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DATE: CATEGORY:・評論・文学研究
ロビンソン・クルーソー〈上〉 (岩波文庫)
ロビンソン・クルーソー〈上〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥798
release : 1967-01

人間の存在意義を考えさせられた

子どもの頃に読んだ話とは、全く違っていて、
本当に驚きました。
『ガリバー旅行記』をきちんと読んだときと同じほどの
衝撃でした。
ただの無人島でのサバイバル冒険譚ではありません。
人間の存在意義や文化の違い、信仰といったことを
決して説教くさくなく、考えさせてくれる素晴らしい作品です。

だからといって冒険譚としてのおもしろさも十分にあります。
サバイバルな世界を二次体験したい人も十分満足させる内容だと思います。

子どもの頃、子供向けに書かれたものだけを読んで、
そのままになっている人に、ぜひ読んでもらいたい1冊です。

三島由紀夫―剣と寒紅
三島由紀夫―剣と寒紅
文藝春秋
price : ¥1,500
release : 1998-03

なんだかちょっと・・・

三島由紀夫作品が好きなので、こちらも興味をそそられて購入しました。
ただ、ちょっと筆者の主観的な妄想のような回想が入り過ぎていて
読みにくいというか、濃すぎて飽きてきてしまいます。

小説なのか、自伝なのか、立ち位置をしっかりしてほしい。
そうでないと、ゴシップ本の域を抜けないでしょう。

三島由紀夫の一部分を知る上では、良書だと思います。
金田一耕助The Complete―日本一たよりない名探偵とその怪美な世界 (ダ・ヴィンチ特別編集 (6))
金田一耕助The Complete―日本一たよりない名探偵とその怪美な世界 (ダ・ヴィンチ特別編集 (6))
メディアファクトリー
price : ¥1,575
release : 2004-06

我々に強烈な印象を与えた犬神佐清の仮面と両脚

この書物についての魅力は先の大将さんとサマンサさんが全てを語りつくしているので私が今さらとやかく言うつもりはありません。
金田一といえば、『犬神家の一族』につきるのですが個人的には横溝ブームの仕掛人である角川春樹氏の復帰第一声ともいえるインタビューが一番興味を示しました。
以前、何かの話で角川映画公開以前『犬神家の一族』の読者の人気度は1位『八つ墓村』2位『獄門島』3位『悪魔の手毬唄』の次の4、5番人気であることを耳にしたことがあるのですが映画公開以後はみなさんも御存知のとおり現在における金田一シリーズの代表作になりました。物語の面白さでは『八つ墓村』や『獄門島』は決してひけをとらないのですが、なぜ『犬神家の一族』がこれ程までに人気が高いのかと考えると(映像というビジュアル効果も大きいのですが、)やはり主人公金田一耕助に匹敵する以上に個性あるキャラクター・犬神佐清の存在が大きかったのだと思います。黒ずくめの頭巾の下あの強烈な仮面やあと湖の水面から突き出た両脚が何よりも我々に強烈な印象を与えました。
余談ですが、シンクロナイズドスイミングで『犬神家の一族』という題目で演舞をやって頂けたらおもしろいだろうなあと思う今日この頃です。

ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち
ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち
アルク
price : ¥2,625
release : 2004-03-26

コロッケについて思うこと

作家の多くが「自分の著作を広く紹介してくれる翻訳者に対して基本的には好意をもっている」のは事実だとしても、まずは「良い読者」たろうとする柴田元幸のスタンスに絶大にも近い信頼を寄せていく様が、特に付録のCDに収められた肉声のやり取りによく表れている。インタビューする者とされる者との距離が一挙に縮まる瞬間は、聴く者をもまた幸福な気分にさせてくれる。

また、9人目として登場する村上春樹は「自分のことを書くのは大変だから、コロッケについて思うことを書きなさい。」という投げ掛けで、彼の考える“物語の有効性”を説く。語りかけている相手は読者のようでいて、実は作家村上による、大学教授柴田への授業のようにも感じられて、この二人の関係性も暖かいものを感じさせる。

そして、蛇足ながら、8名の米国作家+村上春樹で「ナイン・インタビューズ」という書名に持っていったのは、サリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」を意識して、というのは、ほぼ間違いのないところだろう。こんなちょっとした遊び心も、柴田元幸の魅力のひとつである。

バッテリー〈3〉 (教育画劇の創作文学)
バッテリー〈3〉 (教育画劇の創作文学)
教育画劇
price : ¥1,575
release : 2000-04

うそつき

あさのあつこって野球しらないっていうか野球に興味ないんでしょ、朝日新聞にでてましたよ。
高校野球を真面目になっていた身からするとこんな本が売れているのは悲しいです。
ガープの世界〈上〉
ガープの世界〈上〉
新潮社
price : ¥740
release : 1988-10

夢中でむさぼり読める小説

めまぐるしいストーリー展開、私小説のような抒情さ、悪趣味な人間描写、生きることへの希望の率直さ、これら全てが高密度で1つの小説にパックされていることに驚愕。延々と自己満足的に続く終幕も全く許せる。

夢中でむさぼり読める小説。
竜神の高僧 (ハヤカワ文庫FT)
竜神の高僧 (ハヤカワ文庫FT)
早川書房
price : ¥945
release : 2005-04-21

佳境を迎えた物語はさらに盛り上がっていく

 ガリオン達一行の旅路もいよいよ佳境を迎える本作では、金を巡る争いのために滅亡した亡霊が徘徊するマラゴーでの悲しみを抱えるマラの神との出会いと頭の中に響く「声」との対話、そしてアルダーの谷への旅路を通じてガリオンは自らの力と向き合い、それをコントロールする術を学んでいく。
 とはいえ、そこはエディングスならではの展開で、”意思”と”言葉”で表現されるこの世界の魔術の訓練に、用いる言葉の品格を語るベルガラスなどには思わずニヤリとさせられてしまう。
 そして、成長するのはガリオンだけではない。恐怖を覚えた堅物の騎士マンドラレンは木訥な鍛冶屋のダーニクとのやりとりで恐怖を克服する術を学び、排他的な選民思想の持ち主レルグは自らの小ささに気づいてシルクをその能力を用いて救出し、意地っ張りなセ・ネドラは思いがけない事態に飾らない自らの気持ちをさらけ出す。
 まさにそれぞれの個性が織りなす絶妙のハーモニーは、本書の後半で一行を恐るべきトラクの弟子、クトゥーチクの住処であるおぞましきラク・クトルへの旅路とクトゥーチクとの対決でクライマックスを迎える。
 前半の様々な景色が織りなす旅路と後半のラク・クトルでの対決という物語の盛り上がりに引き込まれて分厚い本書を一気に読み通してしまった。
 ユーモアとシリアス、キャラクターの造形と景色の描写、緩急を付けた物語の展開など、やはりベルガリアード物語は私にとって最高のファンタジー小説の一つである。
オズの魔法使い (岩波少年文庫)
オズの魔法使い (岩波少年文庫)
岩波書店
price : ¥714
release : 2003-08

