到着している。この学校で、本当の冒険── 愉快で不気味でスリル満点の冒険── が始まるのだ。 『Harry Potter and the Sorcerer's Stone』は当初イギリスで『Harry Potter and the Philosopher's Stone』として出版され、その後イギリスの主な賞を獲得し続けている。これまでに英国文学賞、スマーティーズ賞、児童文学賞を受賞、カーネギー賞やニューベリー賞英国版の候補にもなった。この不思議な魔力で心を引きつける本は、将来も古典となって読み続けられることだろう。本書を読んだ子どもたちは、『Harry Potter and the Chamber of Secrets』(邦題『ハリー・ポッターと秘密の部屋』)や『Harry Potter and the Prisoner of Azkaban』(邦題『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』)も夢中で読みたがるはずだ。

「ブーンと吠える犬」は本当でした――。

 このシリーズを原書で読んでいた大人のファンです。原書が完結した機会にと翻訳版も読んでみましたが、つじつまの合わない箇所(誤訳)やおかしな日本語が多数みつかりショックを受けています。
 読む前にネットの掲示板で、misty eyes(=ぼんやりした目、潤んだ瞳)が 『霧のような瞳』、booming barks(=とどろく吠え声)が 『ブーンとうなるような吠え声』になっているという情報を目にしたときは、冗談に違いないと思いましたが、本当だったのでびっくりしました。『霧のような瞳』とはどんな瞳でしょうか? 犬がブーンと吠えるでしょうか? たいへん非常識な訳です。
 第1章の最後、原書に「people meeting in secret all over the country=国中のいたるところで密かに集まった人々(魔法使い達を表わす)が?」と書かれている箇所がありますが、翻訳はここを 『国中の人が、あちこちでこっそりとあつまり?』(ハードカバー版p30)としているので、これでは英国人全員が魔法使いのようです。
 部分によっては翻訳者の熱意や工夫も感じられるのですが、上記のような不手際が散見されるため、全体に見て子供が繰り返し読むのにふさわしい本になっているとはいえず、たいへん残念です。

 世界的なベストセラーとなったこの作品は、遊び心いっぱいのファンタジーです。ただ決して万人向けの心暖まる児童書というわけではありませんので、その点も注意が必要です。魔法の学校は様々な理不尽に満ちていますし、後の巻では残酷な場面も出てきます。(それが面白いところでもあるのですが)今から小さい子供に読ませることを考えている方は、訳に問題があることに加え、後半ダークなストーリー展開が待ち構えていることも知っておいた方がいいでしょう。(☆ひとつは日本語版への評価)
ちびくろ・さんぼ
ちびくろ・さんぼ
瑞雲舎
price : ¥1,050
release : 2005-04-15

【商品詳細】

1951年に『ライ麦畑でつかまえて』で登場してからというもの、ホールデン・コールフィールドは「反抗的な若者」の代名詞となってきた。ホールデン少年の物語は、彼が16歳のときにプレップ・スクールを放校された直後の生活を描き出したものだが、そのスラングに満ちた語り口は今日でも鋭い切れ味をもっており、ゆえにこの小説が今なお禁書リストに名を連ねることにもつながっている。物語は次の一節で語りだされる。 ――もし君が本当に僕の話を聞きたいんだったら、おそらく君が最初に知りたいのは、僕がどこで生まれただとか、しみったれた幼年時代がどんなものだったかとか、僕が生まれる前に両親はどんな仕事をしていたかなんていう「デビッド・カッパーフィルド」調のやつなんだろうけど、僕はそんなこと話す気になんてなれないんだな。第1、そんなの僕自身退屈なだけだし、第2に、もし僕が両親についてひどく私的なことでも話したとしたら、2人ともそれぞれ2回ずつくらい頭に血を上らせることになってしまうからね――。ホールデン少年は、教師をはじめとしてインチキなやつら(いうまでもなくこの両者は互いに相容れないものではない)と遭遇することになるのだが、こうした人物に向けられる風刺がきいた彼の言葉の数々は、10代の若者が誰しも味わう疎外感の本質をしっかりと捉えている。

なつかしい!

こどもの頃に大好きだった本。
トラがぐるぐる回ってバターになるシーンは、強烈に記憶に残っていて
表紙を見ただけで、ホットケーキが食べたくなるくらいこの本が大好きでした。
本屋さんで復刻版として積み上げられていたのを見て、
初めて絶版になっていたことを知りましたが、
これがどうして差別なのか??こどもの絵本なのに?と疑問でいっぱいです。
少なくとも、私にとっては、とても素敵なおいしそうな絵本、という存在だったので。
娘が、トラのバターのホットケーキが食べたい!と言っているのを聞いて
やっぱり?!?と、うれしく思います。
アミ 3度めの約束―愛はすべてをこえて (徳間文庫)
アミ 3度めの約束―愛はすべてをこえて (徳間文庫)
徳間書店
price : ¥720
release : 2005-09

真の愛をわかちあいたい人に

なかなかこういう話をわかってくれる人を探すのは大変かもしれません。
世の中の恋愛、もしくは結婚のほとんどがエゴや妥協の産物に見えてしまう方、
真の愛がなんたるかを知りたい方、「やっぱり自分は間違えていなかった」と
自分の愛のあり方に背中を押してもらいたい方におすすめです。
この本をちゃかさず、夢や理想論だと一笑に付さない、ということが、
わたしにとって、その人物に対するリトマス試験紙ような役目を果たしている
気がします。
スパイダーウィック家の謎〈5〉オーガーの宮殿へ
スパイダーウィック家の謎〈5〉オーガーの宮殿へ
文溪堂
price : ¥903
release : 2004-12

The Last Episode

Well, this is the last book of serices of Spiderwick Chronical. The last book was really good and many exitments. There are many new things and many adventure for the reader and for the character.

There are an last enemy which is really big and really strange enemies. Now, I won't say the creatures name because then, you can't have fun and exitments.

So have a nice reading time and solve the mystery.
黄金の羅針盤〈上〉?ライラの冒険
黄金の羅針盤〈上〉?ライラの冒険
新潮社
price : ¥620
release : 2003-10

ダイモンとかの発想がいい

映画の「ライラの冒険 黄金の羅針盤」を見た方が先でした。
映画は第1部とはいえ、正直中途半端な終わり方だなぁと思っていたんですが、
パンフレットに原作が英国で凄く評価されている、というような書き方をされていたので、
原作に興味を持って読みました。

小説を読んでみての感想ですが、私は小説の方がおもしろいです。

小説も、基本映画と一緒なんですが(まぁつまり映画が、小説と一緒なんですが)、
ライラが家族についてジプシャンから教わるところなど微妙だけど重要な点が、
序盤にさらっと書いてありました。

重要なことが、謎ではなく事実としてライラと読者に提示されていて、
それを理解した状態で話が進んでいくので、
話の展開が早くても充分に消化していくことができました。

きちんと説明されて先に進みたい方は小説を読んだ方がすっきりすると思います。

映画の黄金の羅針盤は、下巻の途中までの内容です。
原作の方がもう少し先まで、しかもすごく重要なストーリーのシーンまで含まれています。

下巻のラストは衝撃的でした。

そーかー、このシーンの前で切ったのか。

映画的には、下巻のラストまでやったほうが、ストーリーも盛り上がった上に、
次が気になって、興行的にも盛り上がったんじゃないかなぁ。

2部以降ボリュームが多くて映画の尺がたりるのかな。
銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)
銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)
河出書房新社
price : ¥683
release : 2005-09-03

問題なしの一冊

やばい、これは面白い。いえ、きちんとした筋だった物語のSFではないので、人を選ぶかもしれないけども、WikiPediaの項目でネタバレを読んでしまっていても、普通に面白かった。

そもそもきっかけは、映画版を見ようかと思って機会を逃した上で、べつのことで「42」という数字が、「人生、宇宙、すべての答え」だと言っている原典と知ったから。いや、いわくありげなだけで、「ふーん、そう。」と受け流すような"すべての答え"だけど、笑えます。

ちなみにどれくらいのパンチ力があるかというと、google の検索に、"人生、宇宙、すべての答え"と入れて検索を実行すると、電卓機能が驚きの答えを出します。ほら、バカっぽくて面白そうでしょ?
カラマーゾフの兄弟 上   新潮文庫 ト 1-9
カラマーゾフの兄弟 上 新潮文庫 ト 1-9
新潮社
price : ¥860
release : 1978-07

