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DATE: CATEGORY:・評論・文学研究
エマ (下) (ちくま文庫)
エマ (下) (ちくま文庫)
筑摩書房
price : ¥1,050
release : 2005-10-05

理想の結婚

主人公エマは村のみんなの敬愛を集める名家のお嬢様。美人なのにそこを誇るわけじゃない。エマの自尊心は別なところにあるからだ。生まれながらの身分、権威をふりかざす、ハイベリーの啓蒙主義的女王様なのだ。
その無邪気な女王様がことごとく鼻っ柱を叩き折られていく様子は可笑しいけれど哀れをさそうほどに徹底している。縁結びをしても思惑は外れ、ライバルの秘めた恋を観察しても勘違いと早とちりの繰り返し。生意気娘に作者の筆はまったく容赦ない。痛快である。
エマは生意気だけれど、育ちがいいので悪意がなく、責任感の強い、失敗を素直に反省できるチャーミングな娘だから、完璧な紳士ジョージ・ナイトリー氏がずっと見守っていて、ちゃんと最高の大団円へと結ばれていく。
村の人々もキャラ立ちまくりで、エルトン夫妻のいやったらしさなんて絶品。
それにつけてもナイトリー氏はうっとりしちゃうほど素敵な紳士で、これがジェイン・オースティンの理想の紳士像?と小生は勘ぐっております。
まってる。
まってる。
千倉書房
price : ¥1,575
release : 2006-11

このレヴューが読まれるのを「まってる」

いろいろな「まってる」場面が登場します。淡々と、ページに一言ずつ登場する「まってる」場面。

仲直りを。結ばれる日を。戦争が終わる日を。赤ちゃんを。再会を…。いろんな「まってる」が詰まっています。

私たちは生きているといろんな「まってる」を経験しているのですね。
今日も何かをまっていて、明日もきっと何かをまつんだなって思います。

フランス語の原語が併記されていて、それもなかなかお洒落な絵本です。
座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)
座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)
光文社
price : ¥735
release : 2004-05-15

齋藤流ゲーテ

『ゲーテとの対話』を現在読んでいるが、いまいちピンと来なかったので、本書を読んでみた。本書は、『ゲーテとの対話』と『ゲーテ全集13』より、幾つかの言葉をピックアップし、齋藤氏ならではの解説を加えている。理解しやすく、なるほどなーと思う点も多かった。
仕事や研究などでレベルアップしたい人は読んでみるといいかも。薄い本なので気軽に読める。また『ゲーテとの対話』を読もうとしている人は、先に本書を読むことをおすすめする。
ただ、思ったのは、齋藤氏なりの解釈のため、本当にゲーテが言わんとしていたことかどうか、?な点もある。やはりその点は原典を当たるしかないだろう。
百年の孤独
百年の孤独
新潮社
price : ¥2,940
release : 1999-08

物語に「引きずり込まれる」

圧倒的な小説の力に他のことが手につかず一気に読みふける。感覚物語に「引きずり込まれる」を久々に持った。

初代アルカディオとメルキアデスの神話的なエピソード、軍人アルカディオのかっこよさ、圧巻のラストシーン、どれもこれもが手ごたえのある登場人物による重層的な物語。

装丁も素晴らしく本を所有する喜びを増してくれる。
きょうのおはなしなあに 夏
きょうのおはなしなあに 夏
ひかりのくに
price : ¥2,520
release : 1997-05

ザ・ホテル―扉の向こうに隠された世界 (文春文庫)
ザ・ホテル―扉の向こうに隠された世界 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥730
release : 1999-11

高級なホテルはなぜ宿泊費が高いのかがわかる本

 5つ星のホテルに泊まると、いつも、なぜこんなに宿泊費が高いのか、と疑問に思うことがあります。もちろん、それ相応のサービスがあるのですが・・・。
 この本には、その理由が明確に書かれています。5つ星のホテルは、サービスを完璧にするために、全宿泊者の倍の従業員がいて、その従業員に相応の給料を払うために、この宿泊費になると・・・。
 なるほど、確かにそう考えると、妥当な宿泊費、どころか、むしろ安い気もしてきます。
 他にも、5つ星ホテルのサービスがどのように行われているのか、うなるほど書かれています。ホテル好きには薦められる本です。
ハックルベリー・フィンの冒険 下    岩波文庫 赤 311-6
ハックルベリー・フィンの冒険 下  岩波文庫 赤 311-6
岩波書店
price : ¥525
release : 1977-12

翻訳夜話2 サリンジャー戦記[予定価格] (文春新書)
翻訳夜話2 サリンジャー戦記[予定価格] (文春新書)
文藝春秋
price : ¥777
release : 2003-07-19

「ライ麦」読んだ人は、必読!

あぁ、おもしろい!読んでよかった!「キャッチャーインザライ」読んだ人は、絶対、読んだほうがいいですよ!おもしろい!

1冊丸ごと「サリンジャー&キャッチャーインザライ」について、書かれた本です(笑)

小説家・村上春樹と東京大学教授・柴田元幸による、2度にわたる対談と、2人の「あとがき」が、本書の内容です。これで、この価格は、、、お買い得☆

村上春樹の「キャッチャー」に対する熱い思いが、伝わってきます。

「簡単な言葉で、深い真実を語るんだ、というサリンジャーの姿勢が、キャッチャーインザライという本の中では、すごくはっきりしている。そういうところを、僕は、高く評価したい」
いやぁ、さすが村上(笑)いいこと、いいますね。
これは、もちろん、「簡単なことを、むずかしく書く」アカデミズム(大学や文壇ですね)を、少し、批判しているわけです。

あと、東大生の指摘が面白い。「小説の途中で、ホールデンは、「子供が崖から落ちないように、キャッチャーになりたい」と言います。ところが、最後の回転木馬のシーンでは、子供が金色の輪っかを取ろうとするのは落っこちそうで危ないけど、取りたいんだったら危なくても好きにさせるのがいいんだよ」と言うわけです。つまりキャッチなんかしなくてもいいんだと言っている。この違いをどう見ますか」