挿絵も美しく、テンポ良く楽しめた。

 とてもテンポ良く物語が進行することで、有名な物語でも楽しんで読むことが出来ました。そのテンポの良さが訳によるものか、原作のリズムによるものなのかは、本書以外の『オズの魔法使い』をきちんと読んだ事がないのでわかりませんが、一先ず、本書の訳のうまさ―2003年に訳されたものなので、現代的でなじみやすいのかもしれません―は素直に評価できると思います。

 また児童文学として有名な本書ですが、所々で人や動物が殺される場面が見られました。それも他の児童文学と比較すると、直接的で、批判的な意見も出るのではないかとも思いました。しかし、私個人の意見としては、そのようなものを児童向けだからといって排除するのではなく、優れた児童文学の中の一場面として受け止めることで、児童にとっても読書のための良い刺激と思えるほどの範囲に感じられました。
 魅力的な登場人物(ドロシー、ライオン、カカシ、ブリキのきこり、オズなど)、鮮やかな背景設定(エメラルドの都、灰色の草原)などには、様々な象徴的な意味が感じられたので、それを自然と感じることのできる大人が読んでも十分に楽しめる作品では無いでしょうか。更にデンズロウの挿絵もモノクロながら、素晴らしいものであると思います。

 アメリカでは本書に登場する「西の魔女」が比喩的に使われることがあるそうです。(完璧に余談ですが・・・)梨木香歩の『西の魔女が死んだ』と、何か関係があるのでしょうか。
インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
白水社
price : ¥861
release : 1993-10

カルヴィーノ的な「軽さ」に満ちた傑作

だいぶ前に初めて読んだ時は、
謎めいた暗示やイメージに満ちてはいるものの、
思わせぶりなだけでとくに何かが起こるというわけでもない、
短くて軽い小説としか思わなかったような覚えがあるが、
今回、何度目かに読み直してみて(短いからすぐに読める)、
他にも何人かのレビュアーが述べているように、
上等の酒をごく少量だけ口に含んだような、
独特の味わいがあると感じた。

この何も起こらない短い作品の中に、インドという国の
エッセンスのようなものが含まれていると感じるのは、
インドについて誰もが語る極度の貧困や不潔さと、
贅を凝らした超高級ホテル(タージ・マハルやオベロイは、
世界的に見ても五つ星だろう)の調度や料理の華やかさが、
ほとんど等価のものとして取り扱われていて、
美と醜が渾然一体となったインドという広大な迷宮を
夜の夢の中でひたすら彷徨い続けているような、
ひどく曖昧で捉え難い雰囲気が生み出されているからだろうか。
主人公が登場人物と交わす会話には、
形而上学的な話題も多く登場するためか、
どこかボルヘスの作品を思わせるような、衒学的な感触もある。

インドという「重い」対象を扱いながらも、
カルヴィーノが言うような意味での「軽さ」を、
これほどの水準で達成している本書は、紛れもない傑作だと思う。
幸福論 (新潮文庫)
幸福論 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥540
release : 1977-01

ヘッセの仕上げに

いままでヘッセの作品を読んだことのない人にはお勧めしません。
ヘッセの晩年の短編集でもあり、作品の中には過去の自分の作品を振り返っているところもあります。
なので、「車輪の下」や「デミアン」を読まれてからのほうが、楽しめると思います。
それでも、ヘッセの素直・素朴でノスタルジックな世界は満載されている作品ですので、
お勧めには間違いありません。
プロ作家になるための四十カ条 (ベスト新書)
プロ作家になるための四十カ条 (ベスト新書)
ベストセラーズ
price : ¥820
release : 2006-07

マニュアル的な、あまりにマニュアル的な

 主に公募への投稿を考えている作家志望者向けに「審査に通る小説」の書き方を指南した本である。実際に審査員や作家養成講座の講師として多くの作品に目を通した著者だけあり、特に初心者が陥りがちな失敗---当人は斬新なつもりで実は陳腐なアイディアや、読み手を白けさせる冗長な文章について書かれた部分など、「そういえば自分もやってしまった」と思い当たる人は多いだろう。他にも、長編と短編の違いや推敲の技術、仕事と執筆を両立させるコツなど、いろいろと参考になる内容が盛り込まれている。
 しかし一方で、読めば読むほど、著者が求める模範解答的な小説のスタイルに根本的な疑問が湧いてくるのも事実である。群像小説はだめ(『三国志演義』失格)。「神の目線」はだめ(『モンテ・クリスト伯』失格)。視点はなるべく固定し、途中で変えるのは良くない(『水滸伝』失格)。物語は時系列に沿って進め、カットバックはしないこと(『そして誰もいなくなった』失格)。本筋と関係のない挿話や解説を入れてはならない(『レ・ミゼラブル』『吾輩は猫である』失格)…。挙げ句に、そうした厳しい選別の末に求められる小説が「落涙うるうるの感動ドラマ」では、あまりに哀しくないだろうか。さらに、長編1編を30分から1時間で読まねばならない予備審査や最初の1枚だけ読まれていきなり落とされる作品の話を聞くと、こうした極端なまでの消去法で、出版社や審査員が本当に「新しい才能」や「個性ある作品」を掬い上げることができているのか気になってしまう。
 それとも、このような疑問を抱くのは、私自身が10年以上も前からあちこちの公募に作品を投稿しては講評さえもらえずに落選し続けている事への、単なるひがみに過ぎないのでしょうか。ただ、少なくとも、私の屍を踏み越えて進む若い皆さんには、(知っておくこと自体は無駄ではないにせよ)マニュアル化された禁じ手だらけの小説像に囚われず、自由でスケールの大きな作品を目指してほしいものです。
ウォッチャーズ〈上〉 (文春文庫)
ウォッチャーズ〈上〉 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥650
release : 1993-06

犬好きの方、必読!

「犬と人間が意思の疎通ができたら・・・?」
犬が好きで、犬を飼ってる人なら誰でも思う事なんじゃないでしょうか?