父親と兄弟の5角関係に始まり、宗教・哲学が彼らの運命を決定的にしていく

 上巻の多くは、父フョードルと、三人の兄弟の性格を描写しつつ、かれらに関わる女性たちとの間の5角関係(?)に筆が割かれており、「この調子で全巻続くのか?」と思っていると、最後の章、「プロとコントラ」で内容がきわめて宗教的思想的になるのに驚いた。
 三男のアリョーシャは、純粋に育てられた修道者であり、死期の近い老師は、彼に現実を見せるために敢えて彼を外へ出す。
 そこでアリョーシャは、きわめて世俗的な彼の父親と長男ドミトリィ、そして現実から独自の思想を作り上げたクールでニヒルなイワンを助けるとともに、アリョーシャ自身、自分の家族とのつながりが苦悩の元に成長の基点となっていく。
 上巻のハイライトは、生意気な召使のスメルジャコフに始まり、まずカテリーナとグルーシェニカのやりとり。カテリーナの部屋の描写が見事で、言葉遣いは丁寧なものの、相手の腹を読みながらのばかしあいは大人にしかわからない。
 次におもしろいのは、アリョーシャの貧乏二等大尉訪問。ここでの独自のロシアの言葉使いを非常にうまく訳している。注釈も簡潔に理解を助けている。
 そして、一番印象深いのが、「プロとコントラ」でのイワンの話だ。キリストが、人間を、より高尚な天のパンにむけて、より精神的に生きるように説いたのに比べて、ほとんどの人間はどうあがいても高尚には生きられないのだと断定する。そして彼ら何億という人間たちに幸福を与えるためには、服従させ地上のパンを与えることにしかならないと説く。
 本作品が作られてから200年近くたつ今、この話は予言じみている。資本主義というのは、そもそも地上のパンの取り合いによりなりたつ社会であり、民主主義といいながら、グローバリズムにより巨大企業が与えている自由。
 この話をしたあとイワンはアリョーシャの元を去っていく。中巻はどうなるのだろうか。
黄金の羅針盤〈下〉?ライラの冒険
黄金の羅針盤〈下〉?ライラの冒険
新潮社
price : ¥620
release : 2003-10

ダイモンとかの発想がいい

映画の「ライラの冒険 黄金の羅針盤」を見た方が先でした。
映画は第1部とはいえ、正直中途半端な終わり方だなぁと思っていたんですが、
パンフレットに原作が英国で凄く評価されている、というような書き方をされていたので、
原作に興味を持って読みました。

小説を読んでみての感想ですが、私は小説の方がおもしろいです。

小説も、基本映画と一緒なんですが(まぁつまり映画が、小説と一緒なんですが)、
ライラが家族についてジプシャンから教わるところなど微妙だけど重要な点が、
序盤にさらっと書いてありました。

重要なことが、謎ではなく事実としてライラと読者に提示されていて、
それを理解した状態で話が進んでいくので、
話の展開が早くても充分に消化していくことができました。

きちんと説明されて先に進みたい方は小説を読んだ方がすっきりすると思います。

映画の黄金の羅針盤は、下巻の途中までの内容です。
原作の方がもう少し先まで、しかもすごく重要なストーリーのシーンまで含まれています。

下巻のラストは衝撃的でした。

そーかー、このシーンの前で切ったのか。

映画的には、下巻のラストまでやったほうが、ストーリーも盛り上がった上に、
次が気になって、興行的にも盛り上がったんじゃないかなぁ。

2部以降ボリュームが多くて映画の尺がたりるのかな。
キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)
キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)
白水社
price : ¥924
release : 2006-04

キャッチャーになるべくして

読まず嫌いをしてまして、有名だから読む気がしなかったんです。
村上春樹好きということもありまして、なんとなく手にしてみました。
最初はこの口語体が永遠とつづくのではないかと不安を抱きながら(しかし最後までこのままなのですが)読み始めてました。まさに、口に入れた瞬間に良薬の如し、苦いのなんの。
その上、青春感としてあまりに突出している否定の積み重ね。単調単調。ずっと何一つ
何ページにもわたり、ただ単調に否定をつづけるコールフォールド君に
あきあきすることもしばしばでした。読み続けても救われないかも知れない不安感
それは時として、コールフィールドが感じているそれそのもののような気がする
そう感じ始めると、同じような時期から、コールフィールドの感覚は少しずつ鋭敏に
と同時に自分に対しても鋭敏に感じ始めるのです。
そして、フィービーとの再会とアントリーニ先生との再開で(僕は特にアントリーニ先生との会話が好きだったりするのですが)コールフィールドを通り越して
サリンジャーとの会話が始まるのです。
そして、結末を静かに静かにサリンジャーが見せてくれる

読みやすくはないですが、こと共感ができるのならば、なるべくして早くにこの本と
出会うべきなのだと思いました。なるべく早くに。

冷血 (新潮文庫)
冷血 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥940
release : 2006-06

綿密な取材と、多層的に編み上げられたドラマに圧倒される

1959年11月15日深更、カンザスの片田舎で起きた一家四人惨殺事件。事件発生以前から犯人の絞首刑までを綿密に再現したノンフィクション・ノヴェルである。
1965年に発表された作品だが、カポーティは本書の執筆に先立ち、3年を費やしてノート6000ページに及ぶ資料を収集し、さらに3年近くをかけてそれを整理したといわれている。

この作品の価値は、著者の主観を一切排除して、事件を、事件前夜から、犯人二人組が絞首台を上り詰めるまで詳細に、そして多角的に再現し、あくまで客観的にひとつの物語として編み上げた点にあると思う。実際、物語は加害者、被害者、捜査官はもちろんのこと、関係する家族など周辺の人々の会話や証言、手紙など三人称多視点で成り立っている。その多層に織り込まれたドラマは、それだけでも、読むものを圧倒する。

私はセンセーショナルな犯罪もののドキュメンタリーを予想していたが、そこにあったのは、繰り返し描かれる“家族の絆”のようなものであった。
そのあたりが本書を、40年近くたった今でも圧倒的な迫力を携えながら、読む者の心の奥底に迫ってくる名著にしているのだろう。

ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
集英社
price : ¥720
release : 2004-05

【商品詳細】

1951年に『ライ麦畑でつかまえて』で登場してからというもの、ホールデン・コールフィールドは「反抗的な若者」の代名詞となってきた。ホールデン少年の物語は、彼が16歳のときにプレップ・スクールを放校された直後の生活を描き出したものだが、そのスラングに満ちた語り口は今日でも鋭い切れ味をもっており、ゆえにこの小説が今なお禁書リストに名を連ねることにもつながっている。物語は次の一節で語りだされる。 ――もし君が本当に僕の話を聞きたいんだったら、おそらく君が最初に知りたいのは、僕がどこで生まれただとか、しみったれた幼年時代がどんなものだったかとか、僕が生まれる前に両親はどんな仕事をしていたかなんていう「デビッド・カッパーフィルド」調のやつなんだろうけど、僕はそんなこと話す気になんてなれないんだな。第1、そんなの僕自身退屈なだけだし、第2に、もし僕が両親についてひどく私的なことでも話したとしたら、2人ともそれぞれ2回ずつくらい頭に血を上らせることになってしまうからね――。ホールデン少年は、教師をはじめとしてインチキなやつら(いうまでもなくこの両者は互いに相容れないものではない)と遭遇することになるのだが、こうした人物に向けられる風刺がきいた彼の言葉の数々は、10代の若者が誰しも味わう疎外感の本質をしっかりと捉えている。

読みやすさ抜群、だがもう一歩奥を!

鴎外の名訳があるというので、高校生時代にファウストに初挑戦したが、なにが面白いのかわからなかった。先生に話すと、受験とは関係ないなと言われた。大学生時代だったかに相良訳のファウストが岩波文庫で出たというので読んだ。内容を掘り下げるのに苦労した。自分でも読み方が不十分と思ったし、ゲーテに対する一般的評価とは違いすぎるなと思った。その後、中央公論から手塚訳(手塚富雄訳のことで、池内訳2巻の末尾に出ている手塚治虫の漫画とは別物)が出た。これは面白かった。たしかにファウストは(そういわれるからかもしれないが)、特に第2部が奥が深いなと思った。そして、別の契機から「新訳」というのに興味がわいて、池内訳を読んだ。今までのものとの違いに驚いた。わかりやすさは格段上だ。ただし、この訳を最初に読んだとすると、ゲーテの深みが出ない感じもする。一語一語を理解するのに考えながら読んだ過去のファウストに比較すると、池内訳は「斜め読み」さえ可能である。これは、過去とは違って、時間にゆとりも出来て、ゲーテの「イタリア紀行」を携えながらナポリからパレルモへ船で渡ったり、ヴェネチアを楽しんだり、ギリシャ神話の母国やトロイ遺跡へ行ったりした後で読んだから、よけいにわかりやすかったのかもしれない。ちなみに、シチリア島のパレルモを歩くと、ゲーテの時代を感じることが出来るから面白いものだ。この池内訳は、活字離れの進む今の若者にはいいだろう。ファウストの粗筋を知って、手塚訳か相良訳に挑戦してもらうとよけいにいいと思う。特に、全てを「金銭」で判断したり、片づけようとしている今の日本の社会を見ると、多くの人(若者も高級官僚も政治家も)にファウストを読んで、考えて欲しい(特に第2部)。なお、池内訳では解説が素晴らしい。挿絵は断然、文庫ではない手塚訳のものだ。★4の理由は、新しさ(読みやすさ)と豊富な内容の解説への高い評価に、これだけではゲーテを理解するには不十分であることと挿絵のまずさのマイナス点を加えたものである。
エンプティー・チェア〈上〉 (文春文庫)
エンプティー・チェア〈上〉 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥750
release : 2006-11