村上春樹は「おもしろい指摘だと思う」と答える。

そして、「この本の魅力は、主人公が、成長していないことだ」と言います。普通の小説だと、主人公は成長して、何らかの方向に進みだしますよね?この小説は違う。最初と何も変わってないし、主人公は、また同じ失敗を繰り返すのではないか?と読者に思わせるところがある。そこが本書の魅力です。つまり、結論を安易に出さないんですね。「わからないことは、わからないし」というスタイルなんですよ。

最高に面白い本です。続きは、、、読んでください☆


24人のビリー・ミリガン〈上〉 (ダニエル・キイス文庫)
24人のビリー・ミリガン〈上〉 (ダニエル・キイス文庫)
早川書房
price : ¥924
release : 1999-10

闇から生まれた者

この本は心理学という幅の広く深い領域に足を突っ込むことになったきっかけの本である。
やはりこれが完全なる実話であるという点が大きな衝撃だった。
ひとつの身体の中に24もの人格を持ったビリーの闘病記だ。
本人のインタビューを基にしているため主観的な点はあるが、それだけにいっそう多重人格の病態や人格同士のつながりと混乱といった要素がはっきりと描き出されていた。
ビリーの中にある人格は、それぞれ年齢や性別、趣味、それに出身までもが異なるキャラクターである。
意思の疎通が図れている人格もあれば、何が起きているのかまったく理解できない人格もある。
ビリーはその中のいくつかの人格が犯した犯罪のために告訴されたが、精神病を理由として無罪となった。
それにもかかわらず、治療のためと称して収容された病院は監獄よりもひどい環境の所だった。
正規の医師のもとで治療を受けることができるように努力する弁護士と、政治活動や世論の余波を受けて翻弄されるビリーの物語をドキュメンタリーのように描いている。
進んでは戻ってうまく言ったかと思えば何かに邪魔をされてという繰り返しで、読んでいても話の進展に腹立たしくなることさえあった。
サリーを読んだ後だっただけに、フィクションと実話との相違を改めて感じましたね。
心の中という世界に、無限の可能性を見た話でした。
ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)
ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥798
release : 1994-09

なぜペネロペイアの求婚者たちはオデュッセイアの家産にたかるのか?

紀元前のギリシアを舞台にしているにもかかわらずほとんど違和感なく楽しめる。ただ,オデュッセイアの不在中にペネロペイアの求婚者たちがオデュッセイアの家でさんざん飲み食いするという状況がなぜ発生するのかよくわからない。どういう社会構造なんだろう。あと,神様と人間があちこちで同衾してしまうというのがこすばゆいような不思議な感じがする。
神曲 中   岩波文庫 赤 701-2
神曲 中 岩波文庫 赤 701-2
岩波書店
price : ¥798
release : 1953-01

【商品詳細】

今も昔も復讐鬼の物語が人々の心を惹きつけてやまないのは、それが幸福と安寧に背を向けた人間の究極の姿だからであろう。世界の文学史上最も有名な復讐鬼、モンテ・クリスト伯。19世紀フランスの文豪、デュマが創造したこの人物もまた、目的を果たすごとに、底なしの泥沼へと一歩足を踏み入れていく。 本名、エドモン・ダンテス。マルセイユの前途有望な船乗りだった彼は、知人たちの陰謀から無実の罪で捕えられ、14年間の牢獄生活を送る。脱獄を果たし、莫大な財宝を手に入れたダンテスは、モンテ・クリスト伯と名乗ってパリの社交界に登場し、壮大な復讐劇を開始する…。 文庫本で7冊の大著である。物語に多少「できすぎ」の感もあるが、そんな懸念をすぐに吹き飛ばしてくれるほど波状に富んだ展開で、息をつく暇もなく読み通してしまう。フランス文学の大著といっても、机に向かって姿勢を正して読む、というよりは寝そべりながら読むうちについ夜更かししてしまう、というタイプの作品である。 何と言ってもこの小説の白眉は、伯爵の用意周到かつ執拗な復讐の過程である。着々と目的を遂行していく姿が、心理描写をいっさい排した文体で描かれ、後年のハード・ボイルド文学をも連想させる。 復讐の物語にハッピー・エンドはあり得ない。もしあるとすれば、主人公がどこかで「妥協」を見出す必要があろう。モンテ・クリスト伯が最後にどんな選択をするのかも、読みどころのひとつである。(三木秀則)

最も解かり易く且つ雰囲気をつかんだ翻訳だと思う。

この書の翻訳の文体は、神曲の原本が3行詩の形式で書かれている点を踏襲しており、加えてリズムの良い翻訳を施している。そのため神曲の感じを非常に良く伝えている上、区切りの良い文章のため読みやすい。一冊で神曲が全てのっているのも良い。集英社等も神曲を出しているがそれらと比較しても格段に理解しやすい名訳だと思う。
ブラックライト〈下〉 (扶桑社ミステリー)
ブラックライト〈下〉 (扶桑社ミステリー)
扶桑社
price : ¥700
release : 1998-05

男から男達へ?二世代の物語

ダーティーホワイトボーイズもテーマは「父性の復権」でしたが、
今作のブラックライトも父と息子、二世代にわたる男たちの物語と言えます。

著者のスティーブン・ハンターは、主人公のボブ・リー・スワガーの活躍と
脇役たちのエピソードを通じて父と息子のあるべき関係や父親像を執拗に追
い求めている気がします。(少しベタな表現ですが)

「極大射程」は男(個人)の物語でしたが「ダーティーホワイトボーイズ」「ブラックライト」は男達(父と息子)の物語です。
次作の「狩りのとき」が、どのような展開をみせるか楽しみです。

それと本シリーズの特徴である銃器にまつわる詳細な記述は、素材である金属を
イメージしての「冷徹さ」や銃弾の「冷酷さ」などリアリティと「男の道具」として
比喩を持ち合わせていると思います。
赤毛のアンに隠されたシェイクスピア
赤毛のアンに隠されたシェイクスピア
集英社
price : ¥1,995
release : 2001-01

博識な女性モンゴメリ

作者モンゴメリに対し、新たな尊敬を呼び起こす作品。
心臓を貫かれて〈上〉 (文春文庫)
心臓を貫かれて〈上〉 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥700
release : 1999-10

みんなはこの本を読んで、いったいどんな感想を持つのだろう?