主人公トラヴィスが、徐々にアインシュタインと、心を通じ合わせていく過程は、犬好きにとっては、まさに至極の幸福な夢の姿なのです。

そして、永遠に続くかと思われた、その関係に黒い影がしのび始めた時の恐怖。
絶えず何かに怯えているアインシュタインの気持ちと、
かけがえのないパートナーとなったアインシュタインを思うトラヴィスの気持ちに感情移入してしまい、後半部分は、もう涙なしでは読めません。

クーンツの凄いところは、それだけ読者をトラヴィス側(善)に引き込んでおいて、
悪にも同情心をもたずにはいられなくなる描き方ができるところだと思う。

なんにしても、必見の一冊。
クーンツの最高傑作だと思います!

この作品を読んで、ゴールデンレトリパーを飼った人は、きっといる筈!
で、名前はアインシュタインよね、やはり。
どうぶつにふくをきせてはいけません
どうぶつにふくをきせてはいけません
朔北社
price : ¥1,260
release : 2005-12

笑えます!

表紙のやまあらしから、笑えますが、中でも「ややこしいことになる
にわとり」が最高におかしいです♪
翻訳者の「服を着せられたペットが”けっ!”と思っているのでは
ないかと想像している」というコメントなど最後のページまで楽しめ
ます。
ダレン・シャン9 夜明けの覇者
ダレン・シャン9 夜明けの覇者
小学館
price : ¥1,575
release : 2003-09

すぐ10を読みたくなる

本巻の後半の展開は読んでてかなり予想が付きます。それでも気持ちが高ぶるのは、1巻以降、敵役として登場してきたキャラクターの再登場のせいでしょう(名前だけ再登場の人もいますが)。スティーブ、R・V、マーロック、ガネン・ハーストがストーリーにねちっこく絡んできます。ラストはスッキリはしないけど、読み応えのある一冊だと思います。
青ひげ (ハヤカワ文庫SF)
青ひげ (ハヤカワ文庫SF)
早川書房
price : ¥819
release : 1997-09

世代論は語りたくないのだが

多分、団塊ジュニア世代の人達にとっては
退屈だと思います。

私の父は昭和一桁世代で、軍隊経験は無かったものの
リアルタイムで、第二次大戦を経験した世代。
(ヴォネガットは、それよりも少し、年齢が上である。)
つまり、子供の頃、最も身近な人間が、戦争体験者であるだけで
なく、学校の教師や近所の人達、そして、テレビやラヂオと言う
マスメディアでも、戦時中の体験がある人達が、沢山居た訳です。

ヴォネガットの、作家としての出発点が
戦争と言う原体験にあり、それが最初に、結実したのが、
「スローターハウス5」と考えていいと、思いますが、

リアルな体験、つまり実体験としての戦争と向かい合ったとき、
作家は、どの様に「小説」と言う虚構を構築すれば、良いのかを
示した、一つの成功例が、SH5だとしたら、本作は、
フィクションとして、ぶっ飛んだ様な面白さは、殆ど、
と言うか、「SF作家」による小説にしては、普通すぎて
「しみじみし過ぎ」てしまっていると、感じます。

多分、21歳の頃の私が、本作を読んだとしても、
SH5程の強烈な印象は、受けなかったでしょう。

「結局、戦争文学かよ。」で片付けられてしまうには、
惜しい作品なのですが、第二次大戦と言う「近代戦」だか
「前近代戦」だか分からないような、非常に特殊な
「間の時代の極限的体験」と言うのは、風化されて
いってしまうのならば、人類にとって、「一寸した進歩」
のなるかも知れないので、それでも良いのですが、
2040年代位の時点で、実は「一寸変化しただけ」で
百年前と余り、違いは無かった、と言う未来も
可能性としては、大いに、有り得るでしょうな。

(関係ないですが、私の嫌いな、最近の言葉のひとつが
「ありえねー」と言う奴です。「ありえねー」と言う事こそ、
「ありえねー」。可能性としては、あらゆる事が、起こり得る
からです。)
車のいろは空のいろ 春のお客さん (新装版 車のいろは空のいろ)
車のいろは空のいろ 春のお客さん (新装版 車のいろは空のいろ)
ポプラ社
price : ¥1,050
release : 2000-04

かわいいお話がいっぱい。

表題作「春のお客さん」が大好きです。

「どうかどうかそのままで。そのほうがずっといいですよ」
 …なんてやさしさに満ちた言葉なんだろう…

癒されます。

メディエータ〈3〉サヨナラ、愛しい幽霊
メディエータ〈3〉サヨナラ、愛しい幽霊
理論社
price : ¥1,449
release : 2006-02

ドキドキ

最初はあまりのめり込めなかったのですが、二巻と三巻は面白い!
特に三巻はハラハラします。スーズとジェシーはどうなるの?ドキドキです。ポールの不敵さがこわい!
こう来たか・・・、と思うようなラスト。そしてラストかと思えばまだラストじゃないラスト!(ややこしい書き方をしていますすが、本編はややこしくないです)
読んでスーズとジェシーの恋を見守ってみませんか?私は泣いちゃいましたヨ。

レイチェル (創元推理文庫)
レイチェル (創元推理文庫)
東京創元社
price : ¥1,260
release : 2004-07

サスペンスミステリとして最高の面白さ

 「もうひとつのレベッカ」と評される本作品も、とても面白い。
 レベッカに比べると主人公の男女を入れ替えてあり、レベッカが前妻の幻影に苦しむのに比べて、本作品では亡き従兄の妻の現実の姿に翻弄されていく。
 初な男性主人公が、年上の女性レイチェルの自然な立ち回りに惹かれて行くところは確かにすごく魅力的で、女性側の絶妙な押し引き加減には読んでいても驚いてしまう(いわゆるツンデレ系の女性と言えよう)。幼なじみの女性から「中年女の手管に貴方がかなうはずがない」と早くから警告しているにもかかわらず、主人公はそれを理解できない。読みながら男としては無理もないと思ってしまった。
 最後に、ある事実から疑惑を感じた主人公が真実に気づいたところで物語は一気に終幕を迎える。レベッカと同じくやや唐突ではあるが、最後まで追い込まないところが良いのかもしれない。
ユリシーズ〈4〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ユリシーズ〈4〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
集英社
price : ¥1,200
release : 2003-12

最終章は女の独白にて終わる

16、17、18挿話を収録したユリシーズ文庫最終巻。
まず第16挿話では、スティーブン・ディーダラスと主人公ブルームが喫茶店に行き、仲が良くも悪くもない微妙な雰囲気のなか、
二人が語らったり、他の客のほら話を聴いたりいろいろ夢想したりする様子が描かれる。ユリシーズらしい文体の章。
第17挿話では、ブルームがスティーブンを自宅に招き、ココアを飲む様子が、問答形式で描かれる。
章全体が、問いと答えで構成されており、まるで論文のようになっているのが面白い。
第18挿話は、全てがブルームの妻モリーの独白。一章句読点ナシという悪名高き挿話である。
過去の交際やブルームのこと、今日浮気したボイランのことや生理のことまで、性的なことも含め、
寝る前に頭に浮かんだことを全て書き取ったような章になっている。
翻訳も勿論句読点ナシで文字を羅列しているが、驚くほど読みやすく出来ており、むしろ他の挿話より楽に読めた。
巻末には本一冊分ぐらいある注と、エッセイ・解説つき。因みに訳者のエッセイは何と旧かなまじりでやや読みにくかった。
大聖堂 (中) (SB文庫)
大聖堂 (中) (SB文庫)
ソフトバンク クリエイティブ
price : ¥890
release : 2005-12-17