どんな猟奇殺人なんかよりも恐い事件

いやいやいや、とてもおもしろかったです。最後のページをめくるまで。こんなに最後の1ページをめくるまで(最後になるほどよりいっそう強く)楽しませてくれる本にはなかなか出会えない。毎回ラスト100ページあたりからぐわーっと盛り上がるもんだから、最初のほうがちょっと退屈に感じてしまうくらい。でも読み終えれば、その退屈に感じる前半部分にこれでもかと伏線がてんこもりなんだよなぁ…ボーンコレクターを手にしてから、このライムシリーズを次々に読んでます。猟奇殺人を扱うばかりでなく、毎回毛色の違う事件と背景で楽しませてもらえる。今回は自分には全くなじみのないアメリカ南部の湿地が主な舞台ともなり、想像するのも難しいんだけど勝手に映画「ニューワールド(コリン・ファレル主演)」なんかの開拓時代のイメージ?とにかく、圧倒的な自然って都会育ちには脅威です。そして排他的な田舎も。その小さな街を覆い尽くす影。どんな猟奇殺人なんかよりも恐い事件かも、なんて最後はかなりぞっとした。こういうの実際にあるんだろうなって映画「エリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ主演)」なんかを思い出したりもして。それでいてさわやかな読後感。うーん、お腹いっぱい。いったい次はどんな事件で楽しませてくれるのか…今作が最高傑作と呼ぶ声もあるのがちと心配ですが。笑
星の王子さま (新潮文庫)
星の王子さま (新潮文庫)
新潮社
price : ¥500
release : 2006-03

みずみずしい感性で

恥ずかしながら、この作品を今まで読んだことがありませんでした。
タイトルも作者も知っているけれど
どんなお話なのかすら知らなかったのです。
この作品はみずみずしい感性を持っているうちに読んでおいた方がいいと思います。
そうすれば、どんなに大人になっても寄り添っていける作品なんだろうなーって。
私は読むのが遅すぎたな。
そのせいか、あまり印象に残らないんです。
そんな自分の感性がとても残念です。
カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)
カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥820
release : 1978-07

苦悩の後光明をみいだすアリョーシャと、どろぬまにはまっていくドミトリー

 中巻は、おおきくわけて二部ある。一つは、ゾンマ長老の死にあたって苦悩するアリョーシャ、そして二つ目は、ドミトリーの破局(完全にそうなのかは下巻を読まないとわからないが)である。
 ゾンマ長老の死については、死んだ後でも聖なる人は決して死臭がただようばかりか、かぐわしい香りがすると信じられていたことに、まずカルチャーショックを覚える。で、実際、当然のことながら死臭がするのだけれど、それによって、長老制度に反対する物や、生前ゾンマ長老をよく思わなかった人たちは、生前の長老の行いについてやれこれと中傷はすれど、科学的な意見はでてこないところをみると、その時代のキリスト教の浸透がいかに磐石であったかをものがたる。なによりアリョーシャはそれにひどくショックを受けるが、彼なりに最後に悟りに似たように目が開ける。自分的には、彼は、きっと教会内部の権威やしきたりに縛られるのではなくて、社会の人に尽くすことが大事であると悟ったのではないかと思えた。ここででてくる寓話が、芥川龍之介の「くもの糸」とそっくりなのに気がついた。ロシアではくもの糸の変わりに「葱」であるところが面白い。
 つぎにドミトリーであるが、この人は、今の時代的に言うと「不器用な人間」というのだろうか、社会に生きる術を身に着けることに何の価値も見出さず、自分が「高潔」だと信じる生き方を自分なりに解釈して猪突猛進に突き進むタイプであり、親父のヒョードルよりもさらにたちが悪い。彼に親殺しの嫌疑がかけられたときの「予審」の章はおもしろい。ドミトリーがなにか発言すればするほどどんどん墓穴にはまっていく。ただ、読者は、彼が犯人でないことはほぼわかっているので、いったい誰が真犯人なのだろうかと考える推理小説じみた色合いもでてくる。
エンプティー・チェア〈下〉 (文春文庫)
エンプティー・チェア〈下〉 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥750
release : 2006-11

リンカーン・ライムとアメリア・サックスの師弟対決

2002年度版このミス10 11位。
2001年文春ミステリーベスト10 3位。

<リンカーン・ライム>シリーズの第3作の本作品の見所は、リンカーン・ライムとアメリア・サックスの師弟対決だろう。連続女子学生誘拐犯の容疑者の少年に純粋な心を見いだし、少年を逃がすアメリアと、リンカーンとの追跡劇は、なかなか面白かった。
もちろん、作者の特徴である「どんでん返し」と「科学捜査」の面白さも随所にちりばめられた好作品である。
また、他のシリーズ作品と比較して、アメリアの内面にフォーカスがあたっている部分が多い印象を受けた。

他の<リンカーン・ライム>シリーズは、「ボーン・コレクター」「コフィン・ダンサー」「石の猿」「魔術師」「12番目のカード」。シリーズ次回作は「The Cold Moon」。

ボーン・コレクター〈上〉 (文春文庫)
ボーン・コレクター〈上〉 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥700
release : 2003-05

「ロカールの原則」を作者と読者にも適用して欲しかった

ライム・シリーズの初作で作者の代表作と言われている。真夏のニューヨークで起こる猟奇連続殺人事件と言うありふれた設定。これを補うかのように、主人公の天才犯罪学者ライムを自殺志願の四肢麻痺患者と言う設定にし、フトした事から彼の手足となるのはトビキリの美人捜査官アメリアと言うあざとさ。殊に上巻では、肝心の物語のテンポが悪い。もっと犯人との心理戦を中心とする事件そのものを書き込むべきだったろう。ライムの自我や天才性を強調して描こうとする余り、焦点がボケて展開が緊迫感に欠ける。上巻でライムに反発しているアメリアが後半、心を開くであろう事も容易に予測できる。FBIと市警の確執も型通りだが、型破りのFBI捜査官デルレイの造詣は中々のもの。

アメリアの突然の心変り辺りから物語はようやくテンポ・アップする。アメリアを捜査の最前線に立たせれば緊迫感が増すのは自明なのに。世界貿易センター・ビルが登場するのは怖ろしい偶然。ライムの回想や過去の類似事件の断片が示され、ようやく犯人像が見えてくる。アメリアを窮地へ追いやるのは常道だが、結末は見え透いているだろう。ドンデン返しの名手にしては着地点が凡庸。

作者の衒学趣味に付き合わされて長い物語を読まされた割には得るものは少なかった。「ロカールの原則」を作者と読者にも適用して欲しかったと思う。
あの空をおぼえてる
あの空をおぼえてる
ポプラ社
price : ¥1,365
release : 2003-02

英語の勉強にもぴったり

《あの空をおぼえてる》
英語の原書で読んでみたい、作者が書いたそのままを読んでみたい、と取り寄せてみて、正直驚きました。何を驚いたかというと、英語がペラペラでなくても読んで理解できる!
学生時代に《鏡の国のアリス》《ピーナッツ(注*スヌーピー》《ドクタードリトル》等の親しみのある物語の原書を、辞書をひきながら読んでみた経験がある人なら、和書を頭に入れた上で読むから、面白い!
ただ、翻訳しておられる方より上手に文章に出来るか!?というと、まず無理。話ひ言葉のレパートリーは確実に増えますが・・・
神曲〈2〉煉獄篇 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
神曲〈2〉煉獄篇 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
集英社
price : ¥1,000
release : 2003-01

謙遜とは何か

 地獄とは打って変わって、煉獄の旅の幕開きはのどかである。山裾では窪地に花が咲き、生前、敵対した者同士が共に息子の不肖を嘆き、歌を唱和する光景も見られる。

 が、ペテロの門に至るや状況は一転、浄罪の行が始まる。まずは高慢の罪。生前、人を凌ぐことに執心した画家が、重荷を負いながら名声の虚しさを語る。ダンテ自身、学問と教養を誇って庶民の心に入らなかったことで身に覚えがあるようだ。浄罪の行はこれを始めとして7段階あるが、そのすべてを他人事で済ませられる読者は少ないだろう。畏怖の念にかられ、姿勢を正され、謙遜について深く考えさせられる。

 山頂に着き、これまで絶大な信頼感を抱いてきたウェルギリウスが、含蓄のある言葉を贈ってまもなく、姿を消したことに気付いた時には、ダンテならずともじわっとくるだろう。そこで、間髪おかずベアトリーチェに一喝され、過去数年の怠惰を弾劾されるのは、師との別れの辛さを忘れるにも丁度よい。

 聖書やダンテ以前の西洋古典に親しんでいれば、『神曲』になじみやすいことは言うまでもない。が、そうでなくても、本文と脚註を結び付けつつ展開を把握するには強い集中を要するため、雑念が掃われさっぱりする。つまり、読者にとっての導師、寿岳文章の註さえ丁寧に読めば、キリスト者でなくても本書は味わえる。

キャッチャー・イン・ザ・ライ
キャッチャー・イン・ザ・ライ
白水社
price : ¥1,680
release : 2003-04-11

キャッチャーになるべくして

読まず嫌いをしてまして、有名だから読む気がしなかったんです。
村上春樹好きということもありまして、なんとなく手にしてみました。
最初はこの口語体が永遠とつづくのではないかと不安を抱きながら(しかし最後までこのままなのですが)読み始めてました。まさに、口に入れた瞬間に良薬の如し、苦いのなんの。
その上、青春感としてあまりに突出している否定の積み重ね。単調単調。ずっと何一つ
何ページにもわたり、ただ単調に否定をつづけるコールフォールド君に
あきあきすることもしばしばでした。読み続けても救われないかも知れない不安感
それは時として、コールフィールドが感じているそれそのもののような気がする
そう感じ始めると、同じような時期から、コールフィールドの感覚は少しずつ鋭敏に
と同時に自分に対しても鋭敏に感じ始めるのです。
そして、フィービーとの再会とアントリーニ先生との再開で(僕は特にアントリーニ先生との会話が好きだったりするのですが)コールフィールドを通り越して
サリンジャーとの会話が始まるのです。
そして、結末を静かに静かにサリンジャーが見せてくれる