本書を読んで強く感じたのは、人間の暗部の底知れぬ怖さである。本書が、あまりにも暗い地獄の底から叫び続けているのは、家族にとりついた悪霊の執拗な追跡なのだ。
ゲイリー一家がたどる歴史は暴力の歴史であり、影の歴史であり、悲しみの歴史だった。なぜ、この家族がこんな歴史をたどったのか。毎日繰り返される両親のケンカ、父親の絶対君主的空間で繰り広げられる理不尽な折檻。そんな環境の中で育つ子は、歪んだ人間として成長してゆく。
まるで、目の前で見ているかのように繰り広げられるこの家族の血の歴史を、どうにもできない自分が歯がゆく思われてくるほどだった。砂の城が崩壊するがごとくに崩れてゆくこの家族に何もしてあげられないこのやりきれなさよ。
かくしてゲイリーは自ら叫んだ死へのぞみ、銃殺刑となる。兄のフランクは、自分の出生の秘密も知らず、ただ一人母からの愛を受けられず、しかし最後まで自分の人生を犠牲にしてまで母の面倒をみ、零落れた生活を強いられる。末弟のゲイレンは、ゲイリーに近づこうとして歪んだ人生を踏襲し、若い命を毟り取られてしまう。両親は、自らの血の歴史に呑み込まれいつも何かに怯え、あまりにも不幸な人生をとじることになる。
唯一マイケルだけがこの恐怖の世界から抜け出し、真っ当な人生を送っているというわけだ。だがマイケルも家族に残されたトラウマによって、かなり辛い日々を送っている。どうだろう?このとてつもなく重たい本から何が得られるだろう?ぼくは、この本を読んで家族愛に目覚めた。子に対する愛情の大切さを知った。この本を読んだ他の人たちは、いったいどういう思いを抱いたのだろう?
もう一度あなたを (ライムブックス)
もう一度あなたを (ライムブックス)
原書房
price : ¥920
release : 2006-12

幼い恋は切なくて貴くて

皆さんがこの物語にはまってしまうのは、冒頭から始まる二人の幼い恋のシーンがじつに丹念に描かれているからでしょう。
身分違いは二人とも百も承知、どんなに好きでもやがて別れが近いことも。だから切なくて貴い。そして思いがけない、最悪の形で別れはやってきます。
ここまで読んだらもう切なさに鷲掴みされて一気読みでした。
他の登場人物の心情も丹念に描かれています。何度でも読み返してしまう作品です。
13ヵ月と13週と13日と満月の夜
13ヵ月と13週と13日と満月の夜
求龍堂
price : ¥1,260
release : 2003-05

大人も楽しめる辛口ファンタジー

表紙を見た印象から、楽しい感じのファンタジーかな、と思って気軽に読み始めたら、とんでもない!
あまりの怖さに、最後の一ページをめくり終えるまで、本を置くことができなかった。
魔女たちの向ける、純然たる悪意のすさまじさ。
何も悪いことをしていないのに、むしろ親切にしようとしたのに、こんなにひどい目に遭わされてしまう、という理不尽さ。
そして、誰一人、味方はおらず、家族すらも自分の言うことを信じてくれない、という絶望感。
最後の最後まで、どうなるのか分からず、時に憤り、時に怯え、時にエールを送りつつ、文字通り手に汗を握りながら、一気に読み終えた。
読み終えて、今与えられているものの大切さを改めて感じさせられた。
翻訳もこなれており、生き生きとした訳文はすんなりと読み易かった。
大人も楽しめる、ちょっと辛口なファンタジー。
ブラックホーク・ダウン〈下〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)
ブラックホーク・ダウン〈下〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)
早川書房
price : ¥693
release : 2002-03

混乱

約15人隊員が居るので誰が誰だかわからなくなってしまうかも知れません。でもそこを除けば面白いと思います。
鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
白水社
price : ¥998
release : 1993-10

ただカフカ的なだけじゃない

「ファンショー」を「フィクション」に読み替えて、
オースターがフィクションの創作に関して何かを掴むまでのプロセスの
最終段階の物語としても読めます。特に後半、特に第8節の途中以降は
著者が書く際、「フィクションは……」などと書いて後から
「フィクション」を「ファンショー」に一括変換
したのでは?と思うぐらい(笑)そのように読むと
いろいろおもしろいことを言っているので是非試してみてください。
モンテ・クリスト伯〈4〉 (岩波文庫)
モンテ・クリスト伯〈4〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥798
release : 1956-01

復讐序曲。

この巻では、伯爵が復讐へむけて、着々と準備を進める様子が語られます。
新たに登場する人物たちは伯爵の復讐とどのように結びつくのか?
オートイユの邸宅での晩餐会に出席したヴィルフォールは
そこで何を感じたのか?
期待を膨らませる構成となっています。

また、合間にマクシミリアンとヴァランティーヌの話。

ヴァランティーヌと1巻に登場したノワルティエ老人の話などが織り込まれ、
後半に向けての物語の盛り上がりを期待させてくれます。

あなたは、マクシミリアンのような恋をしたことはありますか?
ヴィルフォールのような後ろめたい出来事はありませんか?
前者なら、素敵なことですね。

後者なら・・・あなたにも伯爵のような人物の手が伸びているかもしれませんよ。

愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)
愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)
中央公論新社
price : ¥1,155
release : 2006-07

どの話も漏れなく印象的。

カーヴァーの翻訳は村上春樹さんの手によってたくさん紹介されています。
それにもかかわらずあえて原書を読み解く意義はないのかもしれませんが、たまたま手に入ったので原書で読みました。
アメリカの労働者階級の悲哀を見事な筆致で描き出している、と言った文脈で語られることが多いカーヴァーですが、それよりもあの退屈なアメリカの田舎(行ったことのある人にはうなづいてもらえると思います)を描いているのに、どの話も漏れなく印象的なところが素晴らしいです。
チェーホフと並んで、非常に良質な短編作家です。

タイトルが長いけど素敵だなと思っていたのですが、これが同タイトルの短編では酔っ払い寸前の人の発言として出ているのに唸らされました。
翻訳は未見ですが、村上春樹なのではずれではないのでしょう。
でも原書を読む価値も多分にあります。
英語の勉強の一環として、是非。
バタイユ入門 (ちくま新書)
バタイユ入門 (ちくま新書)
筑摩書房
price : ¥777
release : 1996-09

わかりやすい!