人々の苦悩が分かる作品

 大聖堂(上)から続く内容が気になったので読んでみたらやはり上手くまとまっている印象を受けた。全員が全員幸運になるのではなく、ひたすら悪い奴もいればひたすら良い面と悪い面がはっきりと分かれた人物も多くいる。こうした宗教歴史に関しての小説は信教との結びつきが強いイギリスならではの作品というのも納得がいった。前回とは話の中心になる人物が異なってきているが、それぞれが違う生い立ちから同じ出来事に対しての心情変化が比較できるのが何よりも面白い。それがこの物語の奥深さを感じさせる大きな要因なのだろう。下巻の展開が楽しみである。
大草原の小さな町―ローラ物語〈2〉 (岩波少年文庫)
大草原の小さな町―ローラ物語〈2〉 (岩波少年文庫)
岩波書店
price : ¥840
release : 2000-08

ローラの精神的成長が見れる

これまでの作品と違って、穏やかな日々がつづられています。
大事件といえば、トウモロコシ畑にブラック・バードが大量に
襲ってくるところでしょうか。
ローラは日々家族のお手伝いをし、勉強もして姉のメアリが
大学にいけるようにと願っています。
ここでローラは始めて町での仕事をすることになり、お給金は
メアリのためにと母にそのまま渡します。

また町も人々が集まってきて、学校や教会での催しが盛んに
なってきます。そしてローラとアルマンゾとの出会いも…
随所にローラの精神的成長も見られて、驚いたりやさしい
気持ちになったり。
ぜひ自分の子供にも読ませたい一冊です。
ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)
ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)
角川書店
price : ¥780
release : 2004-08

ミシシッピの川面をゆっくりと流れる筏

ミシシッピの川面をゆっくりと流れる筏での豊かな生活に魅了されながら、ハックの真摯さに感情移入しっぱなしで、胸いっぱいに。

どうして素晴らしい小説というのは古さを感じさせないのだろう、と改めて思う一冊。
戦士たちの挽歌―Forsyth Collection〈1〉 (角川文庫)
戦士たちの挽歌―Forsyth Collection〈1〉 (角川文庫)
角川書店
price : ¥580
release : 2004-02

毛色の違う話2つが楽しめました

飛行機での密輸を追う話と、アメリカの19世紀から現代までを舞台にしたラブストーリーっぽい話が1つの、2つからなります。
密輸ものは、「だましあい」で逆転、逆転、最後まで目が離せません。ノンフィクションぽいできです。

もう1篇は、時空を超える恋人たちの物語。19世紀の白人とアインディアンの争い、その中での、敵味方を超えた恋、そして、離別と、時空を超えた再会、という内容でした。ラブストーリーっぽい話ですが、19世紀の様子や、現代アメリカでの森林の中での逃避行、森林戦など、それ以外のところでも、十分楽しめました。

いずれも、精密な描写が読ませます。

黒い時計の旅 (白水uブックス)
黒い時計の旅 (白水uブックス)
白水社
price : ¥1,260
release : 2005-08

時をたぐり寄せる

冒頭から読者を圧倒する鮮烈なイメージと混交するストーリーは、登場人物たちを時の狭間で翻弄する。
そして彼らがついに家路に着いたとき、歴史は語られることで生まれるのだと読者は思い知らされる。
物語への、歴史への妄想的欲望が炸裂する傑作。
祝・復刊!
アメリカ文学のレッスン (講談社現代新書)
アメリカ文学のレッスン (講談社現代新書)
講談社
price : ¥735
release : 2000-05

不安社会アメリカを映し出す

とにかく、現代アメリカ文学の紹介者として、柴田元幸氏(あと村上春樹氏ももちろんですが)は欠かせない存在でしょう。
柴田氏がいなければ、アメリカ文学の日本での受容のされ方も、大きく違ったものになっていたはずです。
本書は、「破滅」「組織」「勤労」「親子」といったテーマ別に、アメリカ文学を論じています。
文学とは、社会の顕在化していない「不安」をあぶりだすことができるものだと、私は思っています。
アメリカの場合は、特に本書で『フランクリン自伝』がその代表とされている、「自分を創り上げ、アメリカンドリームを達成する」ことを頂点とするシンプルな自己創出→栄光達成のドラマが、もはや成立し得ない不安な社会であるというアメリカ社会の真実を、本書はアメリカ文学の作品を通じて、学ぶことができます。
福田恒存氏の「一匹と九十九匹」ではないですが、繁栄から圧倒的に取り残された人々(アメリカの場合は日本と違ってそれがマイノリティではなく、多数派であることが重要なのですが)を表現することは、巨大娯楽産業となってしまったハリウッドでは困難であり、文学こそがその中心的役割を担っているのではないでしょうか。
本書の魅力は、そんな文学の役割を明確に、アメリカ文学をほとんど読んだことの人にもわかりやすい文章で解きほぐしていることです。
2061年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)
2061年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)
早川書房
price : ¥735
release : 1995-03

ハレー彗星とエウロパの表面はどうなっているかの仮説

宇宙の旅シリーズの第3弾です。本来ならシリーズ第3弾は『20,001年宇宙の旅』というタイトルの完結編になる予定でした。ところが、執筆準備をしていた1986年にハレー彗星の地球への接近というイベントがあった為に、クラークはハレー彗星についての作品を書きたいと思い立ち、完結編の前にこの作品が登場したとのことです。2061年というのはハレー彗星が次に地球に接近する年です。この為、クラークの興味はハレー彗星の表面がどのようになっているかの仮説を展開することに向いており、シリーズ本来の本筋からはちょっと外れている感じもします。

それでも、中盤からは木星の衛星エウロパを探査していた宇宙船が難破してしまい、ハレー彗星の探査をしていた別の宇宙船が急遽救出に向かうことになるというやや強引なストーリー展開によって、前作で謎とされたエウロパへと舞台が移ります。しかし、完璧に謎解きはされず、第4弾『3001年終局への旅』へと興味をつなぐエンディングとなっています。
心閉ざされて (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
心閉ざされて (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
二見書房
price : ¥870
release : 2000-01