読みやすくはないですが、こと共感ができるのならば、なるべくして早くにこの本と
出会うべきなのだと思いました。なるべく早くに。

神曲〈3〉天国篇 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
神曲〈3〉天国篇 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
集英社
price : ¥1,000
release : 2003-01

最終的な本です

あらゆるスピリチュアルな本をよみ瞑想や祈りを続け、それでも愛ってなに?神って何?とまだ自分が2つに分かれていたときに読み、ようやく自分がひとつになれた本でした。天国編は、私の場合ですが、涙がとまりませんでした。読みながら脳が天国の波動になりつつ意識を保つのが難しく、眠気との戦いの中感動して泣いてる状態です。内容は、あなたを造ったのは神です。あなたが愛してやまないベアトリーチェを造ったのも神です。そしてあなた方が出会ったのも神の計らいです。が極意かな。
モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
岩波書店
price : ¥1,785
release : 1976-09

【商品詳細】

冒険ファンタジー『はてしない物語』の著者であるミヒャエル・エンデが贈る、時間どろぼうと風変わりな女の子の物語である。文章のみならず、モノクロの挿絵までもエンデ自身が手がけた本書は、1974年にドイツ児童文学賞を受賞。小学5、6年生以上から大人まで幅広い年代の人たちが楽しめる、空想力に富んだ小説だ。 円形劇場の廃墟に住みついた、もじゃもじゃ頭で粗末な身なりをした不思議な少女モモ。黙って話を聞くだけで、人の心を溶かし悩みを解消させる能力を持った彼女のまわりには、いつもたくさんの大人や子どもたちが集まっていた。しかし「時間」を人間に倹約させることにより、世界中の余分な「時間」を独占しようとする「灰色の男たち」の出現により、町じゅうの人々はとりとめのないお喋りや、ゆとりのある生活を次第に失っていく。 本書は、時間どろぼうである「灰色の男たち」とモモの対決というスリルあふれる展開を通して、1分1秒と時間に追われる現代社会へ、警鐘を鳴らしている。たとえば、モモの友だちだったニノが「スピード料理」の店を始め、大繁盛しているせいで他人とわずかな世間話をする暇もないというように、時間を盗まれた人たちは、現代の私たちの姿そのものとして描かれている。昨今、モモのように際限のない時間の中で、空想をめぐらせ楽しむ生活はほとんど忘れられている。子どもばかりでなく、忙しい大人たちにも夢見ることの大切さを教えてくれる本だ。(砂塚洋美)

昔はよく夢をみていました。

大人になって、仕事を始めて、結婚をして、また働き始めて
最近買う本はといえば、株で1億円とかFXで稼ぐなどの類の本です。
そんな時、本の整理をしていたら
昔買った児童文学が出てきました。
大好きな本で何度も何度も読んだ本です。
文字もそんなに大きくなく、かなりのページ数ですが
あっという間に読みきっていたものです。
何か読みたい、久しぶりにそんな気持ちになって
検索していたところ「モモ」を見つけました。
時間泥棒という言葉がとても気になりました。
現代社会にそのままあてはまるような

日曜日だというのに仕事をしている
そんな忙しいビジネスマンも、この本を読む余裕があればね
でもそれはとても無駄な時間なんでしょうか?
愛蔵版にしたのは、内容は同じなんだから文庫本でいいんじゃない
という意見が多い中、無駄な豪華製本のものにしてみました。

昔はよく夢を見ていました。
それは決してお金持ちになりたいとかではなかったです。



ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)
ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥820
release : 1988-03

【商品詳細】

『Harry Potter and the Chamber of Secrets (Harry Potter (Audio))』を試聴する ※音声を再生できない場合は、ヘルプページをご参照ください。 Amazon.co.jp ハリー・ポッターのように一途で魅力あふれる若いヒーローに恋をして、それでも彼が恐るべき危険に足を踏み入れていくのをただじっと見つめていることしかできないとしたら…。考えただけでたまらない! しかし、いくつもの賞を受賞したJ.K.ローリングの『Harry Potter and the Sorcerer's Stone』(邦題『ハリー・ポッターと賢者の石』)の待望の続編、『Harry Potter and the Chamber of Secrets』(邦題『ハリー・ポッターと秘密の部屋』)では、ハリーはまさに恐るべき危険に身をおくことになる。新学期からホグワーツ魔法魔術学校の2年生になる彼は、何者かに妨害されて学校へ向かう汽車に乗り損ねてしまう。とはいえ憎々しいダーズリー一家とともに長い夏を過ごしたあとではこれくらい何でもないかにみえた。彼の本当の不運は、残された唯一の移動手段だった空飛ぶ魔法の車が、貴重な(とはいえ明らかに不機嫌な)「暴れ柳」に激突したときから始まる。だがこんなこともみな、これからホグワーツの、とりつかれた校舎で起こる事件に比べれば、公園で過ごす穏やかなひとときのようなものだ。 身を凍らすような邪悪な声が壁の中からハリーだけにささやきかける。どうやらクラスメートのドラコ・マルフォイがハリーの命を狙っているらしい。だが間もなく学校内で恐ろしい事件が次々に起こりはじめ、自分の命を案じなければならないのはハリーだけではなくなる。壁の、高さ30センチほどのところから、怪しげな光を放つ文字が告げている。「秘密の部屋の扉は開かれた。継承者の敵よ、気をつけよ」。だがこれはいったいどういう意味なのか? ハリー、ハーマイオニー、ロンの3人は50年前に端を発するこの恐ろしい謎を解き明かそうと、自分たちの魔法の力でできることは何でもする。ときには命をかけて…。 楽しくスリルあふれるこの作品は、想像力の豊かさ、人をひきつける力、ぞっとさせる力、どれをとっても1作目にまったく劣らない。作品の中では、どこの学校にもよくあるできごと、たとえばクラスメートと対抗意識を燃やしたり、片思いに頬を染めたり、物知り顔の先生にあきれたりといった日常茶飯事が、とっぴで、恐ろしく、現実離れしたできごとや、単純に笑えるできごとと渾然(こんぜん)一体となっている。今回もまたローリングは知性と奇抜な発想と背筋の凍るような筆致を総動員して作品を書き上げた。これを読んでしまったら、子どもも大人もみな、次の作品が待ち遠しくてたまらなくなるだろう。

キングはやっぱり巧い。

今更ですが、かの傑作「ショーシャンクの空に」の原作はやっぱ読んどかなきゃなーと思い手に取りました。
キングのストーリーテラーの巧みさは周知の事実ですが、それは単に"読ませる作家"というだけではなく、物語に応じて、その物語が求める最適な声で話す事ができるという事なんだと改めてその才能に頷かされました。
独自の文体を持つ事ばかりに気をとられてる最近の作家と違って、キングはあらゆる物語の引き出しを持っていてそれに応じた言葉を幾通りにも使い分ける。だからこそこの本でも「刑務所のリタヘイワース」で泣いた後に「ゴールデンボーイ」でゾクリとさせられる。巧いなぁーと思います。軽い気持ちで手にとったのに、ちゃんと物語に巻き込んでもらえました。
とはいえ、私のお気に入りはやっぱり映画びいきもあってリタヘイワース。映画は映像で魅せ、本は言葉で魅せる。
「―忘れちゃいけないよ、レッド。希望はいいものだ、多分何よりもいいものだ、そして、いいものはけっして死なない。」
本書を読んでこの台詞に泣けない人はいないはずです。
ボーン・コレクター〈下〉 (文春文庫)
ボーン・コレクター〈下〉 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥700
release : 2003-05