この「バタイユ入門」は本当にわかりやすい。
バタイユは難解な思想家であったが、本書はそんなバタイユ研究がとっつきにくい学問であることなど、忘れてしまうくらいに、わかりやすく、その思想とやらがまとまっている。
バタイユの生い立ちから始まり、シュルレアリスムとの関係なども盛り込んであり、バタイユを一通りおさえている。
物足りない、、、と感じる人もいるかもしれないが、バタイユに興味が湧いて、何か書物でも読んでみようかな、と思った人がまず手に取るにはよい一冊だと思う。
難しいバタイユ関係の書物を手にするより、これから、バタイユの本をなんかしら読んでいくには、まず、読んどいて、そのつぼをおさえられる、とでもいっておこうか、そんな本である。
ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)
ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)
筑摩書房
price : ¥945
release : 1998-02

強敵と書く「とも」も、全裸オチも

『ギルガメシュ叙事詩』です。ちくま学芸文庫です。
表題となっているギルガメシュ叙事詩は266ページ中110ページ弱の分量です。それ以外は、はじめに、解説、参考文献、『イシュタルの冥界下り』とその解説、付録として『「天の牛」神話の起源』『古代アルメニアに象はいたか』の二本の小論、あとがき、で構成されていて、ギルガメシュ叙事詩に迫る上での外堀埋めのような感じです。

ちくま学芸文庫から出ていることからも分かる通り、楔形文字で刻まれた最古の世界文学といわれているギルガメシュ叙事詩を学術的に読み解いたものです。
実在人物とされる王ギルガメシュの冒険、強敵と書いて「とも」と読みそうな分身エンキドゥとの闘いとあつい友情、杉の森の怪物フンババ退治、永遠の生命を求める旅、ノアの方舟の原型ともいうべき大洪水。『イシュタルの冥界下り』では女神イシュタルが、死者を連れ戻すために冥界に降り、七つの門で一つずつ身に着けている物を剥ぎ取られ全裸になる、など、エピソードは非常に豊富で面白いです。

ただ、書板に刻まれた原文に欠損が多いせいもあって仕方ないのですが、文学、あるいは読み物神話として読もうとするとちょっと読みにくくて難解です。
もちろん、考古学史料として読むなら非常に有用だと思います。ギルガメシュ叙事詩自体を本格的に扱った書籍がそもそも少ないですから。

「赤毛のアン」の生活事典
「赤毛のアン」の生活事典
講談社
price : ¥2,520
release : 1997-01

物語がもっと面白くなった!

アンの時代、小説の舞台となったプリンスエドワード島の村や町、カナダの事、当時の生活が詳しく紹介されています。索引付きでまさに事典です。ファッションスタイルはドレスの素材や仕立て方、平均的枚数、下着の種類まで、住居はキッチンからダイニング、水周り、生活習慣、選挙や宗派、祭事、交通、島の植物まで、充実した内容に知識も深まります。当時の写真、記事も豊富に掲載され、物語に出てくるものが殆ど理解できます。驚いたり感心したり、そして「赤毛のアン」を改めて読み直すとイメージがはっきりして以前はピンとこない場面もよく理解でき、ますます物語りを楽しめます!
ハックルベリー・フィンの冒険〈上〉 (岩波文庫)
ハックルベリー・フィンの冒険〈上〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥588
release : 1977-08

アメリカを感じる本

120年以上前(南北戦争よりちょっと昔)のアメリカで書かれた小説であり,ヘミングウェイも絶賛したことで知られるトウェインの名作。

アル中の父親から逃げ出したハックと奴隷支配から逃げ出したジムとが織りなす冒険の日々は,そのまま現代アメリカの児童虐待と黒人差別の問題に連なっているように読める。
これらの問題がアメリカの「陰」であるとすれば,彼らの求めた「自由」こそがアメリカの「光」(=デモクラシー)の源なのかも知れない。

冒険の末に彼らを待つ運命は,果たして救いのあるものと言えるか言えないか。

『ライ麦畑でつかまえて』などを読んでアメリカを感じられた方には,ぜひ,ハックの冒険もお読みいただきたい。大人が読んでこそ感じるものの多い作品だと思うので。
高校生のための小説案内
高校生のための小説案内
筑摩書房
price : ¥1,155
release : 1988-04

日本語の豊かな表現力、多様な文体の可能性を体感させる『小説案内』

読書好きほど読むジャンル、好む文体が偏ってくるようである。自分が気づかなくとも、この学生のために編まれた『高校生のための』三部作に目を通していると思い知らされる。「こんなに多様なテーマ、文体があったのか」と自分が井戸の中の蛙ではなかったかと身震いがしてくるほどである。本書はもともと学生のためのものであるが、多忙で自分の好む、あるいは必要な本しか読めない社会人にとっても、短文読み切りで手軽に紐解くことができ、日本語が本来持っている豊かな表現力、多様な文体の可能性を体感させてくれる役立つアンソロジーである。『小説案内』に収録されている40編の代表的な書き手を掲げると、中島敦、スタンダール、野上弥生子、金石範、宮沢賢治、三島由紀夫、二葉亭四迷、ヘミング?ウェイ、井伏鱒二、シートン、佐藤春夫、トーマス・マン、谷崎潤一郎、島崎藤村、大江健三郎らである。編者の小文である【手帖】も一読に値する。
神曲
神曲
河出書房新社
price : ¥3,990
release : 1992-03