隅々まで読ませる作品

この話は、リンダ作品の中で1.2を争うほどお気に入りです。
せつなく、HOTで、ヒロインの芯の強さが素敵で、
読んでいてイライラさせられることもありませんでした。
読んで損はありません。おすすめです。

シェリ (岩波文庫)
シェリ (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥630
release : 1994-03

甘美な棘

年上の女性と 歳の離れた若い男性の恋物語はフランス文学によくありますが、
ヒロインのレアはもうすぐ五十歳。
“シェリ”と呼んでいる若い恋人より二十四歳も年上です。
でも、元高級娼婦のレアは そんな年齢なんて 物ともしない、
おしゃれで粋で素敵な女性として登場します。

子供のように我儘で傲慢で、でも輝くばかりの美貌の持ち主である恋人のシェリが
結婚するために 二人が別れるところから、この物語は始まります。
お互いに失って始めて気づく、いろいろな思い・大切なこと。
再会。また愛が始まるのかと思えたけれど、結局は結ばれることなく別れる二人。
繊細な心の機敏まで こまやかに描かれています。

何度も読み返していますが、そのたびシェリの美しさの描写や
レアの高い美意識、豪奢な暮らしぶりなどに うっとりさせられます。
でも、ラストは女性にとって残酷で、
まるで甘美な棘に ちくんと刺されたような気持ちです。
パラダイスを君に〈上〉 (ヴィレッジブックス)
パラダイスを君に〈上〉 (ヴィレッジブックス)
ソニーマガジンズ
price : ¥924
release : 2005-05

愛がいっぱい詰まってます♪

老舗デパート”バンクロフト&カンパニー”バンクロフトの一人娘メレデスはあるパーティーで工員”マット・ファレル”と出会った。
身分違いの二人に襲い掛かる様々な困難と苦労。。。   
そして11年後、マットはマスコミに最も注目される複合企業トップとなっていた。。。
そしてまさか!の再会。。。

こちら、ジュディス・マクノート代表作、しかも海外ではロングセラーともなった力作とか。それも納得です!

上下合わせるととても長い作品ですが、気の長くなるような間、マット・ファレルの一途にたった一人の女性を愛し抜く姿勢は凄いし、よほどの根性じゃないとなかなか出来ることじゃないと思う。既に胸がジンジンしてきます、、、。
お互い、様々な誤解が生じてヤキモキする部分もあり、かなり気を揉んだ分、打ち解けてからのマットの甘?い言葉は世界を揺るがすほどゴージャスで、
それはそれは読む価値あり。

もう?うっとり。
後読感は最高に幸せな気分になることでしょう!



プレイヤー・ピアノ (ハヤカワ文庫SF)
プレイヤー・ピアノ (ハヤカワ文庫SF)
早川書房
price : ¥987
release : 2005-01

この本はキャリア・クライシスの本なのだ・・・

実は、この本を購入したのは20代の頃。本の厚さと、最初の20ページぐらいまでの重い雰囲気に威圧されて、唯一ヴォネガット作品の中で読まずにいました。

しかしキャリア・クライシスの年頃=44才になった今読んでみると。圧倒的なメッセージ性で自分に迫ってきます。SFとか、愛とか 優しさとか、階級闘争とか、そういうメッセージ性でなく、「今のクソ組織に帰属して、クソ仕事を続けているサラリーマンとしての自分のキャリアが本当に正しいのか!」という「剣」をつきつけられたようなメッセージです。

若い読者でなく、ぜひ40代で会社人生に疲れてきた同志に読んで欲しい作品です。それと昔読んだことのある方も再度読み直してみると、全く違った発見があると思います。
妊娠カレンダー (文春文庫)
妊娠カレンダー (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥420
release : 1994-02

【商品詳細】

タイトルにひかれて表紙の絵に目を凝らせば、ハンカチで鼻を押さえた女が、岩の上にのけぞっている。厚い毛皮の外套を着た男が2人、鼻血の女には無関心で、彼方を見やる。裏表紙では、3人退場。代わりにとぼけた顔の白い犬が、女の倒れていたあたりをかいでいる。空には暗雲垂れこめて…。 でも本書は、不吉な一篇の物語というわけではなく、26の個別な文と、緻密な白黒のペン画とで構成された、アルファベットブック。AからZまでの頭文字の副詞が、ワンセンテンスの短文の中に必ず含まれている。というより、その副詞を中心にしている点が、珍しい。 たとえば「B」なら、「The creature regarded them Balefully」が原文。「まがまがしく/こ(子)らにらむ/いきもの」という訳文に、水から上がってきたばかりの変な生き物が、桟橋の上で3人の子どもをじっとにらんでいる絵。「E」は「Endlessly(とめどなく)」で、長い長いマフラーのはなし、などなど。それぞれは独立した場面だが、全体をタイトルに結びつく1つの筋に想像力でつなげようとして、はてつながるかどうか。ゴーリーの手品に挑むもよし、あるいはお好みの場面だけ、心の箱にしまっておくのもよい。 訳文は、2から3行の縦書き平仮名。原文には必ずある主語が訳文にはなく、おまけに文頭の文字が黒丸に白抜きと目立つので、名調子のいろはカルタのよう。どのページにも、予感としての不吉は漂っているものの、ゲーム感覚で、楽しめる。(中村えつこ)

すでに独自の作風を確立している

芥川賞受賞作となった「妊娠カレンダー」。
妊娠をきっかけに、刻一刻と変貌を遂げ、どんどん知らない人になっていく姉に戸惑う妹。
やがてアメリカ産グレープフルーツジャムを作り続けることにより、周囲を振り回し続ける姉に密かな抵抗の手段を見い出す。
「悪意」と言うよりは、ふとしたきっかけで、暗い考えにとらわれる、そのハードルのあっけなさみたいなものを書こうとしたのだろうか?

「夕暮れの給食室と雨のプール」。
婚約者との同居生活が始まる前の、細々した生活の準備の様子を書いても書いても、見事に生活臭がしないところがさすが、小川洋子(笑)。
こういうノスタルジックな日常からファンタジーに迷いこんでしまう…というのも彼女の基軸の一つ。
「博士の?」や「ミーナ?」もこの路線かな?