【商品詳細】

『Harry Potter and the Goblet of Fire』(邦題『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)でローリングは危険と歓喜を表裏一体に描きだしている。次々に登場するドラゴンや屋敷しもべ妖精たち、命をかけた挑戦の数々。いまや14歳となった孤児の主人公がマグルの親戚を離れてホグワーツ魔法魔術学校に戻れる日まで、残すところ2週間となっていた。そんなある晩、ハリーは不吉な夢を見て、稲妻形の傷が激しく痛みだす。彼は不安になり、人目を忍んで生きている自分の名づけ親、シリウス・ブラックに連絡を取る。幸い、今シーズン初のスポーツイベント、クィディッチ・ワールドカップを観戦できる喜びで、ハリーはヴォルデモード卿とその邪悪な手下、デス・イーターたちが殺しをたくらんでいることをしばらく忘れることができた。 さあ、巨大な透明マントを投げかけて、物語のもっと先をのぞいてみよう。すると見えてくるのはただ、「あの人」がハリーを狙って動き始めたこと、そして今年は、グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルバフ、スリザリンの間でクィディッチ・マッチが行われないということだけ。だがその代わりに、ホグワーツ校とほかの2つの魔術学校── おしゃれなボーバトンズ校と冷淡なダームストラング校── とで、3魔法使いトーナメントが開催されるという。各学校の代表に選ばれた者が3つの究極の試練に立ち向かうことになっている。はたしてハリーは幸運な挑戦者となることができるのか? しかしクィディッチ・ファンの読者もがっかりすることはない。今回はこの最高のゲームをワールドカップのシーンで楽しむことができる。マグルに変装した10万人の魔女や魔法使いが「じゅうぶんにさびれた荒野」に集合する。ローリングはいつもと変わらぬ魔法の手さばきで細部を描き、生き生きとしたコミカルな世界をつくりあげている。突拍子もないのはたとえば観客のテント。生きたクジャクをつないだ小宮殿もあれば、塔をいくつも備えた3階建てもある。売られているスポーツグッズもすごい。「選手の名をキーキー叫ぶバラ飾り」や「本当に飛ぶファイヤーボルト(高価な最速のほうき)の小型モデル」、「得意げに手のひらの上を歩き回る、集めて楽しい有名選手の人形」などなど。 もちろん、両チームもそれぞれに強烈な個性がある。たとえば各チームのマスコット。ブルガリアチームのマスコットは、だれもかれもを魅了して一瞬のうちに自分たちの味方に引き入れる美しいヴィーラ。アイルランドチームの応援者までがたちまちヴィーラに夢中になる。しかしアイルランドも負けてはいない。大勢の小さな応援団が自ら打ち上げ花火となって舞い上がる。「レプラコーンたちは再度空中に飛び出すと、今度は巨大な手となって、フィールドの向こうのヴィーラに宣戦布告のサインを送った」 シリーズ4作目が出版されるずっと前から、ローリングはこの作品がこれまでになく暗いストーリーだと予告していた。たしかにこの作品は、読者を笑わせた次の瞬間にはかならずハリーの命を脅かし、読者を不安にさせている。物語の奥深くには危険とともにさまざまな感情が潜んでいるのだ。とはいえ、ローリングは新しい愉快なキャラクターも登場させている。たとえば、闇の魔法使いの追手、アラスター・“マッドアイ”・ムーディ。彼は年をとって妄想症になったとかならないとか。それからネタを探してホグワーツ校をゴキブリのように忙しく動きまわるリタ・スキーター(この日刊予言新聞のスクープ探し屋が愛用する「コメント速書きペン」は、純粋そのもののコメントも、脚色のひどいゴシップ記事に変えてしまう)。 強烈な印象の残るエンディングで、ローリングはいくつかのプロットを未解決のまま残し、5作目につなげている。これを読むと、ひょっとすると著者自身にもヴィーラの血が流れているのでは、という気がしてくる。彼女のペンは、彼女の世界を完璧にする魔法の杖なのかもしれない。

「ロカールの原則」を作者と読者にも適用して欲しかった

ライム・シリーズの初作で作者の代表作と言われている。真夏のニューヨークで起こる猟奇連続殺人事件と言うありふれた設定。これを補うかのように、主人公の天才犯罪学者ライムを自殺志願の四肢麻痺患者と言う設定にし、フトした事から彼の手足となるのはトビキリの美人捜査官アメリアと言うあざとさ。殊に上巻では、肝心の物語のテンポが悪い。もっと犯人との心理戦を中心とする事件そのものを書き込むべきだったろう。ライムの自我や天才性を強調して描こうとする余り、焦点がボケて展開が緊迫感に欠ける。上巻でライムに反発しているアメリアが後半、心を開くであろう事も容易に予測できる。FBIと市警の確執も型通りだが、型破りのFBI捜査官デルレイの造詣は中々のもの。

アメリアの突然の心変り辺りから物語はようやくテンポ・アップする。アメリアを捜査の最前線に立たせれば緊迫感が増すのは自明なのに。世界貿易センター・ビルが登場するのは怖ろしい偶然。ライムの回想や過去の類似事件の断片が示され、ようやく犯人像が見えてくる。アメリアを窮地へ追いやるのは常道だが、結末は見え透いているだろう。ドンデン返しの名手にしては着地点が凡庸。

作者の衒学趣味に付き合わされて長い物語を読まされた割には得るものは少なかった。「ロカールの原則」を作者と読者にも適用して欲しかったと思う。
ハリー・ポッターと秘密の部屋 (2)
ハリー・ポッターと秘密の部屋 (2)
静山社
price : ¥1,995
release : 2000-09

I love harry but amazon`s staff was mean

I love Harry Potter and It`s the best for me but i`m rating it 4stars. I bought many times here and never have received such ill-treatment before.I bought this particular book "Harry Potter and the Chamber of secrets (US) paperback) from amazon and when it arrived the front page and some was torn. I asked for a new one on the same date of delivery and the negotiation was so smooth but when the second one arrive I noticed that it was the same book (or same damage) I returned.We tried to be calm and simply ask to return it again for there seemed to be a mistake but some arrogant staff told my husband that it is not possible to return an item twice, talked to him for sometime and he wasn`t polite at all! We are customers and I think some manners while conversing with us is just fair to expect! When my husband had enough he asked for a higher ranking staff to deal with cause the talk was going nowhere and he just refused! I know this is not the proper place to argue but if my husband, who just refuse to deal with complicated things,can let this matter pass I can`t.
I feel harassed and abused and if these things go unnoticed and unsolved I may not have much trust with this company!
赤毛のアン (講談社文庫―完訳クラシック赤毛のアン)
赤毛のアン (講談社文庫―完訳クラシック赤毛のアン)
講談社
price : ¥820
release : 2005-04

英語でも読もう

孤児のアンが、マシューとマリラとともに成長するどたばた喜劇。
カナダの自然の風景、個性ある登場人物、心温まる物語。
少女が、自立心を持って、生きていこうという積極的な姿勢が心強い。

あしながおじさん、少女バレアナ(ポリアンナ)、小公女などとともに、少女文学の最高傑作だと思われます。
その中で、子供の成長に伴って、親も成長していくことが分かるお話です。

ps.
原文はWEBにあがっています。ダウンロードして英語で読むことができます。
翻訳の善し悪しは、読み比べたことがないのでわかりません。
文化の変換は、時代によって違う可能性があるので、ある期間が過ぎたら翻訳し直すことも意味があると思われます。

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)
存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)
集英社
price : ¥860
release : 1998-11

繰り返し、読もう。

 ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を
 また、読み始めてしまいました。

 20代の終わりごろから、幾度となく読み返しています。

 ほかにも読みたい本は、たんとあるというのに、
 なぜか、ときどき、この本に誘われてしまうのです。
 おそらく、もっとも好きな小説です。
 高校のころからの愛読書『アンナ・カレーニナ』よりも、
 好きかもしれません。

 『存在の耐えられない軽さ』の中に、
 『アンナ・カレーニナ』の話も出てきます。
 それでよりいっそう、好きなのかもしれません。
 でも、『存在の耐えられない軽さ』のほうが、
 『アンナ・カレーニナ』よりも、少しだけ、大人の話だと、思います。
放課後 (講談社文庫)
放課後 (講談社文庫)
講談社
price : ¥600
release : 1988-07

東野作品の始まりは青春推理ミステリー、しかしその内容は恐ろしく深遠だ!

本書は1985年の第31回江戸川乱歩賞受賞作であり、作家東野圭吾の出発点をなす作品である。本章受賞までの道のりは決して平坦ではなかったそうだ。作品の舞台は私立清華女子高等学校。そこで生じた2件の殺人事件をめぐる学園ドラマが全7章を通じて鮮やかに描かれている。それなりの分量を伴った学位論文を読んでいる感覚だった。とはいえ、単なる「学園ドラマ」という呼称は適切ではない。女子校が舞台であると思って、気楽に眺めていられるのも最初のうちだけである。私は途中から胸騒ぎというか、大袈裟にいえばやや恐怖感を覚えたほどである。厳格な生徒指導部の教員が校内で毒殺されたというにもかかわらず、大半の生徒が驚くほど「無邪気」であったということもある。内部犯であることが明らかになってきた以上、犯人は教員か生徒に絞られる。しかし俊英な読者は当初から犯人は生徒であることを確信して読み続けたに違いない。第7章で密室トリックの真の解明を含む、教員と生徒との生々しい(犯行に関わる)問答が繰り広げられる。なるほど、「囮トリック」の話は斬新だったし、本章で一気に詰め寄る前島教員(数学教師。20年後の『容疑者Xの献身』に登場する石神も高校の数学教師)の悲壮感を漂わせた覚悟も十分な臨場感を秘めていた。全体を通じて読み応えがあり、本書は東野圭吾の原点であるという説明も納得がいった。しかし私は、生徒の犯行「動機」にやや落胆の念を隠しきれない。これが本当に殺人を誘発するに足る動機なのかと。「美しいもの、純粋なもの、嘘のないものを奪われた時」に生じるという女子生徒の犯行動機とうまく整合しなかった。最後に教員それ自身が妻(とその共犯)によって殺害されるというシーンもあまりに衝撃的だった。途中から妻の言動が伏線として描かれているが、最後にこういう結末を用意していたとは。爽快感よりは恐怖感のほうが強く脳裏に残存した作品であった。

自閉症だったわたしへ (新潮文庫)
自閉症だったわたしへ (新潮文庫)
新潮社
price : ¥820
release : 2000-06

★「心理的に健康であるとは、一体どういうことなのか」★

●専門家にとってさえ実態をつかむのが困難な「自閉症」。ドナによる子供時代から現在にわたる「戦い」の歴史である本書により、その世界を「少しだけ」垣間見ることができる。
・魔法の世界と「世の中と」 ・キャロル ・学校 ・友達 ・あべこべの世界
・十二歳 ・迷子 ・ウィリーの葬式 ・ダッフルコート、ピアノ、レポート
・独立 ・引越しばかりの人生 ・メアリー ・復学 ・過去の亡霊
・触れ合い ・闘争と逃走 ・海へ ・旅 ・再び、海へ ・最後の戦い
・本当の居場所
●決して明るく希望のもてる内容ではないが、関係者にとっても非常に貴重な本であることに間違いない。
Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選
Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選
中央公論社
price : ¥680
release : 1997-10