最も解かり易く且つ雰囲気をつかんだ翻訳だと思う。

この書の翻訳の文体は、神曲の原本が3行詩の形式で書かれている点を踏襲しており、加えてリズムの良い翻訳を施している。そのため神曲の感じを非常に良く伝えている上、区切りの良い文章のため読みやすい。一冊で神曲が全てのっているのも良い。集英社等も神曲を出しているがそれらと比較しても格段に理解しやすい名訳だと思う。
完訳 グリム童話集〈1〉 (岩波文庫)
完訳 グリム童話集〈1〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥798
release : 1984-01

物語の原形を見た。

どうせ読むなら初版本の訳じゃなきゃなあ、なぜってグリムが初版に手を入れて決定版に至るまでに、例えば「母親」を「継母」に書き換えたとなると、どうしても洗練される前の初版に触れてみたいと思った。そこで他文庫の初版本の訳選集を立ち読みしたが、これが子供の絵本調になっていたのでガックリ、全く読む気がしない。

岩波文庫は決定版に加え初版から削られた話を含めて全5冊、多いなあと思いつつ頁をめくると訳がいい。中にはこれは日本の昔話なのではと感じてしまう程の訳まである。

不思議なことにどこにでもあるような話もある!? 例えば竹取物語似。どっちがオリジナルか、それともシンクロかはわからないけど。
何回かリピートして増幅しながらの変奏、あっけない結末というパターンものも幾つかある。
単に残酷なだけで終わる話から、人間の欲や、貧乏と王様王妃との世界の落差、神通力、恩返し、因果応報等が表出される。物語の原形を見た。

遊びと人間 (講談社学術文庫)
遊びと人間 (講談社学術文庫)
講談社
price : ¥1,260
release : 1990-04

すべてに適用できる興味深い視点があります

アゴン、アレア、ミミクリ、イリンクス、の四つの要素が単に遊びの要素だと言いたかった<だけ>ではない。そこがじつに面白い内容のです。実際にはー、人間のすべての生真面目な活動や、重要だと思われるすべてが、このような遊びから、発しているかもしれない、という視点の転換を促すような問題作でもあります。人間の文明の活動の隣に昆虫の世界の現象を提示したりしながら、カイヨワはアナロジカルに人間が営んでいる文明の優位性というようなイメージの払拭を図っているかに見えます。ミミクリ・イリンクス的な原始文化から、アゴン・アレア的な文化が生じることを文明化と呼ぶ、というようなくだりから、この傾向は顕著になります。ちょっと宇宙人的な視点に目眩を感じるには絶好の本です。
荒野のおおかみ (新潮文庫)
荒野のおおかみ (新潮文庫)
新潮社
price : ¥540
release : 1971-02

市民と英雄

小説はフローベールあたりで形式が完成した。主体的個人、客観描写、作者の論説の排除といった約束事もできあがった。これはアトム的個人が社会を構成するという市民社会のパラダイムに適合していた。ところが「無意識」というものが発見され、戦後は「構造」という概念が出てきた。これらを19世紀流の小説作法で表現することは不可能だ。で、方法論上の実験が錯綜し、殆どの現代小説は退屈になってしまった。ところが中には成功した作品もある。これはその希少例の一つだ。ユング心理学の影響下で、作品を1、客観描写2、主人公による小説内小説3、心理学的論考4、小説内小説の中に更に主人公の夢想が出てくる。という複雑な構成を取ることで、20世紀知識人の心理分析に成功している。2、3は主人公の無意識世界。4はドイツ人の集合無意識であろう。主人公は「市民的生」の原理である「幸福」「最大多数の最大快楽」「安寧」といった平板な生の次元に全然満足できぬ。彼の目指すのはいわば「英雄的人生」ともいうべきもの。市民的な一次元的生など破壊しても惜しまない。画家にも独裁者にもなれなかったヒトラーをどこか想わせる男だ。19世紀の快楽主義的人生観には限界がある。人々を突き動かすのは快楽などではない。ニーチェの言う権力意志、死の衝動、艱難辛苦を喜ぶ意志、燃え尽き灰になるまで生を焦がす激しい脱我的欲望だ。ヒトラーは人々の中に潜むこれらの激情を熟知し利用したのだ。市民的快楽と別次元のこういう激情をどう調和させるか。ヘッセにも分からないらしい。(ただ元型的人物ゲーテとモーツアルトそして内なる異性の三者は共に「ユーモア」という観念を口にする。)わからぬまでもヘッセはこの作品で自己分析を済ませたことで、ナチズムの魔力から超然としていることができた。
気まずい二人 (角川文庫)
気まずい二人 (角川文庫)
角川書店
price : ¥560
release : 2000-02

リアルな気まずさ。

三谷幸喜さんとゲストが月刊誌で毎回、対談していくという企画を1冊にまとめたものです。
なんだ?ただの雑誌の対談をまとめただけかよと思わないでください!
こんなおもしろい文章はあったのかと。そしてこんなに気まずい対談があるのかと...。
三谷さん自身が再構成しているモノで、まるで脚本みたいで簡単に読める文章です。

基本的には対談なので
三谷「......ですよね?」
ゲスト「そうですね。」
みたいな感じに進んでいきますが。毎回ゲストと三谷さんの会話の噛み合なさが、気まずく面白い。
そして、三谷さんのあの感じが目に浮かびます。三谷さんの困った顔が、もじもじした感じが。笑


ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)
ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)
早川書房
price : ¥693
release : 2001-11