しかし、私は作者の真骨頂は「ドミトリイ」だと思う。
この頃すでに、短編集「海」の「バタフライ和文タイプ事務所」に匹敵する完成度のものを書いていることに驚かされた。
読んでほんわかしたいい気持ちになるのは、「博士?」や「ミーナ?」だろうけれど、ザ・小川洋子なのは「バタフライ和文タイプ事務所」や「ドミトリイ」のような作品だと思う。

殺人者の顔 (創元推理文庫)
殺人者の顔 (創元推理文庫)
東京創元社
price : ¥1,050
release : 2001-01

とにかくシリーズ1冊目を

ヘニングマンケルはスェーデンの小都市(地図で確認すると,スカンディナビア半島の南端,海辺の街)イースタードの警察署のNo.2。事件発生時は署長が休暇中で,事件の指揮をとることになります。人間くさいというのは,酔っぱらい運転をしたり,酔ったあげくに女性に抱きついたりすること。事件についても自分一人で解決するスーパー刑事ではなく,同僚に頼ります。家庭的な問題を抱えたり。あまり馴染みのないスウェーデンがぐっと近くなります。
華々しき鼻血
華々しき鼻血
河出書房新社
price : ¥1,050
release : 2001-11

わからない

評価が高かったので、読んでみましたが、おもしろさが理解できませんでした。
ごめんなさい!
ぴんぽんぱん ふたり話
ぴんぽんぱん ふたり話
集英社
price : ¥1,575
release : 2003-04

戦後の時代背景の思想・空間を感じとれた本でした。

御二人の共通のお友達三島由紀夫さんのお話が多く、三島さんを通して人生観や価値観・社会の構造を振り返りお話されていました。
私の知らない戦中戦後の思想・生き方のお話は新鮮でした。
戦後は軍事思想が色濃く残り、芸能・文芸は軽視され武勇が尊ばれていたけれど、まだ戦前のロマンも残っていたとのこと。
「喫茶店では、粋なヨーロッパ音楽や味のある流行歌、クラシックが蓄音機から流れ、生活全体にロマンティックが漂い、破廉恥なことも美しいオブラートに包まれ、ロマンティックな匂いに摩り替えられてしまう。」
そんな素敵な空間があったんですね。
軍事思想とロマン、全く違う思想が同時代にあったのが、今の時代を生きる私には不思議に思えました。
御二人が時代と経験を共感されたお話なので、私はその時代の空気をイメージしやすく、つかみやすかったです。

瀬戸内寂聴さんが本を出版する前無名の時に、三島由紀夫さんにファンレターを書き、三島さんからお返事が来て、親交を深め友達になったといういきさつに驚きました。
無名でも、才能のある文豪同士は引き合うんだなと感心。
私が、誰かにファンレターを出しても、友達になることないですよ(笑。
そうなのか。似たもの同士は、ちゃんと引き合うようになっているんだな。

私が惹かれたのは、お経の部分で。
私が観音経(法華経第25)をあげていているとぽかぽか温かくなったり、気持ちが晴れ晴れするのですが。
法華経を唱えると、その音魂で活性化するという話に、なるほどとうなずけました。音魂による現象だったんですね。
七王国の玉座〈1〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)
七王国の玉座〈1〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)
早川書房
price : ¥735
release : 2006-05

じっくり読んでみたください。読み応えのある本です。

王と諸侯、騎士とその家族たちの物語です。これら登場人物の数が、極めて多いことが特徴です。
1巻で端役を除いても約40人のほど人物が登場します。
これだけの人数を登場させても破綻していないだけでなく、各人物の人間関係やキャラがきっちり描かれています。
ことから、この物語が綿密に構成されていることが判るかと思います。
人物だけでなく、背景となる広大な世界のディーテイルの構成も見事です

しかし、これだけ多くの登場人物と広大な世界に入り込むまでが大変です。
最初の100頁くらいは、次から次へと様々な人物が登場して、何がなにやら判らない状態です。
何の説明もなく、突然登場する人物が何人もいます。この人は誰?という謎をといてゆくのも楽しめます。
しかし、最初の100頁で投げ出してしまうと、この物語の世界に入れません。
この人は誰だろうという謎解きに、疲れてしまった方のためには、巻末付録に20頁近い登場人物紹介と人名索引があります。
人名索引には84人登場人物が記載されています。250ページ弱の本文に84人が登場していることになります。
読み終わるころには、約40人くらいの人間関係が判るようになりますが、
2巻では登場人物はさらに増え、巻末付録はさらに長くなっています。

なお、竜、人外の生き物、魔法のなどもチラチラ見え隠れしていますが、ほとんど出てきません。
ドラゴンの火炎の嵐!魔法爆発!魔族vs騎士団的なファンタジーではありません。
高潔、強欲、勇猛、惰弱。様々な面を持つ人間中心の物語です。
盟約 上  文春文庫 ニ 1-4
盟約 上 文春文庫 ニ 1-4
文藝春秋
price : ¥820
release : 2002-08

大河ストーリーの第二弾

「勇魚」に始まるニコル氏の大河小説の第二弾である。
「勇魚」の主人公であった甚助(銛一甚助=ジム・スカイ)の末子である銛一三郎の物語である。カナダに居住する甚助の末子三郎は、日本人への偏見に満ちたカナダを後にし、明治期の日本へ渡る。上巻では日本へ渡航した三郎が、江田島の海軍士官学校へ合格し、日英同盟を背景にした英国への留学、日露戦争での日本海海戦の勝利までを描いている。

「勇魚」の続編のつもりで手に取ったが、背景となるトーンが重苦しいし、暗い。父甚助が国禁を犯して海外へ渡航し自由と成功を手に入れたのとは逆に、三郎は軍という組織に入り「個」の能力を組織のために発揮しなければならない立場になるからだろう。もちろん、幕末と明治期の時代の変化もある。
己の夢のために己の腕と知恵だけを頼りに海外で成功した父と、日本という国のために、葛藤しながら自らの能力を発揮し夢を追おうとする子。置かれた環境が違いすぎるため、単純に比較は出来ないが、物語の背景となる日本人の誇り、気高さは共通である。また本シリーズ全作に共通する背景はもちろん「海」であり、たとえ陸にいても大きな時代の流れに翻弄される姿は、海での大時化にあらわれる船を連想させる。

日本陸軍軍人の描写の醜悪さ、日英双方の海軍軍人の描写の崇高さはそれぞれ過剰気味で少し気になる。これは、本作上下巻と続編二作にも共通する。ニコル氏の出自による贔屓や、もちろん創作上のデフォルメは含まれると思うのだが、少しくどさを感じた。
苔のむすまで
苔のむすまで
新潮社
price : ¥2,730
release : 2005-08-24

所有感

写真や文章のよさはもちろん、一冊の本としてのつくりのよさに感心した。白い本体の清楚でカチッとしたデザイン、一転黒を基調としたカバーのコントラストとその手触り。中身の紙質も一味違う。これらが渾然となって本という「モノ」の出来のよさが伝わり、所有する喜びも感じさせてくれる。カバー裏面に隠された写真も秀逸。
寓話セラピー―目からウロコの51話
寓話セラピー―目からウロコの51話
めるくまーる
price : ¥1,575
release : 2005-02

あなたも、癒される話しも見つかるはず!