村上春樹氏のファンの方はどうぞ

訳者村上氏が愛好するR.カーヴァの短編集。村上氏の紹介を読むと相当な惚れ込み様なので、氏が好む短編を選んで"傑作選"と銘打ったのだろう。氏によると、初期のカーヴァーは描写を出来るだけ削る所から、"ミニマリスト"と呼ばれたそうである。確かに事象を簡潔に読者に投げ出して、その意味を読者に考えさせると言う作風に見える。不条理の世界を投げ出す事もあるが、村上氏の言うようなカフカのレベルには程遠いだろう。

私には異なる世界に住む人間を同一の物語中で対比させる事によって、人物相互の不信感、価値観の相違、魂の融合等を浮き彫りにし、その時々で人間にとって大切なものを示唆する趣向に感じられた。大人と子供(「サマー・スティールヘッド」)、カミュ「異邦人」的行動を取った夫と倫理観の強い妻(「足もとに流れる深い川」(この題名は恐らくdouble meaning))、人生を捨てた男と通りかかった無邪気な若いカップル(「ダンスしないか?」)、妻の知己の盲目の人物と身体的特徴に偏見を持つ夫(「大聖堂」)。しかし、「大聖堂」のラストの真の感動はキリスト教徒以外には理解不能だろう。「ぼくが電話をかけている場所」は作者のアル中療養所体験をベースにしたもので、強いて言えば患者と読者か。アメリカ文学ではハードボイルドを中心にして、「アル中の裏に人生を語る」風の作品が多いが、村上氏が傑作と呼ぶ程の出来とは思えなかった。本編を含め登場人物は頻繁にTVを観る。当時のアメリカの普通の習慣だったのだろうか ? そして子供を交通事故で失った夫妻とパン屋(「ささやかだけれど、役にたつこと」)。

村上氏の訳が意訳に過ぎて、村上氏自身の作品を読んでいる錯覚に陥る難があるが、普段馴染みの無い作家の紹介と言う点と村上氏の小説のヒントとなる点で価値ある作品。
ハリー・ポッターと炎のゴブレット 上下巻2冊セット (4)
ハリー・ポッターと炎のゴブレット 上下巻2冊セット (4)
静山社
price : ¥3,990
release : 2002-10-23

シリーズ最高作

この作品を書いた当時作者は冴えていた。
発想内容や展開の仕方など全てを取ってみても上り坂にいた。
冒頭から最後へ至る筋は、少しも厭きさせないで一気にスピード感を持って読ませた。
しかし残念なことに次の5作目は何時もどんな時にも作品全体に流れていた作者独自の冴えた描写、文体、リズム、インスピレーションが何も無かった。
どうして才能の冴えもリズムも発想も急に無くなってしまったんだろうか首をかしげたくなる。同じ作者と思えなかった。
6作では4作以前の文体に戻り、挽回し始めているが。
例えば、5作のハリーが怒鳴っている一連の台詞は作者の文章を書く際の破綻としか考えられない。
1?4作の延長に登場してきた閃きのあるハリーならば5作に登場する様な馬鹿な人格にはならなかった筈。違和感が残った。しかも6作でも本然のハリーの人格に戻っている。
4作はこのシリーズ最高傑作。3校の対校試合とそれに絡む登場人物達の心理模様全てがヴォルデモードとの対決へ向けて熱くスピーディに語られ展開していく。
コフィン・ダンサー〈上〉 (文春文庫)
コフィン・ダンサー〈上〉 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥690
release : 2004-10

【商品詳細】

映画化され話題を呼んだ『ボーン・コレクター』に続き、四肢麻痺の科学捜査専門家リンカーン・ライムを主人公としたシリーズ。ベッドから一歩も動かずスーパーコンピュータなみの頭脳で犯人を追い詰めていく異色捜査官の本作における敵は、その刺青から「コフィン・ダンサー(棺桶の前で踊る死神)」と呼ばれる殺し屋。大陪審で大物武器密売人に不利な証言をする予定の証人を消すために雇われた彼によって、民間航空運輸会社の社長兼パイロットがその毒牙にかかり、彼の妻が次の標的に。大陪審まであと2日。追う者と追われる者の息詰まる勝負の行方は…。 最先端の科学捜査をフィーチャーした綿密なディテール、そのひとつひとつがすべて結末への伏線となっているその構成は見事と言うほかはない。前作に比べて犯人の人物造詣が少々浅いのが気にかかるファンもいそうだが、その分、被害者サイドおよびライムとその仲間たちの造詣はより厚みを増した。特に、ライムの麻痺した四肢の代わりに活動する美貌の捜査官、アメリアの存在感が光る。本作で彼への思慕の念をはっきりと自覚したアメリア。シリーズ3作において、ライムを待ち構える事件の内容はもちろん、皮肉屋で人間関係にきわめて臆病な彼が、彼女によってどう変化するのか。ちょっと下世話なお楽しみを用意しておくあたりも、エンターテイメント作家としての著者の手練だといえる。(梅村千恵)

一作目より大衆向けか

一作目「ボーン・コレクター」も当然面白い。
だが、主人公が自殺志願だったり、ボーンコレクターの殺し方がかなりひどかったり、一部引くところもあり、娯楽小説ということを考えると今回の方がまとまっている感じ。

犯人との追いかけっこは「ジャッカルの日」を思わせ、狙撃の仕方は「スティーブン・ハンター」の著書を思わせます。

最後にどんでん返しが何回かありますが、確かに少し強引な気がしないでもなし。
ま、娯楽小説なので素直に著者に従い楽しんで読むのが一番でしょう。
コフィン・ダンサー〈下〉 (文春文庫)
コフィン・ダンサー〈下〉 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥690
release : 2004-10

【商品詳細】

映画化され話題を呼んだ『ボーン・コレクター』に続き、四肢麻痺の科学捜査専門家リンカーン・ライムを主人公としたシリーズ。ベッドから一歩も動かずスーパーコンピュータなみの頭脳で犯人を追い詰めていく異色捜査官の本作における敵は、その刺青から「コフィン・ダンサー(棺桶の前で踊る死神)」と呼ばれる殺し屋。大陪審で大物武器密売人に不利な証言をする予定の証人を消すために雇われた彼によって、民間航空運輸会社の社長兼パイロットがその毒牙にかかり、彼の妻が次の標的に。大陪審まであと2日。追う者と追われる者の息詰まる勝負の行方は…。 最先端の科学捜査をフィーチャーした綿密なディテール、そのひとつひとつがすべて結末への伏線となっているその構成は見事と言うほかはない。前作に比べて犯人の人物造詣が少々浅いのが気にかかるファンもいそうだが、その分、被害者サイドおよびライムとその仲間たちの造詣はより厚みを増した。特に、ライムの麻痺した四肢の代わりに活動する美貌の捜査官、アメリアの存在感が光る。本作で彼への思慕の念をはっきりと自覚したアメリア。シリーズ3作において、ライムを待ち構える事件の内容はもちろん、皮肉屋で人間関係にきわめて臆病な彼が、彼女によってどう変化するのか。ちょっと下世話なお楽しみを用意しておくあたりも、エンターテイメント作家としての著者の手練だといえる。(梅村千恵)

一作目より大衆向けか

一作目「ボーン・コレクター」も当然面白い。
だが、主人公が自殺志願だったり、ボーンコレクターの殺し方がかなりひどかったり、一部引くところもあり、娯楽小説ということを考えると今回の方がまとまっている感じ。

犯人との追いかけっこは「ジャッカルの日」を思わせ、狙撃の仕方は「スティーブン・ハンター」の著書を思わせます。

最後にどんでん返しが何回かありますが、確かに少し強引な気がしないでもなし。
ま、娯楽小説なので素直に著者に従い楽しんで読むのが一番でしょう。
ハリー・ポッターと賢者の石(携帯版)
ハリー・ポッターと賢者の石(携帯版)
静山社
price : ¥998
release : 2003-10-22