しんしんと降る雪のような悲しみ

著者の前作「悪童日記」の結末の直後から始まる正に続編。訪る人も限られた活気のない国境の町で、淡く静かな物語が綴られていきます。

戦争は終ったが結局支配者が入れ替わっただけ、さらに混乱期にあった密かな自由もここにはない。街中ひっそりと息をひそめて何事も起きないように生きるだけの毎日。
主人公リュカは、不幸な境遇の果てに命を絶とうとした若い母と幼子に偶然出会い、3人によるかりそめの家庭、そしてもうひとつの愛を求め彷徨い続けます。そして、この片田舎の静かな生活の中に更なる悲しみが次々押し寄せて来ます。
「悪童日記」で悲惨な境遇を跳ね返していたのとは真逆に歯車が周りだしたかのような印象がありました。そして、またもやあっと驚く衝撃の結末。

「悪童日記」を愛したすべての読者が同じ満足を得られるというものでもないとは思いますし、感動を安売りするような物語でもないとは思いますが、前作に続いて、感情表現を極力排した文章によって、心の奥につき刺さるようなしんしんと降る雪のような悲しみが印象的な作品だと思いました。
そして、数奇な運命の双子の物語は更に意外な展開を見せて、次作「第三の嘘」に続いていきます。
ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
早川書房
price : ¥840
release : 2000-11

4部作の幕開け

 長大な4部作の劈頭を飾る秀作です。この作品の場合、ほどよい長さの連作中篇集といったおもむきですが、うまく書かれています。それにしてもいきなり雷鳴の中、宇宙船でラフマニノフを弾く領事、ですからね。この大風呂敷にはやられてしまいます。
 ただ謎を提示しただけで終わってしまうのでずるいといえばずるいのですが。その謎は「没落」でちょっと強引に解決されます。
阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)
阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥630
release : 1981-01

『吶喊』

去年、魯迅公園だとか魯迅博物館に行って以来、
読まなきゃと思っていた魯迅。
国慶節で日本に帰ったときに、ヨメが買ってきていました。

魯迅の最初の作品集である『吶喊』(とっかん)をそのまま
再現した短編集。
冒頭の「自序」を含めて15作品が収められています。

中国近代文学の父と呼ばれる魯迅が、20世紀初頭、
清代末期から中華民国の時代までの、中国人民の
苦悩を皮肉も交えて描いています。
どこかで感じたことのある雰囲気だなと思ったら、
日本の明治の文豪、夏目漱石と会い通じるところが
あるように思えます。
古い価値観と新しい価値観の狭間の中で揺れ動き、
世を憂う心。

代表作である「阿Q正伝」だとかは入っているのですが、
日本にもゆかりの深い「藤野先生」は収録されていません。
別の文庫には入っているみたいですが。
機会があったら、読んでみたいですね。


トワイライト〈3〉闇の吸血鬼一族 (トワイライト 3)
トワイライト〈3〉闇の吸血鬼一族 (トワイライト 3)
ソニーマガジンズ
price : ¥1,000
release : 2005-09

乙女読みにはおすすめ

甘あま?な二人の関係が魅力なんですよね。
乙女読みをしたい方は、絶対読むべきな作品のひとつです。

全米で10万部突破だそうです。
幸せな王子
幸せな王子
リトルモア
price : ¥1,680
release : 2006-02-20

子ども用ではありませぬ

この本、決して子ども用ではありません。
読み聞かせても、なかなか分からないと思うし、
子ども向けに書かれた本でもありません。
語彙を見れば分かると思います。
絵本、という体裁をとっていますが、
100%大人向けの本です。

泣けます。

美しいです。

他に形容する言葉が見つかりません。

同じ清川さんの「人魚姫」も好きですが、
物語の内容としては
こちらの方がさらに好きです。

美しく、心が清らかになる気がします。
心のデトックスとでもいうような。

先日、ある書店に行ったら、
この本が普通に子どもの絵本コーナーに「のみ」
置かれていました。
ちょっと違うと思うけどなー。

子どもの絵本コーナーにも「あっても」
いいかも知れませんが、これはあくまで大人用。
大人のコーナーに置いてくれなくては!
乙女コーナーに置いてあったある書店を見て
「やっぱりね、普通そうだよね」と思ったのでした。

余談ですが。
内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫)
内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫)
東京創元社
price : ¥882
release : 1997-09

SFからファンタジーへシフトしたようです。

ガニメアンシリーズの最終話。
前作の架空戦争で敗北を喫し、ガニメアンの管理下になった惑星ジュヴレン。平和に向けて進んでいるのかと思いきや、ジュヴレン人の中では妙な新興宗教が次々に発生しお互いに対立を始めた。対応に苦慮したガルースは遥か地球の友人ハント博士の助けを求めた。かくしてハントはダンチェッカーとともにジェヴレンへ赴く。

シリーズ初期の頃はこれ以上ないというほど純SF作品だったが、だんだんリアルな科学検証のシーンが減ってエンターテイメント色が濃くなってきた。だから作品が面白くなくなったかといえば、全くそんなことはないが、毛色が変わってくるのは「星を継ぐもの」ファンとしては少々寂しい気もする。

今作では宗教や種族の溝が事件のきっかけになっている。ガニメアンは相互理解を深めようといろいろ手を打つが、ジェヴレン人には全く通用しない。両者の間には根本的な世界観の違いがあって、それが大きな障害なのだが、お互いそんなことは知る由もなくただ不満を募らせるばかり。なんだかそれってどこかで聞いたような話だ。読みながら、現実に起こっている世界各地の紛争に考えがいってしまった。地球人同士だって理解しあうのは並大抵のことではないのだから、宇宙人でしかも争った過去があり現在権力的に上下になっていれば、いくらガニメアンが温厚な種族といったって無理がある。ジェヴレン人は何やらよからぬことを企んでいるようだし、下巻で話がどう転ぶか楽しみだ。

ちなみに人口頭脳ジェヴェックスの幻想を体験したいのだが、これって現実逃避だろうか…。
ホメロス オデュッセイア〈下〉 (岩波文庫)
ホメロス オデュッセイア〈下〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥735
release : 1994-09

なぜペネロペイアの求婚者たちはオデュッセイアの家産にたかるのか?