 物語は、聞く人によって色々な印象を与え、無意識に働きかけ、その人の持つリソースを活性化したり、無意識的な気づきを促すことは、ミルトン・エリクソンをはじめとした催眠療法家にとっては、よく知られた事実である。

 この本の筆者も、いわゆるゲシュタルトセラピーなどを背景にしたサイコセラピスト(心理療法士)だが、このような話しを利用しながら治療を勧めているのだという。すなわち、それだけ、パワーを持った物語が、紹介されているのである。

 物語が、受け取る人によって、様々な影響力をもたらすことは、すでに述べたが、きっと、あなたの無意識の可能性を開き、癒される物語が本書の中に見つかるだろう。

 また、あなたが臨床心理士だったり、特に催眠療法などに関心を持っているなら、この物語は、逸話(治療に使用する物語)としても役立つのではないだろうか?
 
 

人間の絆〈中〉 (岩波文庫)
人間の絆〈中〉 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥798
release : 2001-11

モームと絵画

 主人公のフィリップがパリで画学生の生活を送っているときのこと、初めて作品を展覧会に出品し落選して自分は画家としての資格があるかと悩んでいるときの話である。知人のクラトンに自分の絵を見てほしいと言うと、相手はこんなことを言う。人はよく批評を求めるが、それは誉めてもらいたいからだ。批評が何の役にたつ。画を描くただひとつの理由は、描かずにいられないからだ。肉体の機能と同じくそれはひとつの機能なのだ。画を描くのは自分のためだ、そうでないなら自殺するよりほかにない。入選したとしても、人は通りすがりにほんのちょっとながめるだけだ。批評なんて、画かきとはなんの関係もない。客観性とはなんのかかわりもない。画かきは独特の感動を受けて、やむをえぬ衝動でそれを表現する。自分では理由もわからぬうちに、線と色で気持ちを表現する。
 ここまではだれでも言いそうなことである。もうひとつ批評が無意味なわけを教えようと先へ進める。偉大な画家は、自分が見ているとおりに、自然を世間の人に見させる力をもっている。次の世代になると、べつの画家がまたべつの方法で世界を見る。そのとき大衆は当の画家によってではなく、その画家の先行者によって彼を判断する。自然というものは、まさに画家が見ようとするとおりのものなのだということを、彼らは一度も考えたことがなかった。ぼくたちが自分の見方を世間におしつけると、世間はぼくらを偉大な画家と呼ぶ。押しつけないと、無視してしまう。しかし、ぼくたちは、変わらない。偉大さや卑小さはなんの意味も付与しない。出来上がった作品に起こることは、なんの重要さもない。ぼくたちは、画を描いているあいだに、すべてを獲得してしまっている。
 ここにはモームの芸術を見る確かな洞察がうかがえる。


第二段階レンズマン―レンズマン・シリーズ〈3〉 (創元SF文庫)
第二段階レンズマン―レンズマン・シリーズ〈3〉 (創元SF文庫)
東京創元社
price : ¥945
release : 2002-11

スミス節は止まない

レンズマンキニスンの銀河をかける戦いとロマンス。
おなじみのキャラクターの期待どおりの活躍、
いつものようにボスコーンに潜入するキニスン、
そしてついに迎える大円団。
前作を読んでこの古典的SFの新訳の魅力にはまった方、とうぜん本書も読もう。
壮大かつ古めかしい、古き良きSFである。
おさるのジョージ とっきゅうにのる
おさるのジョージ とっきゅうにのる
岩波書店
price : ¥945
release : 2003-10

おもしろくてお勧めなのだが・・・

 「おさるのジョージ どうぶつえんへいく」を子供(3歳半)が好きだったので、乗り物好きであることも考えて、取りあえず本作を買ってみた。
 内容は相変わらずおもしろい(おさるのジョージの駅での活躍?ぶり。ただし、特急に乗って何かをするわけではない)ようで、よくこの話をするので購入自体は正解であったと思うが、
 うちの子供ぐらいの歳でも、これ1作だけだとちょっと量的に寂しいかなという印象。
 全部で20作もあるのなら、2作か3作セットにしてもらった方がよかったかも。
 しかし、これでまだ2冊。先は長い。
ホテル・ニューハンプシャー〈上〉
ホテル・ニューハンプシャー〈上〉
新潮社
price : ¥740
release : 1989-10

長編というより短編集

痛烈なエピソードが満載で、一つ一つのエピソードはそれなりに楽しめましたが、登場人物のキャラクターに一貫性がなく、支離滅裂の印象を受けました。小説に出てくるスランプ時のリリーに対する批判がそのまま当てはまります。全体的なストーリーがありません。特にバーベル上げしか能がなく、精神的な成長もない主人公には落胆させられました。
ゴシップガール
ゴシップガール
ソニー・マガジンズ
price : ¥1,365
release : 2003-03-20

???

この本普通におもしろかったけど
内容はすっごく良いとはいえないかな?
日本はセレブセレブって騒いでるから読む人多そう 笑
私も外国のお金持ちの女子校通ってたけど(ロンドンだけど)
ニューヨークの学校のお金持ち学校すべてがこういうのだと思わないほうがいいよ!
だって日本の高校のお話が外国にいって
それを読んだ外国人が「日本の高校ってすべてこういう感じなんだ?」
って思われるのと同じでしょ?本当はいろんな学校があるのにさ^^
私はバーバーリーが好きだからよかったかも。
Bが大大大大好き!
ロボ―カランポーのオオカミ王 (シートン動物記)
ロボ―カランポーのオオカミ王 (シートン動物記)
福音館書店
price : ¥945
release : 2003-06

大人が読むならこの本を!