【商品詳細】

もしも人生最初の10年間を、自分をひどく嫌う一家の階段の下で寝泊まりするとしたら? そこを途方もない、「魔術的な」運命のいたずらで、いきなり魔法使いや、カゴに入ったシロフクロウや、不死鳥の羽根の入った杖や、イチゴ味、カレー味、草味、イワシ味…などなどのゼリービーンズに取り囲まれたとしたら? いや、そればかりか、なんと自分まで魔法使いだとわかったとしたら! これらはまさに、J.K.ローリングの魅力的で笑いにあふれるデビュー作、『Harry Potter and the Sorcerer's Stone』(邦題『ハリー・ポッターと賢者の石』)の主人公、幼いハリー・ポッターの身に起こったことなのだ。魔法とは無縁の人間(「マグル」)の世界では、ハリーは何者でもなく、おじやおばから邪魔者扱いされているばかり。おじとおばはハリーの両親が邪悪な魔法使い、ヴォルデモートに殺されたあと、いやいやハリーを引き取ったのだ。ところが魔法使いの世界では、小柄でやせっぽちのハリーは、ヴォルデモートに殺されそうになりながらも生き残った子どもとしてきわめて名の通った存在。死を免れたハリーには稲妻形の額の傷と、驚くほど研ぎ澄まされた感覚だけが残ったのだった。それに、あふれるほどの不思議な力が、自分はおばやおじや、わがままでブタそっくりのいとこのダドリーとはまったく…何から何まで違うんだと気づかせてくれるのだった。 気さくな巨人、ハグリッドが届けてくれた不思議な手紙がもとで、マグルに虐げられていた、惨めなハリーの生活は一変する。「貴殿にホグワーツ魔法魔術学校の入学許可が下りたことをお知らせできるのは誠にうれしいかぎりです」。当然、バーノンおじさんはめちゃめちゃ不機嫌になってわめき出す。「気の狂ったまぬけじじいがこいつに魔法なんぞを教えるのに、わしは金なんか出すつもりはないぞ!!」ところが、あっという間にハリーはフクロウのヘドウィグとともにホグワーツ校に到着している。この学校で、本当の冒険── 愉快で不気味でスリル満点の冒険── が始まるのだ。 『Harry Potter and the Sorcerer's Stone』は当初イギリスで『Harry Potter and the Philosopher's Stone』として出版され、その後イギリスの主な賞を獲得し続けている。これまでに英国文学賞、スマーティーズ賞、児童文学賞を受賞、カーネギー賞やニューベリー賞英国版の候補にもなった。この不思議な魔力で心を引きつける本は、将来も古典となって読み続けられることだろう。本書を読んだ子どもたちは、『Harry Potter and the Chamber of Secrets』(邦題『ハリー・ポッターと秘密の部屋』)や『Harry Potter and the Prisoner of Azkaban』(邦題『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』)も夢中で読みたがるはずだ。

「ブーンと吠える犬」は本当でした――。

 このシリーズを原書で読んでいた大人のファンです。原書が完結した機会にと翻訳版も読んでみましたが、つじつまの合わない箇所(誤訳)やおかしな日本語が多数みつかりショックを受けています。
 読む前にネットの掲示板で、misty eyes(=ぼんやりした目、潤んだ瞳)が 『霧のような瞳』、booming barks(=とどろく吠え声)が 『ブーンとうなるような吠え声』になっているという情報を目にしたときは、冗談に違いないと思いましたが、本当だったのでびっくりしました。『霧のような瞳』とはどんな瞳でしょうか? 犬がブーンと吠えるでしょうか? たいへん非常識な訳です。
 第1章の最後、原書に「people meeting in secret all over the country=国中のいたるところで密かに集まった人々(魔法使い達を表わす)が?」と書かれている箇所がありますが、翻訳はここを 『国中の人が、あちこちでこっそりとあつまり?』(ハードカバー版p30)としているので、これでは英国人全員が魔法使いのようです。
 部分によっては翻訳者の熱意や工夫も感じられるのですが、上記のような不手際が散見されるため、全体に見て子供が繰り返し読むのにふさわしい本になっているとはいえず、たいへん残念です。

 世界的なベストセラーとなったこの作品は、遊び心いっぱいのファンタジーです。ただ決して万人向けの心暖まる児童書というわけではありませんので、その点も注意が必要です。魔法の学校は様々な理不尽に満ちていますし、後の巻では残酷な場面も出てきます。(それが面白いところでもあるのですが)今から小さい子供に読ませることを考えている方は、訳に問題があることに加え、後半ダークなストーリー展開が待ち構えていることも知っておいた方がいいでしょう。(☆ひとつは日本語版への評価)
カラマーゾフの兄弟 下    新潮文庫 ト 1-11
カラマーゾフの兄弟 下  新潮文庫 ト 1-11
新潮社
price : ¥860
release : 1978-07

悪魔との対話が象徴的な下巻。裁判のパートで作品のクライマックスへ

 下巻は大きく3つのパートからなっている。
 まず二等大尉の子供で、死の床についているイリューシャと、以前仲たがいしていたコーリャとの心温まる友情の物語。コーリャのきわめて実用的なものの考え方とは見解を違えるものの、コーリャの行いを暖かくみまもるアリョーシャ。このアリョーシャと子供たちの話は、エピローグでもでてくるが、思想の派閥を超越した、わかりやすく純粋な、人間が決して忘れてはならないものを端的に説明している。それは「神とは何か」という議論に熱中するあまり、基本的な人間の幸せの源流をわれわれに改めて気づかせてくれるものだ。
 そして2つめのパートは、次男のイワンの精神崩壊だ。カラマーゾフの兄弟全体で、正直、このイワンの幻想かつ自分自身を象徴したこの登場人物との会話が、もっとも難解だった。もう一度じっくりと読んでみたい部分ではあるが、中巻の大審問官の話がキリストとの対話であるのに対し、この部分は、悪魔との対話を表しているような気がするが、両方とも核となるメッセージは同じなのではないだろうか。
 最後のパートが、裁判の成り行きで、ここは、じっくりと検事と弁護士との演説を味わいたいところだ。
小説の技巧
小説の技巧
白水社
price : ¥2,520
release : 1997-06

すばらしい本です。

『小説の技巧』というタイトルは若干わかりにくいようですが、
いわゆる、小説の書き方入門、という類の本ではありません。

自身も小説家であるディヴィッド・ロッジが、数多くの英米小説(名著ぞろいです)から一部を抜粋しつつ、小説の演出技法を紹介していきます。

「書き出し」「名前」「時間の移動」「コミックノベル」「シュルレアリスム」…等々、
聞いただけでワクワクするような項目ぞろいです。

また、平易な言葉で書かれてはいますが、内容自体は結構深いところまで突くので、
じっくりと腰を据えて読まないと理解できないかもしれません(笑
しかし、気になった項目をパラパラ眺めるだけでも結構楽しく過ごせます。

もともとディヴィッド・ロッジが、丁寧で整合性のある物書きということもありますが、
この本に関しては、とても翻訳が良く、翻訳書とは思えない(日本人が書いたのでは?と疑うくらい)、綺麗な文章となっています。
うろ覚えですが翻訳者の一人、柴田元幸さんは東京大学で教授をされている方だったと思います。翻訳家としても著名で、堅実で綺麗な文章を書く方です。
翻訳者の努力も合わさって、この本は最高の一冊となっています。

この本は小説の手引き書ではありませんが、折り目正しい文章、面白い内容(形容する言葉がこれ以外思いつかないのが悔やまれます)は、
小説家を目指す人、あるいはそうでない人にも一読の価値ありです。
エレンディラ (ちくま文庫)
エレンディラ (ちくま文庫)
筑摩書房
price : ¥567
release : 1988-12

映画化されているのに……。

凄い小説。既に映画(1983)化されている。VHSも以前売られていたが、いまや中古品も見つからない。最近、蜷川の舞台も上演され話題にもなったのに、あの幻想的な美しい映画がDVD化されないのは、何故だろう?この短篇を読み終えた人なら興味在るでしょ?もったいないはなしだ!スナック菓子のようなハリウッド作品(決して嫌いではないが)ばかりビデオ屋の店頭を占める昨今、もう少し、このような佳作が陽の目を浴びる環境が整う事を望む!
穴  HOLES
穴 HOLES
講談社
price : ¥620
release : 2006-12-15

たまにはポジティブな世界で

様々な伏線がぱちぱちとはまるべきところにはまり、最後には人生って悪くないかも(まじめにさえ生きていればね)と思える大円団へ。育ちの良いお話です。
たまにはこんなポジティブな世界に浸ってみるのもよいかもね。
ファウスト〈第2部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ファウスト〈第2部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
集英社
price : ¥980
release : 2004-05

迷路だらけの宝島

 ファウストとメフィストの賭けは続く。といっても、舞台も時代も転々と移り、果ては神話の世界にまで至るから、筋を追うだけでは辛い上に勿体無い。
 かつてゲーテが宮廷の要職を放り出してイタリア旅行に出てしまったように、筋は投げ出して、しばし古代のエーゲ海で、豪華キャストによるきらびやかな舞台を楽しまれたい。
 中盤を楽しむほど、終盤の「灰色の女」と契約の「時」は際立つ。

 さて、虚構を常識で裁くのは野暮だが、第一部で直接1人、間接的に2人を殺し、第二部でも・・・。となれば、最終的な志の如何にかかわらず、地獄行きだろう。賭けは当然、メフィストの勝ち、か?