紀元前のギリシアを舞台にしているにもかかわらずほとんど違和感なく楽しめる。ただ,オデュッセイアの不在中にペネロペイアの求婚者たちがオデュッセイアの家でさんざん飲み食いするという状況がなぜ発生するのかよくわからない。どういう社会構造なんだろう。あと,神様と人間があちこちで同衾してしまうというのがこすばゆいような不思議な感じがする。
ジェイン・オースティンの読書会
ジェイン・オースティンの読書会
白水社
price : ¥2,520
release : 2006-01

オースティンの作品と物語の調和の妙

映画を見て読みたくなった本です。

ジェイン・オースティンの6編の作品を読書会という形で扱い、その読書会に参加する6人の男女を中心とした人間関係を、それぞれの作品に上手く組み合わせています。
更に、この作品自体もオースティンの作品の匂いを感じさせてくれます。
登場する6人もそれぞれ全く異なったキャラなのですが、何となく惹かれるところがあり会ってみたくなります。

まだ、オースティンの作品を全作読んでいないので、是非、読みきってもう一度読み直したい作品です。きっと、もっと楽しめると思います。
草の竪琴 (新潮文庫)
草の竪琴 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥460
release : 1993-03

極上の小作品。音色の様に響く言葉達。

数あるカポーティ作品の中でも大好きな一冊で、読む度に心にしみる、詩的で美しい文体には飽きる事がありません。
カポーティの感受性の強さ、その感覚的な作品世界は「遠い声、遠い部屋」でも存分に発揮されていますが、今作では遠い声?の様な難解さがなく、幻想的な表現や凝った構成もないので、比較的作品世界に入り易く、リーダビリティの高い作品に仕上がっているので、カポーティの入門書としては特にお薦めです。
現実社会の規範にうまく折り合いをつけていけない未熟な心を持った少年コリンと、初老の親戚ドリー、そして友達のキャサリン。彼らが現実から逃れ過ごした樹の家での煌めく様な日々を描きながら、憧憬に思いをはせる切なさや、夢の様な家では永遠に住み続ける事などできないという現実の厳しさなど、人生の機微を豊かに彩っています。


"―秋、九月の下旬に見にいくといい。茜色に染まった草原に炎のような深紅の影がゆるやかにうねり、秋の風が乾いた草の葉をかきならして、吐息にも似た旋律、さまざまな声の竪琴の音を響かせている。"


チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)
チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)
理論社
price : ¥1,260
release : 1999-02

親子で一緒に!

私は2人の子供(10歳と5歳)にこの本を毎日寝る前に1章ずつ読み聞かせをしました。子供たちは続きが気になって仕方がなかったようで、夜になるとさっさとお風呂に入り、自ら寝る準備をしてくれました。そのくらい面白いのです。読み聞かせをしている私自身も先が楽しみでした。5歳の子も、読み聞かせだったら十分楽しめます。年齢に関係なく楽しめる本です!
闇の守り人 (偕成社ワンダーランド)
闇の守り人 (偕成社ワンダーランド)
偕成社
price : ¥1,575
release : 1999-01

バルサ再生の物語

〈守り人〉シリーズの二作目にして、
最高傑作との呼び声も高い本作。

以下に三つの観点を挙げ、本作に内包する
テーマを探っていきたいと思います。


◆捏造される「正史」

 前作の新ヨゴ皇国と同様、本作の舞台となる
 カンバル王国でも為政者が自分達に都合の良い
 歴史をつくり上げ、民衆に信じ込ませています。

 どんな歴史も「物語」であることから逃れられない
 以上、「正史」とは、その時々の勝者が敗者を排斥
 してつくり出した一方的なものに過ぎません。

 しかし、かといって「正史」のすべてが悪であったり、
 無意味なものというわけではなく、国を治める上で
 欠くべからざるものでもあるのです。


 かくして「真実」は闇に沈み「物語」が
 世を覆いますが、いつの日か「真実」が
 復讐に現れる、というのも歴史の必然です。


◆自然との交感

 人は社会的な存在である以前に、自然体系に属する生命体です。

 しかし、我々より、はるかに自然と密接な共生をしている
 カンバル人でさえ、そうした事実を忘れ、自然への畏敬や
 感謝を失っている実態が描かれます。

 そんな人達が物語の終盤で体験する〈山の王〉の秘儀は、
 自然との原初的な関わりのイメージが荘厳に視覚化されて
 おり、生命の本質や繋がりが見事に表現されています。


◆人間心理の陰影の深さ

 バルサがジグロに抱く気持ちは単純なものではありません。

 自分を救い、育ててくれたことへの感謝は当然
 ありますが、同時に、自分がジグロの人生を
 狂わせたという罪悪感も抜きがたく感じています。


 そんなバルサが〈闇の守り人〉たるヒョウルとの対決
 のなかで「死と再生」を遂げることにより、ジグロの
 魂だけでなく、自分自身の心も救済しています。
 
 

 
 
古事記―マンガ日本の古典 (1) 中公文庫
古事記―マンガ日本の古典 (1) 中公文庫
中央公論新社
price : ¥620
release : 1999-06

強?い女の子たち……古事記の入門編としてはベスト

石ノ森章太郎さんの描く古事記コミックス版です。
語り部の太安万侶氏がいい味を出していまして
古事記本編への突っ込みがなかなか笑わせてくれます。
時々石ノ森先生も出てきます。
要点をかいつまんだダイジェスト編ですが、
この漫画の特色としては
女の子にかかわったお陰で男の神様が歴史を動かす
というパターンが多かったこと。
実際古事記の女神様もこんな感じですが
この漫画ではそれをちょっと強調しています。
したたかで我の強い女の子、純然な乙女の涙で奮い立つ男の子。
個性的な登場人物ばかりですが石ノ森さんの独特な作風で嫌味に感じません。
最上神として天上天下唯独尊のアマテラスも微妙な匙加減で美しく可憐です。
肩の力を抜いて読める漫画ですので古事記入門編としてはベスト。
興味のある方は是非一読してください。
うたかたの日々 (ハヤカワepi文庫)
うたかたの日々 (ハヤカワepi文庫)
早川書房
price : ¥630
release : 2002-01