恥ずかしながら幼少の頃にはシートン動物記を読んだことが無く、齢三十にして初めて興味を持ちました。
ロボとブランカの話は哀しいけれど、かなりロマンティックですね。

シートン動物記はそのほとんどが児童書として出版されています。というか大人向けに出版された物は
見つけきれませんでした。その中から大人にとって読み易そうなものを探し、レビューなど見てこれに決めました。

この本はそれなりに字も大きいしルビも振ってあるし児童書ならではの工夫がされているのですが
翻訳された文章が、読み易い!必要以上にかみ砕かれておらず、難しい言葉は注釈になっているので
ペースを乱されることなくスイスイ読み進めることができました。文章もどことなく上品です。
他のシートン動物記と読み比べたわけではないのですが、大人が読むならこの本をお勧めします。
子どもさんなら高学年以上向け、くらいだと思います。
コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985))
コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985))
新潮社
price : ¥3,150
release : 2006-10-28

入り混じりながら均一化されない

夫(夫になる前は、誰からも信頼される欧州帰りの医師、見た目も良い男)を事故で亡くしたばかりの女フェルミーナ・ダーサ(父によって守られた勝気なお姫様体質)は72歳。彼女への思いを胸に、独身を守ってきた(正確には少し違うのですが...)という男フロレンティーノ・アリーサ(自身の信念に忠実でありながらも、臨機応変の効く男、だが見た目が暗い)は76歳。51年9カ月と4日、男は女を待っていた、そして未亡人になった最初の夜、男は女に愛を告白した、それは同じ女への2回目の告白だった。

というのが、冒頭で物語はフェルミーナ・ダーサとフロレンティーノ・アリーサの最初の出会い回想してゆき、そしてそこから約半世紀の物語が、2人を軸にその関係者、住む町、国を描きながら進んでいきます。
この51年9カ月と4日男が女を想い続ける、この1点に現実味を持たせるのではなく、神話的、幻想的でありながら、また現実的でもある、という例えるなら「コーヒー」と「ミルク」を混ぜ合わせると均一になり「コーヒーミルク」になりますが、そうではなく、わざと「コーヒー」に「ミルク」を注いでかき混ぜない状態、を目指した様な小説です。

ですから、現実的描写や解釈があったかと思うと、次の場面ではいきなり非現実的な、幻想的な場面になったり、現実的物事を幻想的に解説してみたり、と、不均一な混ざり物を味わう様な感じなのですが、いわゆる神の視点からの3人称を使った語り口が均一な為に読みにくいという事はありません。

主人公2人のそれぞれの人生を振り返りながら、最後に2人はどうなるのか、が気になる方にはあまりオススメできません。それよりも、些細な出来事から決定的な出来事へと続く物事を楽しめる方にオススメ致します。物語に、ジョン・アービングの様な腑に落ちる、あるいは納得したい方にはあまりオススメできませんが、そのものをそのまま楽しめる方に(ちょっと分かりにくい表現でスミマセン、私の表現力が足りないのです)オススメします。

私としましてはガルシア=マルケス作品の中では(そんなにたくさんは読んでませんけれど)やはり「予告された殺人の記録」がベストですが、この作品も良いです。
黒衣の騎士との夜に (ヴィレッジブックス)
黒衣の騎士との夜に (ヴィレッジブックス)
ヴィレッジブックス
price : ¥903
release : 2006-11

すきなの。黒ずくめノヒーロー

黒衣の騎士との夜にという題名に惹かれて読んだ私の好みにはぴったりのストーリーでした。なんたって程よい長さの黒髪に衣類は黒ずくめ、騎士としての実力はめちゃ強いし、その上頭もよいし、知的だし、経済力もあり、長身はもちろんのこと、このアイロニカルな会話はどうだ。完璧に近い設定に大満足かな。翻訳者の方の力量もありますよね。でも機関車はいただけないのでは?隣のサー・ヴィンセントも途中からなんだかいい人になってて安心して読めました。彼と妻のエマとの間にも一ストーリーありそうです。楽しめるロマンスとしてお勧め!黒髪好きよっといで!
アカデミー賞を獲る脚本術
アカデミー賞を獲る脚本術
フィルムアート社
price : ¥2,520
release : 2005-04

著者の肯定的な人生観がにじむ好著

 ハリウッドで脚本家として名をあげようと野心を持つ読者のために、すぐれたシナリオを書くための極意を指南しようという書です。著者はアメリカの映画界でスクリプト・コンサルタントとして活躍する女性。
 脚本家の卵のための入門書というよりは中上級者向けの書ということですが、私のような一映画ファンでも十分楽しめます。

 コーエン兄弟がオスカー脚本賞を獲得した「ファーゴ」が、「登場人物を明確に描くための体系的映像」をどのように用いているかについて記した箇所(154頁以降)はなかなか唸らせます。二人組の犯人が凍った雪道の中で凍える様子と、捜査するマージが温かい家庭に包まれている様子を対比させることで、主人公がこの世を肯定的に捉えていることを脚本家は示そうとしたと著者は考えるのです。

 このように映画(の脚本)には、観る者の深層心理にするりと入り込む仕掛けがいくつも散りばめられている場合があり、そしてその散りばめ方が見事であればあるほど観る者の心を深くつかみとることができるのです。

 そしてまた著者は、脚本家が目指すべきは登場人物たちが成長する物語であると強く信じて次のように記します。

 「人間は成長しなければ人生の勢いは衰え、時には止まってしまう。変化がなければ、人間は同じパターンを繰り返すだけで、人生の旅は止まってしまう。(中略)人間の変化とはより人間味のある、自分らしい人間へと変わっていく動きであり、前向きなものだ」。(184頁)

 人間を信じる力強さをそこに感じます。映画というものが優れた表現手段であり続けるのは、まさにこうした脚本家たちの信念が背景にあるからなのだという意を強くしました。

 なお、巻末に掲げられた映画作品名に先に目を通すことをお薦めしておきます。これは本書で言及されている作品のリストですが、本書はその結末にまで触れてしまっている場合がほとんどだということを忠告しておきます。

百まいのドレス
百まいのドレス
岩波書店
price : ¥1,680
release : 2006-11

加害者側の心もキチンと書いている

ド貧乏な移民の女の子が
「ドレス100枚持っている」と言っていじめられる
人種差別の問題も含んでいるので結構考えさせられる
中学生日記みたいに「いじめをなくそう」ってんじゃなく
被害者側の心も、加害者側の心もキチンと書いていて
ちゃんと文学作品として読める

大人は「イジメは悪い!みんな一緒なんだから!」と押付けるけど
それがイジメを余計に悪いものにしていると思う
加害者側にも心があり、理由があるのだから。
今の学校はただ「イジメ0」を目指すのではなく
イジメを解決するプロセスを教えた方が良いと思う
マディランとペギーがやったようなやり方を。
ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈下〉 (ファンタジー・クラシックス)
ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈下〉 (ファンタジー・クラシックス)
評論社
price : ¥1,890
release : 2006-09

童謡の謎―案外、知らずに歌ってた (祥伝社黄金文庫)
童謡の謎―案外、知らずに歌ってた (祥伝社黄金文庫)
祥伝社
price : ¥600
release : 2003-10

倍賞千恵子さんのコンサート

先日のNHKの朝の番組で倍賞千恵子さんが、合田道人さんの本を読んで構成台本を書いてもらったというコンサートを見て来ました。この本の中に描かれている謎や秘密を話しながら歌う倍賞さんの姿に感動しつつ、この本の面白さを大切さを改めて感じました。おすすめ度◎
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