 池内訳の結末は、死を間近にした一老人ゲーテの願望の投影かもしれない、と読者に思わせる。ファウストは人格者というより普通の人だ。訳語、訳文と最小限に絞られた注、という目立たない方法で、新たに大胆な解釈を加えたように私には見えた。
 迷路だらけの宝島が、多くの研究者を惹きつけ、研究書で図書館が建つ。そういう豊かな作品である。

マジック・ツリーハウス〈3〉アマゾン大脱出 (マジック・ツリーハウス (3))
マジック・ツリーハウス〈3〉アマゾン大脱出 (マジック・ツリーハウス (3))
メディアファクトリー
price : ¥819
release : 2002-06

あっという間に大人気

図書館に並べてから数日で、全11巻があっという間に貸し出されました。予約も後をたちません。
低学年から高学年まで大人気です。

ジャックとアニーの兄妹が、
不思議なマジックツリーハウスで本の世界に旅立つ。
そこで待っているものは、いろいろな冒険。
この巻では、忍者の世界とアマゾンで二人は冒険をします。

絵が多く、読みやすいので、一気に読んでしまえます。

この本のいいところは、ただおもしろいだけでなく、
ジャックが本を開いて確認する、という設定で、
忍者なら忍者、アマゾンならアマゾンの説明がされるところです。
歴史的に、科学的に、広い範囲で、
いつの間にかそのものについて知ることが出来る、
お得な本だと思います。

おじいちゃんがおばけになったわけ
おじいちゃんがおばけになったわけ
あすなろ書房
price : ¥1,365
release : 2005-06

言葉で説明するのは難しいこと

立ち読みするのはやや危険。
確実に目頭が熱くなります。心を揺さぶられます。

死んでしまったはずのおじいちゃんはスーツにネクタイといういつもどおりの姿で現れ、
「何か忘れ物をしている」と言います。
夜しか出てくることのできないおじいちゃんと一緒にその忘れ物が何なのか探そうとするエリック。
忘れ物を捜しながら、おじいちゃんとの思い出話に花が咲きます。
その思い出話を描いたイラスト1枚1枚があったかくてかわいらしくて親しみ深くて、
思わず笑顔になります。

忘れ物を捜せるのはおじいちゃんが出てこれる夜だけ。
眠ることができないエリックは徐々にやつれていきます。
絵本では、短いながらもそんなエリックを優しく見守る両親の姿をきちんと描き、
物語に深みを出しています。
小さい子へのプレゼントにお勧めの素敵な絵本でした。
オフィシャル・ブックTHEゴルゴ学
オフィシャル・ブックTHEゴルゴ学
小学館
price : ¥1,890
release : 2000-11

【商品詳細】

さいとうたかをの長期連載シリーズ「ゴルゴ13」について、ビッグコミック編集部がさまざまな角度からの資料を集めた、完全データベースともいうべきオフィシャルブックが本書だ。 「作品中の全狙撃数は2557発」、「ゴルゴの狙撃失敗確率は0.27%」といった緻密なデータを調べあげ、そのひとつひとつについて解説を加えるという作業の徹底ぶりには圧倒される。また、著者であるさいとうたかをへのロングインタビューや、ゴルゴ関連グッズの紹介など、オフィシャルブックならではの内容も満載で、中身が濃い1冊だ。 巻末には全463話分の標的や報酬、作品の見どころをまとめたパーフェクトリストを掲載しており、全巻をすでに読み通したゴルゴファンにはもちろん、まだ『ゴルゴ13』を読んだことのない人にとってもゴルゴの世界が十分に伝わる構成になっている。 『ゴルゴ13』のストーリーはもちろんフィクションだが、世界各国の歴史、経済、地理、政治といったさまざまな国際問題を下地に構成されており、作品自体をひとつの優れた「教科書」として読むこともできる。その膨大な知識や情報を、テーマ別にわかりやすくまとめた本書は、まさにファン待望のオフィシャルガイドブックといえるだろう。(清水 晶)

世界の裏舞台・・・いつもそこにはゴルゴ。

ストーリー自体は本当に荒唐無稽なのに圧倒的な存在感で彼は迫ってくる。
その男、すなわちゴルゴ13に関するオフィシャル・ブックがコレだ。
天才的なスナイパー、ゴルゴ13を知るには又とない本だろうな。
ミステリーの書き方 (講談社文庫)
ミステリーの書き方 (講談社文庫)
講談社
price : ¥650
release : 1998-07

【商品詳細】

『日の名残り』『私たちが孤児だったころ』で高い評価を得た作家が送る、感動的な小説。心に残る友情と愛の物語の中で、世界と時間を巧みに再創造してみせる。 現在31歳のキャシーは、イギリスの美しい田園地方ヘールシャムの私立学校で、子ども時代を過ごした。そこでは子どもたちは外界から保護され、自分たちは特別な子どもで、自分たちの幸せは自身だけでなく、やがて一員となる社会にも、非常に重要だと教えられていた。キャシーはこの牧歌的な過去とはずいぶん昔に決別したが、ヘールシャム時代の友人二人と再会して、記憶に身をまかせることにする。 ルースとの交友が再燃し、思春期にトミーに熱を上げた思いが恋へと深まりはじめる中、キャシーはヘールシャムでの年月を思い返す。外界から隔絶された穏やかさと心地よさの中、少年少女がともに成長する幸せな場面を、彼女は描写する。だが、描写はそんな場面だけではない。ヘールシャルムの少年少女育成のうわべに隠れた、暗い秘密を示唆する不調和や誤解。過去を振り返ってはじめて、3人は自分たちの子ども時代と現在の生き方の真実が見え、それに対峙せざるを得なくなる。 『Never Let Me Go』は単純に見える物語だが、そこに徐々にあらわにされていくのは、驚くべき深さで共鳴する感情だ。カズオ・イシグロの最高作にあげられるだろう。

私の研究室のゼミの課題図書。

 米国ミステリー作家協会のアンケートをもとに編集された1976年の本の翻訳です。アンケートによる部分と、特定の作家が自分の手法を説明している部分が交互に出てきます。ある意味では、古いです。
 この本の見方は、2つに分かれると思います。ひとつは、古典的なミステリーファンのためのもの。有名な作家が、それぞれどのような作法を採っていたかがわかり、米文学研究としておもしろいでしょう。
 もうひとつは、作家を志す人のため。実際の当時の作家ですら、あらかじめアウトラインを決めておくべきかどうか、という根本問題で、諸説が出てきます。このことによって、うまくバランスよく、アウトラインの必要性とその限界がわかるしくみになっています。
 クーンツの本と同様、本気で作家をめざす後輩たちのためにに、成功した先輩たちが忌憚なく自分の手の内を明かすものですので、内容的な好き嫌いは大きく分かれるでしょう。しかし、好き嫌いではなく、まず読んで、諸説を参考に、自分の考えをよくまとめ直してみましょう。 
トワイライト〈5〉狼の月 (トワイライト 5)
トワイライト〈5〉狼の月 (トワイライト 5)
ヴィレッジブックス
price : ¥1,050
release : 2006-12

いらいらしてしまった巻でした。

主人公ベラの考え方・行動にイライラした巻でした。
彼女の気持ちになってみれば、そうならざるを得ないのですが…
ジェイコブ好きな人にはたまらない巻だと思います。
でも、私的には…なので星3つ。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)
日の名残り (ハヤカワepi文庫)
早川書房
price : ¥756
release : 2001-05

執事の品格とは?ではありません。

 執事からイメージされるのは、推理小説の登場人物くらいで、あまり現実感がないので、イギリスのお屋敷の一流の執事たるものは、どうあるべきかという読み物として読んでしまうと単なるボヤキ?あるいは「執事の品格」になってしまいます。
 時代背景が、第一次世界大戦と第二次大戦の挟間で世界が大きく動く歴史をおさらいして読むと、もう少し、理解ができるものと思います。
 ダーリントン卿にお仕えした執事の仕事の達成感と寂しさ、ダーリントン卿が失脚して、新しくアメリカから来たファラディ様に仕え、イギリス流とは違ったジョークを勉強しなければならない苦痛感。執事のスティーブンが、ファラディ様の好意で休暇を取り、フォードを借りて、かつて一緒に働いた女中頭ミス・ケントン(ミセス・ベン)からもらった手紙を頼りに、彼女に会いに行く物語。スティーブンの執事としての人生・スティーブンとケントンの恋物語・ダーリントン卿の衰退とイギリスの衰退という時代背景がうまく溶け込んでいます。
 執事が物語を淡々と語るので、物語に引きこまれていきます。
 ★2つをつけると、この小説に対して理解不足だと叱られそうですが、個人的には、そんなに面白い小説とは感じませんでした。しかし、こうした静かなイギリス的な?ものを読むのもいいのかもしれません。

 その時だったと存じます。男がこう言ったのは――「人生、楽しまなくっちゃ。夕方がいちばんいい。私はそう思う。みんなにも尋ねてごらんよ。夕方が一番いい時間だって言うよ」 「たしかにおっしゃるとおりかもしれません」と私は言いました。
 私はここに残り、今の瞬間を――桟橋のあかりが点燈するのを――待っておりました。先ほども申し上げましたが、楽しみを求めてこの桟橋に集まってきた人々が、点燈の瞬間に大きな歓声をあげました。その様子を見ておりますと、あの男の言葉の正しさが実感されます。たしかに、多くの人々にとりまして、夕方は一日でいちばん楽しめる時間なのかもしれません。では、後ろを振り向いてばかりいるのをやめ、もっと前向きになって、残された時間を最大限楽しめという男の忠告にも、同様の真実が含まれているのでしょうか。(本文から)

シネマトグラフ覚書―映画監督のノート
シネマトグラフ覚書―映画監督のノート
筑摩書房
price : ¥2,310
release : 1987-11

よきかな

筑摩書房も参加した出版社4社の共同企画「書物復権2006」における投票上位書籍に選ばれ、
晴れて2006年9月中旬再販されることが正式に決定しましたね。かねがね映画ファン
必携の良書と思っていましたのに絶版状態となっていた事を勿体無く思って
いたのでこれは本当に素晴らしい出版社の判断だったと思います。

文体は時にアフォリズムのように散文的に、情熱的に。ブレッソン14番目の作品と呼んでも
差し支えないほど、多くの示唆や驚きに満ちていると思います。映画製作現場において発生する
日々の労苦や理不尽さ、また時に起こる奇跡、自らの目指す理想をブレッソン本人独特の言い回し
で非常に率直に吐露しており、これを読んだ方の中から「シネマトグラフ」の後継者を
自認する人が1人でも現われてくれることを思わず願わずにはいられません。