愛ゆえに

最後のページをめくるまでコランとクロエのしあわせを願い続けた。
もちろんシックとアリーズ、ニコラとイジスのしあわせも合わせてだ。
おっと!ハツカネズミくんも忘れちゃいけない。まぁ、忘れるわけもないけれど・・・
読み終えると沸々と怒りがこみあげ、作者であるボリス・ヴィアンに憎しみすら覚えた。
「愛ゆえに」
それに気付いたのは読み終えてから2日目のことだった。
ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
早川書房
price : ¥840
release : 2000-11

4部作の幕開け

 長大な4部作の劈頭を飾る秀作です。この作品の場合、ほどよい長さの連作中篇集といったおもむきですが、うまく書かれています。それにしてもいきなり雷鳴の中、宇宙船でラフマニノフを弾く領事、ですからね。この大風呂敷にはやられてしまいます。
 ただ謎を提示しただけで終わってしまうのでずるいといえばずるいのですが。その謎は「没落」でちょっと強引に解決されます。
百頭女 (河出文庫)
百頭女 (河出文庫)
河出書房新社
price : ¥1,008
release : 1996-03

こんなに面白い本がある。

読み手次第で万華鏡の様にその世界観を変容させるエルンストの代表作。シュルレアリスム芸術に関心のある人にとっては欠くことの出来ない書であり、また、単純に何となく本作に惹かれてしまった人も、本作は誰にもでも「読む」ことが出来る作品なので、是非一度その摩訶不思議な世界に触れてみて欲しい。言葉よりも先に、感覚で感じ取れる芸術本来の凄みが、醍醐味がそこにはあるだろうから。
高慢と偏見〔新装版〕 (河出文庫)
高慢と偏見〔新装版〕 (河出文庫)
河出書房新社
price : ¥893
release : 2006-02-04

最高のお話なのに・・・

「ブリジットジョーンズの日記」でもおなじみになった、高慢と偏見。一番安い本をと、この文庫を買いました。内容にどんどんひきよせられて、一気に読みきってしまいました。多くの作家が、好きな作家にジェイン・オースティンの名をあげる理由がわかります。が、訳が古い!!また、地名がアスタリスクで表記されている等、んん??ってところが何箇所か。他の訳でお読みになることをお勧めします。
はやわかり!!ライトノベル・ファンタジー
はやわかり!!ライトノベル・ファンタジー
小学館
price : ¥880
release : 2006-08

基本的なこと

とても基本的なことが書いてあります。
第一章で30日で書けるような流れが書いてあります。
30日で書けるかどうかは別として、普通のお話をどんな風に変化させたら
違うお話になるのか? そんな感じの流れになっています。

第二章でファンタジーには欠かせない要素が書かれています。
これは勉強になりました!

第三章でファンタジーの本の紹介。
昔のファンタジー本が多かったように思いますが、基本的なファンタジーが
押さえてあってなかなかラインナップよかったように思います。

インタビューに榎木洋子さんです。

対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選〈3〉 (岩波文庫)
対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選〈3〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥588
release : 1998-11

dickinsonの詩世界。入門の一冊

1頁目をめくるとemily dickinsonの、おそらく最もよく知られた16歳の時の肖像画が一面に載っている。ドレス姿で髪を後ろに結わえ、特徴ある大きな瞳、少し面長でじっと正面を見据えているあの写真。彼女の詩集は他に思潮社や国文社からも邦訳で出版されていて、やはり幾つかの書籍でポートレイトを確認できるけれど、私はこの岩波文庫に大きく載っている写真が一番好きだ。彼女の書いた詩そのもの…と云える風情/表情をはっきりと確認できる。

dickinsonの詩は一読すると、優しい言葉で非常に難解な事を謂っている様に思ってしまうのだが、私は彼女の特異な語彙は、“対象を出来うる限り紛れなく”…認識しようとした結果なのだと常々感じている。

…この文庫はdickinsonの2000近くに渡る詩作品のうち、厳選された50ほどが載せられた。掲載詩は少ないものの文庫という点を踏まえれば、これでも適当といえるだろう。安価で原文(英語)と邦訳の両方の載った書籍はこれだけのはず。彼女の詩は常に様々な解釈がなされ、今も検討が繰り返されているため、“完璧の邦訳”…は特に至難だと思う。実際に上記複数の出版社から出ている邦訳とはかなり謂い回しの異なる訳がある。読者はこれをキッカケにしてより入り込んでdickinsonの詩を探求するなら、この一冊に留まらないで、ぜひ出ている他の書籍も手にとって欲しいと思う。

余談だが、本文庫には私の愛唱する“わたしは手に宝石を…”が入っていてとても嬉しい。これは深読みをする要はなく、ただただ澄み切った“言葉の光沢”を感じてため息をつくのみ…というもの。これもたしかに彼女の一面である。
ウォールデン 森の生活
ウォールデン 森の生活
小学館
price : ¥3,045
release : 2004-04

贅沢とは

とても面白かったです。
本当の贅沢とは何かを教えてくれました。
ソローの様な思想があれば、温暖化も阻止できると思います。
資本主義は人を不幸にしているのかもしれません。
もう少しソローが観た風景画でもあれば、更に良かったと思います。
私説昭和文学
私説昭和文学
アーカイブス出版
price : ¥1,260
release : 2008-02-26

巨匠の筆が走った名作復刊

長いことビックコミック系の雑誌に長編を発表し続けてきた作家だが、
『岳人列伝』を始め、その短編にもきらりと光るものがある。
この作品は、当時上製版で出たためか手に入りづらく見たことがなかったが、
装丁のすばらしさに惹かれて手に取った。

期待にもれず、純文学していてすばらしかった。
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